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協働のまちづくりに関する事例(4)

分権型社会の推進において、「補完性原理」や「近接性原理」が基本的な考え方だと言われています。「補完性原理」とは、個人ができないことは家族、家族ができないことは地域コミュニティ、地域コミュニティができないことは自治体、自治体ができないことは国が担うという考え方で、自助・互助・共助・公助と表現されることもあります。「近接性原理」とは、住民生活においてはより身近なところで決定することがニーズや緊急性などを踏まえた適正な事業が行われるという考え方です。

協働のまちづくりは、分権改革によって基礎自治体への権限や財源の移譲が行われる一方で、人口減少と超高齢化社会の急速な進展の中で自治体と市民との関係を再編して、自助・互助・共助を基本として、より身近な所でセーフティネットを構築すると共に受益者としての市民から自治の担い手としての市民への意識・行動改革を問うものでもあるのではないかと思います。これをグローバリズムの進展の中でより小さな国を目指す新保守主義的政策や行財政改革による行政からの住民への負担の押しつけととらえるのか、1,000兆円を超える借金を抱える国の財政や地方自治体の財務状況、一方で2022年には団塊の世代が後期高齢者(75歳)となり現在の公的介護だけでは支えきれないという時期が目前に迫り、生活困窮者が増加すると共に住民ニーズが多様化・複雑化する中で地域をどのように支えていくのかという問題発想でコミットするのかによってとらえ方は大きく異なります。

しかし、二者択一的な発想やTV番組の水戸黄門のように悪代官が私利私欲で町民を虐げているのを見て印籠を翳して懲らしめるという勧善懲悪から解決策を見出すことは決してできません。現実と未来に責任ある主体として向き合おうとするならば、多元的な思考と行動、受益者市民ではなく主権者市民としての責任とポジティブな発想が必要なのではないでしょうか。

さて前置きはこの位にしておいて、これまで「協働のまちづくり条例(案)に関する考察」(全6回)や「協働のまちづくりに関する事例」(今回で4回目)を掲載してきましたが、事例については草津市の現状にそのままピッタリと当てはめることができるものを見つけ出すのは難しいように思います。

草津市は限界集落と言われるような過疎地域でもないし、市町村合併した訳でもなく、財政的には厳しい中でも安定した税収に恵まれ、大学のまちでもあり高齢化率も全国平均よりも比較的低く、京都・大阪のベッドタウンとして人口増加が続いています。

一方で、市内では一律ではない様々な課題を抱えています。

このことについて、草津市市民協働推進計画(H24.3)では「地域の課題解決や新しい価値の創造に向けて、行政だけでは解決できないこと、また市民だけでも解決できない問題が増大しています。 草津市においては、それらの問題が地域によって異なった様相を呈しています。例えば、近年建設された駅周辺をはじめとするマンションや住宅団地では、郊外から移り住むシニア世代や子育て世代の転入が多いものの町内会の加入率は低下し、保育園に入園できない待機児童の問題も顕在化しています。 一方、農村集落や昭和50年代に開発されたニュータウンでは、高齢化が進み、福祉や災害時の高齢者支援が目下の課題となっています。」と実情を示しています。

そこで、今回は協働のまちづくりを推進する手法やアプローチとその原動力に焦点を当てて紹介したいと思います。

 

前回取り上げた長野県の飯田市の場合は、地方議会がマニフェスト大賞の常連として活躍し、自治基本条例策定の中心的役割を担うと共に、公民館を軸に職員の育成も兼ねた行政と地域との協働によって、言わば「自治の涵養」を図ってきた事例です。

 

今回は、市長の存在によって協働のまちづくりが大きく動いていると思われる松坂市を取り上げます。

三重県松坂市は、松坂牛の産地として知られていますが、山中光茂市長は、2009年の初当選時には全国最年少の市長となり若手改革派として知られています。改革の取組を象徴するかのように、松坂市の玄関先やホームページに借金時計が設置され1時間あたり約202,286円の市債残高を減らしている様子を刻んでいます。

山中市長のポリシーは、「市民と一緒に考えて、市民のみなさんに責任と役割を担っていただく」ことだそうです。

松坂市では住民(まちづくり)協議会に対して地域のことは地域でやるのだから行政は推移を見守るだけという姿勢では無く、行政がまちづくりのモチベーションを高めるための工夫をして、そのシステムをつくることを基本的政策としています。住民協議会という枠組みだけを作って、そこにお金だけを投入し、後は地域で自主的に決めてください・・・というような「押しつけ型」や「自由放任型」ではなく、市長自らが2年間に亘って連日連夜スタッフと共に地域に入って地域住民が十分に納得した上でまちづくり協議会を作ったと言います。

「これはもう本当に大変だったのですが、2年間かけて地域に入り、議論をし尽しました。私だけではなくて、職員も担当部局の人数を倍に増やし、土日や夜も説明会を開いて住民の皆さんと徹底して話し合ったんです。「皆さんが地域のことを一番知っているのだから、皆さんで頑張れるところは頑張っていただきたい」と。そして半年ほどしたころに、「これからの時代はこうした仕組みが必要だ」と自治会連合会の賛同が得られ、最初にできたモデル地区でいろいろな案件が進んだことをきっかけに、他の地域の意識も少しずつ変わっていきました。」(人材マガジンvol.139

住民協議会の事業を支えるしくみとして特徴的なことは、行政だけでなく民間企業との連動も工夫されていることです。

例えば、「地域の元気応援事業」は地域の特性を生かした住民協議会活動を応援するコンペ型の事業ですが、その中の「地域づくりスポンサー賞」は、企業が地域社会の発展に寄与するためそれぞれの企業が指定するテーマごとに企業協賛金が加算されるというものです。

平成26年度は次のテーマで「地域づくりスポンサー賞」が提供されています。

「リサイクルや環境保全の推進」 協賛企業:マックスバリュ中部(株) 

「歴史文化の伝承」協賛企業:水谷養蜂園(株)

「地域資源を活用した住民参加のまちづくり」協賛企業:辻製油(株)

「安全安心のまちづくり」協賛企業:第三銀行(株)

「女性の参画と子育て」協賛企業:(株)アドウェル

 (松阪市HPより

 また、「市民活動サポート補助金」は、NPO等の市民活動団体を対象とした補助金制度ですが、住民協議会で多様な団体との連携を推進することを目的としている制度で「NPO等の市民活動団体がもつ特性を生かしつつ主体性を発揮して、住民協議会と連携したり住民協議会を支援するような企画」を対象としています。

更に、住民協議会を対象とした「広域連携部門」は、「複数の住民協議会が共同(枠組み)で取り組み、地域間の広域連携を推進するため、それぞれの住民協議会が協力して連携の輪を広げていただく部門」と位置づけられています。

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(図:松阪市住民協議会運営マニュアルより)

このような財政的支援だけでなく、地域担当職員の配置や地域応援隊の設置といった人的支援も充実しています。特に地域応援隊は、地元に住む市職員がボランティアで地域応援隊員として登録し、住民協議会をより身近でサポートするための制度で注目に値します。

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 (松阪市住民協議会運営マニュアルより)

これらのことを記した住民協議会運営マニュアルは83ページにも及ぶ充実した内容で、設立時のマニュアルも丁寧に作られています。

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更に、全国的にも珍しい制度として、ふるさと納税を地域協議会に対してできるようなしくみも取り入れられています。これは、総務省や国税庁との関係もあって一旦は市が受け取り、その後、分配委員会で当該地域に分配されているそうです。

 

その他、住民協議会等の活動に対して、市の公用車を無償で貸し出す制度もありますが、このことからも活動に対する細やかな配慮や合理性を感じとることができるのではないでしょうか。

 

(つづく)

協働のまちづくりに関する事例(3)

地域内分権の動きは、平成の大合併を契機として全国各地で盛んになりました。

合併によって自治体が大規模化・広域化していくことによって行政コストの軽減や多様なニーズに対応するための対応力の向上、課題解決のための施策の効率化、平準化などのメリットがあり、自治体としての受容力が向上する一方で、住民自治の観点からは市民と行政の距離感が遠くなることによる弊害が課題となります。

また、生活の身近な課題に対して、行政がすべて対応できる人的・財政的余裕が無い中で置き去りになってしまう危惧もあることから、合併による地域自治区の特例が設けられました。

更に、平成16年5月の地方自治法改正によって、以下のとおり地域自治区の設置が制度化されています。

 

地方自治法(抜粋)

(地域自治区の設置)

第二百二条の四  市町村は、市町村長の権限に属する事務を分掌させ、及び地域の住民の意見を反映させつつこれを処理させるため、条例で、その区域を分けて定める区域ごとに地域自治区を設けることができる。

2  地域自治区に事務所を置くものとし、事務所の位置、名称及び所管区域は、条例で定める。

3  地域自治区の事務所の長は、当該普通地方公共団体の長の補助機関である職員をもつて充てる。

4  第四条第二項の規定は第二項の地域自治区の事務所の位置及び所管区域について、第百七十五条第二項の規定は前項の事務所の長について準用する。

(地域協議会の設置及び構成員)

第二百二条の五  地域自治区に、地域協議会を置く。

2  地域協議会の構成員は、地域自治区の区域内に住所を有する者のうちから、市町村長が選任する。

3  市町村長は、前項の規定による地域協議会の構成員の選任に当たつては、地域協議会の構成員の構成が、地域自治区の区域内に住所を有する者の多様な意見が適切に反映されるものとなるよう配慮しなければならない。

4  地域協議会の構成員の任期は、四年以内において条例で定める期間とする。

5  第二百三条の二第一項の規定にかかわらず、地域協議会の構成員には報酬を支給しないこととすることができる。

(地域協議会の会長及び副会長)

第二百二条の六  地域協議会に、会長及び副会長を置く。

2  地域協議会の会長及び副会長の選任及び解任の方法は、条例で定める。

3  地域協議会の会長及び副会長の任期は、地域協議会の構成員の任期による。

4  地域協議会の会長は、地域協議会の事務を掌理し、地域協議会を代表する。

5  地域協議会の副会長は、地域協議会の会長に事故があるとき又は地域協議会の会長が欠けたときは、その職務を代理する。

(地域協議会の権限)

第二百二条の七  地域協議会は、次に掲げる事項のうち、市町村長その他の市町村の機関により諮問されたもの又は必要と認めるものについて、審議し、市町村長その他の市町村の機関に意見を述べることができる。

一  地域自治区の事務所が所掌する事務に関する事項

二  前号に掲げるもののほか、市町村が処理する地域自治区の区域に係る事務に関する事項

三  市町村の事務処理に当たつての地域自治区の区域内に住所を有する者との連携の強化に関する事項

2  市町村長は、条例で定める市町村の施策に関する重要事項であつて地域自治区の区域に係るものを決定し、又は変更しようとする場合においては、あらかじめ、地域協議会の意見を聴かなければならない。

3  市町村長その他の市町村の機関は、前二項の意見を勘案し、必要があると認めるときは、適切な措置を講じなければならない。

(地域協議会の組織及び運営)

第二百二条の八  この法律に定めるもののほか、地域協議会の構成員の定数その他の地域協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、条例で定める。

 

地方自治法で定める地域自治区を活用した事例として、長野県の飯田市、岐阜県の恵那市、愛知県の豊田市などがあります。

長野県の最南端に位置し、南北に天竜川が貫く人口 105,337人の飯田市は、地域自治区の導入と同時に地域の各種団体を統合再編することによって簡素で効率的なコミュニティ組織「まちづくり委員会」を創設し、各種の補助金や交付金を整理統合して住民が一体的かつ総合的にまちづくりに取り組むことができる仕組みの構築を図ってきました。

ところで飯田市は、以前から公民館運動が盛んな町として知られています。

「飯田市公民館は、『地域中心』『並立配置』『住民参画』『機関自立』の四つの運営原則に基づき、運営されています。中でも、『住民参画の原則』が、飯田市公民館の最大の特徴と言えます。地域住民から選出された『文化』『広報』『体育』などの専門委員が中心となって公民館事業を企画・運営し、その取組を同じく地域住民から選出され、教育委員会より任命される館長と,市役所職員である公民館主事が支える体制は、“公設民営”とも称されます。」(文化庁月報平成25年11月号)

公民館は地域住民の文化的な中心であるだけでなく、生活課題解決のための学習拠点であり、また日常的な住民の交流ネットワークの拠点でもあると位置づけ、市役所の職員は必ず公民館の主事を務めることになっています。もちろん閑職ではありません。

これによって、地域住民と行政との密接な関係や地域の課題や問題解決のための協働関係を築いてきたのです。

そして、こうした基盤があったからこそ、全国的に知られる「おひさまファンド」というエネルギーの地産地消の取組が行われたと言われています。

「おひさまファンド」は、おひさま進歩エネルギー株式会社(当初はNPOとして事業を開始)が実施している事業ですが、社長の原亮弘氏は長年に渡り公民館活動などの地域活動に関わってきた方です。

この事業は「飯田市の英断なしにはできなかった。」と言います。

何故かというと、この事業では公共施設の屋根に太陽光パネルを付けることで成り立つものですが、公共施設をいわば目的外に使用するとなると相互の信頼関係無くしてできません。

20年間に亘って行政財産を貸し続けるという契約があることで、その信頼性に基づいて市民からの意志あるファンド(お金)を集めることができると同時に、税金を使わずに太陽光発電の普及を行い、発電された自然エネルギーは主に飯田市の公共施設で活用することが可能になる訳です。

飯田市は2006年に議会主導で自治基本条例を制定されました。 飯田市自治基本条例では、地域自治の推進やしくみについて以下のとおり定めています。

飯田市の自治基本条例(抜粋)

第4章 地域自治

(市民組織の尊重)

第11条 市は、市民組織の自主性及び自立性を尊重し、市民組織が活動するために必要な支援を行います。

2 市民は、市民組織がまちづくり推進の主要な担い手であることを認識し、市民組織を尊重し、守り育てるものとします。

(地域自治の推進)

第12条 市は、地域の特性と自主性が生かされた、個性豊かで魅力ある地域のまちづくりを推進するため、自治の基本原則に基づき、分権によるまちづくりの仕組みを目指します。

(地域自治区)

第13条 市は、市民に身近な事務事業を市民の意見を反映させて処理するとともに、地域の自治を促進するため、法律に基づく地域自治区を設けます。

2 地域自治区に置かれる地域協議会は、地域の住民により構成され、地域の意見を調整し、協働によるまちづくりを推進します。

(まちづくりのための委員会等)

第14条 市は、市民組織が地域のまちづくりに取り組むため組織する委員会等の自主的及び自立的な運営を尊重します。

(自治活動組織)

第15条 市民は、地域社会の一員として、自治活動組織(地域市民により形成され、まちづくりに取り組む市民組織をいいます。)の役割について理解を深め、協力するとともに、自治活動組織への加入に努めます。

2 市民は、可能な範囲内で、自治活動組織の活動に参加し、地域社会において個性や意欲を発揮することができるものとします。

3 自治活動組織は、地域市民の加入や参加が促進されるために必要な環境づくりに努めます。

 

この自治基本条例に基づいて、旧町村単位の地区支所については地方自治法に基づく地域協議会を組み入れた自治振興センターとして、地区公民館ついては既存の住民団体を統合再編したまちづくり委員会の活動と連動したものとなっています。

具体的には、公民館には専門委員会制度というものがあり、文化・体育・広報などの取組がされていますが、平成19年度からはまちづくり委員会の委員としても位置づけられて実際生活に根ざした課題、地域課題等への組織横断的、積極的な取り組みがおこなわれています。

 「まちづくり委員会が飯田市の自治体内分権において大きな位置づけを与えられていることが分かるが、なぜこの委員会が設置されたのであろうか。その最大の理由は、既存の住民自治組織の縦割り関係がもたらす弊害を打破することにあった。そのなかでもとくに、行政との関係が強く、住民自治組織のなかでも影響力が大きい自治会と、全国的に見ても活発な活動を展開しつつ、行政と一定の距離関係を保ってきた公民館との間における齟齬があった。そこで、公民館が担ってきた住民の学習や活動の拠点としての性質が飯田市においても変化していくなかで、自治協議会連合会(自治会の連合組織のこと)が住民自治組織の整理統合の提案をおこない、それを契機としてまちづくり委員会への公民館の統合が実現したのであった。」(平成20 年度国土政策関係研究支援事業 最終報告書「持続可能な地域発展のための地域政策のあり方に関する実証研究」より)

第2次草津市行政システム改革推進計画(平成25年度~平成28年度)のアクション・プラン(市民自治の活性化)では、平成27年度からまちづくり協議会による市民センターの指定管理が示されています。

このプランとの関係からも飯田市のまちづくり委員会と公民館との関係については参考になるのではないかと思います。

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※ここで示されている既存組織の見直しについては、別の機会に事例紹介させていただく予定です。

 

次に、愛知県のほぼ中央に位置し「クルマのまち」として知られる豊田市は、平成17年10月に地方自治法に基づく地域自治区を設置しています。

地域自治区は、地域意見の集約と調整を主な役割とする審議機関としての地域会議と、その運営を支援する地域自治区事務所により構成され、「わくわく事業」と「地域予算提案事業」の2つの施策によって推進されています。

「わくわく事業」とは、地縁の組織や市民活動団体などの事業に対して地域会議ごとに年間500万円を交付する制度です。

この制度の特徴は、実質的には地域会議が公開審査を通じ、自己決定、自己責任の考えにより、補助対象事業や補助金額等を決定する点にあります。

基本的な審査基準は社会的公益性や地域での必要性、実現性、継続・発展性などとされていますが、その細は各地域会議において地域の実情を考慮した審査基準を作成し判断しているそうです。

わくわく事業パンフレット(PDF)

「地域予算提案事業」は、地域で共通認識された課題解決策を市の施策に的確に反映させ、効果的に地域課題を解消するための仕組みです。  例えば、豊南地区では犯罪発生件数が多いことから、「110番ブザー」の普及活動や自治区会館等での出張防犯講習会の開催、防犯多発地への看板設置、「防犯活動強化区域」を示す看板の各戸配布といった事業が提案され平成22年度から事業が実施されています。  その他の各地区の提案事業については、次のホームページで紹介されています。http://www.city.toyota.aichi.jp/division/ad00/ad20/1239241_15646.html   (つづく)

協働のまちづくりに関する事例(2)

前回は、出雲神話「ヤマタノオロチ伝説」で知られている島根県雲南市の事例について調べてみました。

雲南市は、平成16年の11月に大原郡大東町、加茂町、木次町、飯石郡三刀屋町、掛合町、吉田村の6町村が新設合併して誕生しましたが、標準的な自治体とは違い広大な面積(553平方キロメートル)に約4万2千人が暮らす人口密度が低い地域であることから、少子高齢化が進み独居老人や高齢者だけの世帯が多い中で行政の手が行き届かないことが大きな課題とされています。そうした中で合併協議の際から協議を重ねて合併時には42の地域自主組織が結成されました。また、その拠点となる公民館を交流センターへ名称変更し地域から選ばれたまちづくりに熱意のある方が運営に携わっているそうです。

地域自主組織は、旧来型の地縁組織とは違いコミュニティビジネスにも積極的にチャレンジされています。例えば温泉地区地域自主組織(通称「ダム湖の郷」http://onsentown.com/ では、NPO法人を立ち上げて道の駅で農業レストランを運営されています。

また、里山を活用したユニークな取組として、里山再生プロジェクト推進地域協議会による林地残材を活用したチップボイラーに関する事業があります。

チップボイラーは温泉施設などに導入され、その材料となる林地残材はトンあたり6千円相当の地域通貨と交換されるそうです。

さて、今回紹介するのは雲南市繋がり(「雲南ゼミ」をきっかけに地域自主組織を持つ伊賀市、名張市、朝来市によって共同協議を行っている関係)という訳で伊賀市です。

伊賀市は、平成16年11月に1市6町村による合併で誕生した市ですが、合併は目的ではなく地域内分権のチャンスと考え、独自の自治の実現のための検討が行われ合併後の最初の議会で「伊賀市自治基本条例」を議決しています。

 

基本条例(第3条)で、その基本理念を次のとおり示しています。

市民及び市は、次に掲げる基本理念により、まちづくりを推進するものとする。

(1) 補完性の原則に基づき、市民自身あるいは地域が自らの責任のもと、まちづくりの決定や実行を行うとともに、市は、これらの活動を支援し、また、市自らも改革を進めるなど、市民が主体となり地域の個性が生きた自治を形成する。

(2) 自然との共生を図り、各地域が有する様々な資源を有効に活用するなど次世代に引き継いでいくことができる持続発展可能な循環型の共生地域を形成する。

(3) 市民が情報を共有し、自由に行き来できる環境づくりに努めるとともに、他圏域と交流・連携を進めるなど、創造性あふれる地域を形成する。

 

また、市民憲章の中で自治の基本原則について次のように定めています。iga

私たち市民は、次の6つの原則により自治を進め、“ひとが輝く 地域が輝く”伊賀市のまちづくりの実現を目指し、この憲章を定めます。

一. まちづくりに関する情報をみんなで共有します。

一. まちづくりには、みんなが参加できるようにします。

一. まちづくりは、みんなでつくった計画に基づき実施します。

一. まちづくりは、まず自ら行い、さらに地域内で助け合って進めます。

一. まちづくりは、互いに連携・協力しながら進めます。

一. まちづくりの実施を評価し、次の活動に活かします。

 

こうした徹底した市民自治の理念に基づいて、様々な取組がなされていますが、その様子は「地域自治活動事例集」としてまとめられています。

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地域自治活動事例集の掲載サイトへ

また、住民自治協議会の活動を支援する施策もユニークです。

例えば、「課題発見支援」は、団体が自らのこれまでの事業を振り返り、専門家からアドバイス等を受け、団体や地域が抱える課題を発見し、その解決を図る上限50万円の補助事業です。更に「協働促進支援」など、協働の推進や自立した継続的な活動につながる活動などへの助成金制度があります。

(つづく)

協働のまちづくりに関する事例(1)

【雲南市】小規模多機能自治の取組

出雲神話の一つ「ヤマタノオロチ伝説」をご存知でしょうか。

「ヤマタノオロチ伝説」は、氾濫を繰り返してきた斐伊川とその支流を「ヤマタノオロチ」に例え、その治水事業をオロチ退治と考える説や、須佐之男命(スサノオノミコト)がオロチ退治して剣を得ることなどから奥出雲地方のたたら製鉄集団と大和との抗争を意味した神話だとされる説などがあります。

島根県雲南市は、「ヤマタノオロチ伝説」の伝承地が多数存在している人口4万人程の山間地域です。

この雲南市に対し、平成17年度に「財政非常事態宣言」が発令されました。

また、財政難だけでなく高齢化率が30%を超える状況であることから、20年後の日本各地の状況を先行しているとも言われています。

「財政難や過疎化、超高齢化が進む地域だったら、さぞ疲弊化しているんだろうなぁ」と思われるかもしれません。

でも心配はご無用。……というよりも、この地域から住民主導によるまちづくりや活性化の糸口をつかもうと全国から注目が集まっているのです。

例えば、淡海ネットワークセンターが発行する「おうみネット」の第88号(2013.12.1発行)の特集記事で、次のように紹介されています。

「超高齢社会を地域で支え合うことのできる新たな地縁組織が住民主導で設立されています。滋賀県内の住民主導のまちづくりについては、自主・自立を期待する行政側と依存・支援を期待する地域住民の間に微妙な壁があり、そのことが地域単位のまちづくりの推進の壁になっているのではと感じていましたことから期待をもっての雲南市訪問です。」

雲南市は、「財政非常事態宣言」が出された7年後の平成24年度には「財政非常事態宣言」が解除されました。

その要因の一つに「地域自主組織」の推進があると言われています。

では、地域自主組織とはどういうものなのでしょうか?

また、従来の地縁組織とどのような違いがあるのでしょうか?

 

このことについて、雲南市が発行するパンフレットなどを読むと概ね次のような内容であることが示されています。

 集落の性質として、会合には主に世帯主が出席し「1戸1票制」になっており、男性の年配者による発想で物事を考えるようになっていることや、会合の内容を家族に伝えることが少なく女性や若者が考え、意見を言う機会がない。

 また、代表者は持ち回り(輪番制)となっていて、新しいことに積極的に取り組むことが難しいといった課題がある。

 こうした課題を克服するしくみとして、地域自主組織が設立されており、その特色については、

(1)「1戸1票制」を打破し、子どもや若者、女性など幅広い世代が関わる「1人1票制」を実現する。

(2)生活の維持、福祉、楽しみの実現、産業振興など、幅広い分野の活動を進める。

(3)課題ごとに部会を設けるなど、住民1人ひとりが「気軽に取り組める」、「楽しく取り組める」、「やる気を発揮できる」しくみをつくる。

 

 イベント型から問題解決型の事業を重視して、小規模多機能自治によって新しい公共を創出する組織。

 

地域自主組織の具体的な取組については、例えば鍋山地区の住民組織は水道の検針業務を行政から請け負っています。

この事業は、「まめなか君の水道検針」と呼ばれています。

方言で元気なことを「まめ」というそうですが、毎月「まめなかねぇ~」と声を掛けながら全世帯(430戸)の検針を行うことによって、地域の安心・安全を確保し高齢者の見守り活動を行いながら、水道局との契約によって事業収入を得ることができる一石二鳥の事業となっています。

 

また、「中野の里づくり委員会」ではJAの店舗が閉鎖し地区内で買い物ができなくなる危機に際し、住民たちが店舗を開設しました。

「笑んがわ市」と名付けられたこの事業は、野菜やみそなどを住民が持ち込んだり、憩のコーナーでは緑茶やコーヒーが100円で提供されており、住民の語らいの場にもなっています。

更に、2014年1月29日の読売新聞では、「吉田地区振興協議会」とJAや郵便局などとの間に高齢者の見守り協定がなされたと報じられています。

 高齢者見守り 4業者参加…雲南自治組織と協定

 雲南市の旧吉田村中心部の12自治会でつくる住民自治組織「吉田地区振興協議会」(錦織靖雄会長)が28日、日常業務で各家庭を訪問している地元郵便局、JAなど民間の4業者と「高齢者見守り協定」を結んだ。高齢化率40%で、独居、夫婦だけの世帯も多く、配達などの際に安否確認をし、緊急時には自治会、市の出先機関などに連絡する。

  地区人口(2013年3月末)1305人のうち65歳以上は528人で、全446世帯のうち3割は高齢者の独居か夫婦。現状に危機感を持った同協議会が、4業者に協定締結を打診していた。

  締結式は吉田町の吉田交流センターであり、吉田郵便局、JA雲南吉田支店、水道メーター検針業務を請け負う「株式会社吉田ふるさと村」、新聞販売「藤原商店」の各代表、錦織協議会長と協定書を交わした。

  錦織会長は「地域全体に網をかけるように、高齢者の生活を見守ることができる」と話し、さらに宅配便事業者などにも参加を呼びかけるという。

 

こうした住民主体の取組を行う上で、行政がこのことと向き合う姿勢が問われ、条件づくりや協働が求められます。雲南市には「雲南市まちづくり基本条例」(平成20年10月10日)でそのことがしっかりと位置付けられています。

基本条例の前文では、「まちづくりの原点は、主役である市民が、自らの責任により、主体的に関わることです。」と位置づけて、「市民は、まちづくりの主体であり、まちづくりに参加する権利を持ちます。」(第4条)と定め、また市民主体のまちづくりを進めていくため、第6条で「議会は、積極的な情報公開や、市民との対話に努め、開かれた議会運営を行わなければなりません。」「議員は、議会活動について、市民への説明責任を果たすとともに、公正かつ誠実に遂行し、市民の負託に応えなければなりません。」と議会の姿勢を問うています。更に、第7条では市長に対しては「政策形成、実施、評価及び見直しの過程において、市民意見の把握と反映を行うこと。」「市民に利用しやすい形で保有する情報の積極的な公開・提供を行うとともに、常に分かりやすい説明を行うこと。」とし、市職員に対しては「地域社会の一員であることを認識し、積極的にまちづくりの推進に努めなければなりません。」「職員は、公正、公平かつ誠実に職務を遂行するとともに、市民との協働や市民活動間の連携が図られるように努めなければなりません。」というように、徹底して市民主体まちづくりを進めるための基盤となる条件整備を図っています。

(つづく)

草津市協働のまちづくり条例(案)に関する考察(その6)

前回は、最近の自民党マニフェストに書かれている「コミュニティ活動基本法」について調べると書きましたが、2008年に出された素案の内容が、地域社会の連帯が脆弱化した中で、町内会をはじめとする地域コミュニティ活動を後押しするために、自治体とコミュニティ団体とが連携強化するよう地方自治体や事業主の責務、住民の役割を法制化する内容で、その年の通常国会に議員立法での提出し成立を目指していたということが分かりました。(法案の骨子案参照)

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また、自民党の衆議院議員のサイト(http://www.hanashiyasuhiro.com/modules/news/article.php?storyid=264)でも少し紹介されていますが、これ以上の詳しい資料を入手することはできませんでした。
今後、具体的な内容が公表されるのを待ちたいと思います。

 

コミュニティ基本法(仮称)の骨子(案)
○ 目的
・コミュニティ活動に関して、基本理念、国、地方公共団体、事業者、国民の役割等を明らかにすること等により、国民による自主的・自律的なコミュニティ活動の活性化並びに国民の思いやり、協力及び信頼関係の醸成を図り、もって公共の福祉の向上に寄与することを目的○ 基本理念
・少子高齢化、ICTの発展等に対応したコミュニティ活動の実施を推進
・国、地方公共団体、事業者、国民等が適切に役割分担し、コミュニティ活動の活性化を推進
・公共の精神(パブリックマインド)に基づき、開かれたコミュニティづくりを推進
・地域住民の連帯感の維持・一層の醸成を推進

○ 国民への期待
・国民は、コミュニティ活動を行い、もって公共の福祉の向上に寄与することが期待される

○ 事業者の役割
・事業者は、その従業員が休暇を用いてコミュニティ活動を行おうとする場合にあっては、その円滑な取得に配慮するよう努める

○ 地方公共団体(主として市町村)の役割
・地方公共団体は、国民のコミュニティ活動への参加環境の醸成に努める
・地方公共団体は、コミュニティ活動に関する計画を策定すること、条例等の制定を通じコミュニティ活動に関する政策目標を設定すること等を通じ、コミュニティ活動の活性化に努める
・地方公共団体は、コミュニティ活動に関して、情報提供、公共施設の利用促進並びに学校教育、防災・防犯及び各種相談業務等との連携その他の必要な措置を講じるよう努める
・地方公共団体は、その職員をして、職務としてコミュニティ活動の支援等をさせることができる
・地方公共団体は、その職員が休暇を用いてコミュニティ活動を行おうとする場合にあっては、その円滑な取得に配慮するよう努める
○ 国の役割
・国は、コミュニティ活動に関する施策を講ずる地方公共団体に対して、適切な支援を行う(例 情報提供)
・国は、コミュニティ活動を支援する観点から、必要な制度改正を行うとともに、税財政上の措置を講ずるように努める
・国は、その職員が休暇を用いてコミュニティ活動を行おうとする場合にあっては、その円滑な取得に配慮するよう努める

 

 

ところで、最近「コミュニティの政治学」という本を読んでいます。
正直なところ随分と読みにくい本ですが、コミュニティの複雑性を概観するのに役立ちます。
本書は、「現代政治におけるコミュニティの使用方法を取り上げ、コミュニティ概念を明確にする方法を明らかにし」「コミュニティの再検討過程に一つの貢献をする」ことを目的として書かれたものです。

 
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「グローバル化は、政府が再分配福祉戦略を実施する際に厳しい限界に直面し、フレキシビリティや比較優位の要求によって公共支出の限界に直面せざるをえなくなるということを意味している。」というコミュニティ政策がクローズアップされている社会構造の分析や、過度の競争やTPPに象徴される自由化によって所得の格差や相対的な貧困化が進むなかで無償労働を基本とするコミュニティ活動を誰がどのように担っていくのかという課題を考える上で参考になります。また「コミュニティの原理が、国家統治に制限を加え、権力の分権化を目指そうとしていることは間違いない。」という点など、共感できる内容が散りばめられています。

 

 

コミュニティに関する考え方は百花繚乱の様相を呈していますが、まちづくり協議会をコミュニティという視点から論じるのではなく、地方自治のしくみという観点から位置づけると、また違った議論が展開されるのではないかと思います。

地方自治法(2004年改正)では、地域自治区を設置し地域協議会を置くことができると定められていますが、これを準用してより自主的な組織としてまちづくり協議会を位置づけるならば、身近な地域の課題について、そこで暮らす住民がその解決方法等を議論し、地域の意見をとりまとめ、市長に意見を伝えるための機関として、また行政改革の一環として行政コストを増大させずに健全な社会を維持していくためのしくみとして機能するのかどうかという視点から、組織のありようや行政の関与について考えることができるのではないでしょうか。

地域自治区は、滋賀県内では近江八幡市の安土町地域自治区が10年間の期限付きで設置されています。

※参考サイト(総務省)http://www.soumu.go.jp/main_content/000021699.pdf

 

 

地方自治法第四節 地域自治区

(地域自治区の設置)
第二百二条の四
1.市町村は、市町村長の権限に属する事務を分掌させ、及び地域の住民の意見を反映させつつこれを処理させるため、条例で、その区域を分けて定める区域ごとに地域自治区を設けることができる。
2.地域自治区に事務所を置くものとし、事務所の位置、名称及び所管区域は、条例で定める。
3.地域自治区の事務所の長は、事務吏員をもつて充てる。
4.第四条第二項の規定は第二項の地域自治区の事務所の位置及び所管区域について、第百七十五条第二項の規定は前項の事務所の長について準用する。

(地域協議会の設置及び構成員)
第二百二条の五
1.地域自治区に、地域協議会を置く。
2.地域協議会の構成員は、地域自治区の区域内に住所を有する者のうちから、市町村長が選任する。
3.市町村長は、前項の規定による地域協議会の構成員の選任に当たっては、地域協議会の構成員の構成が、地域自治区の区域内に住所を有する者の多様な意見が適切に反映されるものとなるよう配慮しなければならない。
4.地域協議会の構成員の任期は、四年以内において条例で定める期間とする。
5.第二百三条第一項の規定にかかわらず、地域協議会の構成員には報酬を支給しないこととすることができる。

(地域協議会の会長及び副会長)
第二百二条の六
1.地域協議会に、会長及び副会長を置く。
2.地域協議会の会長及び副会長の選任及び解任の方法は、条例で定める。
3.地域協議会の会長及び副会長の任期は、地域協議会の構成員の任期による。
4.地域協議会の会長は、地域協議会の事務を掌理し、地域協議会を代表する。
5.地域協議会の副会長は、地域協議会の会長に事故があるとき又は地域協議会の会長が欠けたときは、その職務を代理する。

(地域協議会の権限)
第二百二条の七
1.地域協議会は、次に掲げる事項のうち、市町村長その他の市町村の機関により諮問されたもの又は必要と認めるものについて、審議し、市町村長その他の市町村の機関に意見を述べることができる。
一 地域自治区の事務所が所掌する事務に関する事項
二 前号に掲げるもののほか、市町村が処理する地域自治区の区域に係る事務に関する事項三 市町村の事務処理に当たっての地域自治区の区域内に住所を有する者との連携の強化に関する事項
2.市町村長は、条例で定める市町村の施策に関する重要事項であって地域自治区の区域に係るものを決定し、又は変更しようとする場合においては、あらかじめ、地域協議会の意見を聴かなければならない。
3.市町村長その他の市町村の機関は、前二項の意見を勘案し、必要があると認めるときは、適切な措置を講じなければならない。

(地域協議会の組織及び運営)
第二百二条の八
この法律に定めるもののほか、地域協議会の構成員の定数その他の地域協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、条例で定める。

 

 

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草津市協働のまちづくり条例(案)に関する考察(その5)

この連載では、現在パブリックコメント実施中の草津市協働のまちづくり条例(案)の論点を整理するために、マニフェストとの関連や全国的な施策や潮流、その社会背景などを調べています。

初回は、マニフェストに掲げられて策定された草津市自治体基本条例と関係が深いことを示し、2回目は本条例案に至るまでに実施されていた「草津市協働のまちづくり指針」の中で「新しい自治のしくみ」として位置づけられているまちづくり協議会について、草津市がどのように計画してきたのかを確認しました。

3回目は、その後の草津市協働のまちづくり行動計画や第5次草津市総合計画ならびに草津市行政システム改革との関係を見る中で、全国的な動きを振り返ることが必要ではないかと考え、前回の4回目では、まちづくり協議会が小学校区を単位としていることから、こうした学区単位のコミュニティ施策の出発点として位置づけられる「コミュニティ(近隣社会)に関する対策要綱(1971年)」まで遡ってみました。

そして、シリーズ5回目となる今回は、「コミュニティ-近隣社会-に関する対策要綱(1971年)」の基礎となっている国民生活審議会報告「コミュニティ-生活の場における人間性の回復」について話題提供したいと思います。

 

「コミュニティ」という言葉や概念は、この1969年の国民生活審議会報告によってクローズアップされるようになりました。

また、この報告で示された概念や基本的な考え方に基づいて、国や自治体で各種のコミュニティ政策が展開されていったことから日本におけるコミュニティ政策の原点と位置づけられています。

 

報告ではコミュニティを「生活の場において、市民としての自主性と責任を自覚した個人および家族を構成主体として、地域性と各種の共通目標を持った、開放的でしかも構成員相互の信頼感のある集団」と位置付けています。

詳しい内容を解説すると野暮ったくなるので省略します。

こちらに全文が掲載されていますので是非熟読してみてください。http://www.ipss.go.jp/publication/j/shiryou/no.13/data/shiryou/syakaifukushi/32.pdf

 

ここでは、報告で特徴的なことをズバリ! 2点に絞ってみました。

まず1点目は、報告の副題で「生活の場における」とわざわざ強調している点です。報告は、純粋な意味でのコミュニティを表しているものでは無く、あくまでも国の施策としては小学校区を単位に限定して行うというイメージが表われています。

例えば、「序論-コミュニティ問題の提起-」において「行政圏域の拡大は同時に人間生活の地域的最小単位としてのコミュニティからの協力を一層強く必要とする」と市町村合併や広域化(更には行革推進も?)するなかで、生活に場におけるコミュニティの協力が必要であることを示し、「コミュニティの集団としての外延は明確に定めることが困難である。集団の機能に対応して、大きさの異なる組織が重層的に同時に存在し得るであろう。それは地域的一体性をもつものではあるが、地理的連続性を必ずしも伴わないものであろう。」と本来のコミュニティの姿を表してはいますが、これに続けて「しかしながらコミュニティを形成する根底は生活の場における地域住民の相互信頼である。」とし、生活の場としてのコミュニティを前提と位置付けています。

それは、前回取り上げた「コミュニティ-近隣社会-に関する対策要綱(1971年)」の名称にも、コミュニティの後にわざわざ「近隣社会」と付け加えていることからも明らかです。

コミュニティ=小学校区単位程度の近隣社会であるかのような理解が広まった背景には、国や行政の政策的意図があると考えて良いかもしれません。

 

次に2点目の特徴は、当時の公害問題に対する住民運動や社会運動を意識したと思われる点です。

「コミュニティが十全に機能するためには構成員が社会におけるルールを厳守することが要求される。権利の主張には責任が伴う行政サービスについての要求には負担が伴う構成員の自覚と責任において提出される要求は、それが如何なる方法で如何なる負担を伴って実現されるものであるかという点についての認識が明確でなければならず、一方的な権利主張に終始する態度であってはならないのである。(中略)住民の潜在的要求の多くは実現の方途もないままにあきらめられ不満のみが残存する。更に老人、青少年,児童等に関する様々の問題が地域の人々にとって何等の関心も共感も呼ばないものとして見過されてしまう。他方特定の利益誘導を目的とする地域集団が強烈な支持をうけて活発に活動することはあっても、それは構成員の義務と責任についての明確な認識に乏しい場合が多くいたずらに権利のみが主張される事態がしばしばみられるのである。(中略)かくしてコミュニティは古い要求自治的な意識を払拭し、正しい地域の自主的責任体制に基づく主張の場となり、今日われわれの日常生活のより所となって、現代文明社会における人間性回復のとりでとしての機能を確立しなければならないのである。」(序論)

「地域の人々の発意によって生活の場を改善向上しようとする要求が生まれ、それがコミュニティの場に提示されるとき、以下にみるような性格を備えたものになる必要があろう。第1にそれはすでにのべたようにコミュニティ構成員の民主的な話し合いによる実質的合意のあるものでなければならない。第2にそれは単に問題として提示されるに止まらず、進んで、どのような具体的方策によって解決されるべきかという基本的方向について建設的なコミュニティのアイデアが検討されるべきであろう。これによって必ずしも、最善の方策を発見し得ないとしても、問題の性質や内容が一層明らかになるであろう。問題によっては、専門的知識をもつコンサルタントの助言を要することもあると思われるので、そのような助言が容易に得られることも必要であろう。第3にそれはコミュニティ構成員の責任につながるものである。住民要求が何等かの婆でその成果を求めるものである以上、それは行政に対して一方的に発言するに止まるものではない。従ってコミュニティの各構成員は、問題について、まず個人およびコミュニティが何をなし得るか、行政のサービス水準において解決を期待される範囲はどこまでか、行政との間で責任や 負担の分担が必要になる場合の用意はあるか等についてコミュニティの側からの考え方を明らかにしておく必要があろう。」(第3章)

この文面を当時の社会状況から読み解くと、1967年に美濃部東京都政が誕生したことに象徴される革新自治体の動きや学生・住民運動などを排除する理論が見え隠れしています。

また、最近では定着している「協働」に相通じるところもありますが、行政の許容する範囲で、しかも各コミュニティで合意形成がなされ、個人やコミュニティが何をなし得るかを明らかにしなければ物申すなというのは、いかにも国や行政にとって都合の良いコミュニティが想定されているなぁ~と感じます。

そもそも、コミュニティというのは多様な価値観が共存する包容力あるものでなくてはならないのではないでしょうか。本来は自発的なコミュニティ形成について、社会目標としてのコミュニティという概念を打ち出して、その後政府がモデル地区などを設定して政策的に誘導してきた原点がここにあります。

 

ところで、コミュニティの原典とも言える著書『コミュニティ』(1917)の著者マッキーバーによると、「コミュニティとは、共同生活の相互行為を十分に保証するような共同関心が、その成員によって認められているところの社会的統一体である。ある領域がコミュニティの名に価するには、それより広い領域からそれが何程か区別されなければならず、共同生活はその領域の境界が何らかの意味をもつい くつかの独自の特徴をもっている。(中略) コミュニティは、社会生活の、つまり社会的存在の共同生活の焦点であるが、アソシエーションは、ある共同の関心 または諸関心の追及のために明確に設立された社会生活の組織体である。アソシエーションは部分的であり、コミュニティは統合的である。一つのアソシエーションの成員は、多くの他の違ったアソシエーションの成員になることが出来る。コミュニティ内には幾多のアソシエーションが存在し得るばかりでなく、敵対的なアソシエーションでさえ存在出来る。(中略)  しかし、コミュニティは どの最大のアソシエーションよりも広く自由なものである。それは、アソシエーションがそこから出現し、アソシエーションがそこに整序されるとしても、アソ シエーションでは完全に充足されないもっと重大な共同生活なのである。」(参考) http://kaikaku21.com/archive/zithikai.htm

 

「敵対的なアソシエーションでさえも存在できる」というコミュニティをイメージした時、小学校区を単位とした組織に限定するには無理があります。

コミュニティとは、多用なアソシエ―ジョンが泡立つように活動している共同生活の動的均衡状態を意味するものであり、様々な価値や目的を持ったアソシエーション活動によってはじめて高度な自治能力や主権者市民が涵養されるものではないでしょうか。また、コミュニティは行政主導で作られるものではなく、様々な自主的で多用な価値や目的を持った市民活動が共存・淘汰していく過程の中で自然に生まれてくるものです。

 

以上のことから、コミュニティと小学校区を単位としたまちづくり協議会との関係については、より多角的な分析が必要のようです。

次回は、自由民主党のマニフェスト「日本を、取り戻す。」に書かれているコミュニティ基本法について調べてみたいと思います。

 

草津市協働のまちづくり条例(案)に関する考察(その4)

【コミュニティ政策の歴史①】

今回の内容は、正直あまり面白く無いと思います。

読み飛ばしていただいても結構ですが、整理のために忘れ去られた?過去を振り返ってみることにします。

さて、歴史を振り返ると日本のコミュニティ政策は戦前の「部落会町内会等整備要項(1940年)」と高度経済成長期に出された「コミュニティ(近隣社会)に関する対策要綱(1971年)」によって大きなターニングポイントを迎えたと言われています。

「部落会町内会等整備要項」は、町内会などを戦時体制の一翼を担う国家の末端行政機関として制度化して国策を遂行するための組織として活用するというものです。

 

部落会町内会等整備要領

第一 目的

一 隣保団結の精神に基き市町村内住民を組織結合し万民翼贊の本旨に則り地方共同の任務を遂行せしむること

二 国民の道徳的錬成と精神的団結を図るの基礎組織たらしむること

三 国策を汎く国民に透徹せしめ国政万般の円滑なる運用に資せしむること

四 国民経済生活の地域的統制単位として統制経済の運用と国民生活の安定上必要なる機能を発揮せしむること

第二 組織  一 部落会及町内会

(一)市町村の区域を分ち村落には部落会、市街地には町内会を組織すること

(二)部落会及町内会の名称は適宜定むること

(三)部落会及町内会は区域内全戸を以て組織すること

(四)部落会及町内会は部落又は町内住民を基礎とする地域的組織たると共に市町村の補助的下部組織とすること

(五)部落会の区域は行政区基の他既存の部落的団体の区域を斟酌し地域的協同活動を爲すに適当なる区域とする

(六)町内会の区域は原則として都市の町若は丁目又は行政区の区域に依ること但し土地の状況に応じ必ずしも其の区域に依らざるとこを得ること

(七)必要あるときは適当なる区域に依り町内会連合会を組織することを得ること

(八)部落会及町内会に会長を置くこと会長の選任は地方の事情に応じ従来の慣行に従ひ部落又は町内住民の推薦其の他適当の方法に依るも形式的に尠くとも市町村長に於て之を選任乃至告示すること

(九)部落会及町内会は必要に応じ職員を置き得ること

(十)部落会及町内会には左の容量に依る常会を設くること  

 (イ)部落常会及町内常会は会長の招集に依り全戸集会すること但し区域内隣保班代表者を以て区域内全戸に代ふることを得ること  

 (ロ)部落常会及町内常会は第一の目的を達成する爲物心両面に亘り住民生活各般の事項を協議し住民相互の教化向上を図ること  

 (ハ)部落会及町内会区域内の各種会合は成るべく部落常会及び町内常会に統合すること

二 隣保班

(一)部落会及町内会の下に十戸内外の戸数より成る隣保班(名称適宜)を組織すること

(二)隣保班の組織に当りては五人組、十人組等の旧慣中存重すべきものは成るべく之を採り入るること

(三)隣保班は部落会又は町内会の隣保実行組織とすること

(四)隣保班には代表者(名称適宜)を置くこと

(五)隣保班の常会を開催すること

(六)必要あるときは隣保班の連合組織を設くることを得ること

三 市町村常会

(一)市町村(六大都市に在りては区以下同じ)に市町村常会(六大都市の区に在りては区常会以下同じ)を設置すること

(二)市町村常会は市町村長(六大都市の区に在りては区長)を中心とし部落会長、町内会長又は町内会連合会長及市町村内各種団体代表者其の他適当なる者を以て組織すること

(三)市町村常会は市町村内に於ける各種行政の総合的運営を図り其の他第一の目的を達成する爲必要なる各般の事項を協議すること

(四)市町村に於ける各種委員会等は成るべく市町村常会に統合すること

 

戦後、町内会や隣組がポツダム政令で禁止されて以降、国がコミュニティに対して直接関与することは避けられていました。

しかし1969年に国民生活審議会が「コミュニティ-生活の場における人間性の回復」と題した報告を出したことが大きな転機となりました。

この報告を受けて(主導して?)当時の自治省が「コミュニティ(近隣社会)に関する対策要綱」を策定。

これによって日本型コミュニティ政策が本格的に始まったと言われています。

この重要な転機となった背景は、「昭和の大合併」(1953年の町村合併促進法施行、新市町村建設促進法によって9,868あった基礎自治体が1961年に3,472の約3分の1に減少)で、地方自治の基礎である地域コミュニティの希薄化が懸念されていたことが要因の一つだと思われます。

この状況は、1995年の合併特例法に始まり2005年から2006年にかけてピークを迎えた市町村の合併によって、市町村数が3,234から1,821に減少したいわゆる「平成の大合併」後の現在の状況と良く似ているのでは無いでしょうか。

 

 

市町村合併の歴史

参考までに、「平成の大合併」が行われた背景は、地方分権の推進や少子高齢化の進展、広域的な行政需要の増大ならびに行政改革の推進の必要性であるとされています。

 

「平成の合併」の背景

 

「コミュニティ(近隣社会)に関する対策要綱」は、「住民が望ましい近隣生活を営むことができるような基礎的な地域社会をつくるため、新しいコミュニティづくりに資する施策をすすめる」と小学校区程度の規模のモデル・コミュニティ政策を推進した訳ですが、その政策の基礎となっている1969年の国民生活審議会報告「コミュニティ-生活の場にお ける人間性の回復」について、次回は詳しく見ていきたいと思います。(つづく)

 

 

草津市協働のまちづくり条例(案)に関する考察(その3)

【草津市協働のまちづくり行動計画】

 前回は、草津市協働のまちづくり条例(案)の中で大きなウエイトを占めているまちづくり協議会に関する内容について、平成20年8月に策定された草津市協働のまちづくり指針から該当する箇所を抜き出してみました。

 草津市協働のまちづくり指針では、「住民自治の推進に向けての調査や研究、実証実験などを積み重ね、住民とともに新しい自治のしくみを創りあげていくことが大切です。」と地域内分権の推進を謳いそのためには町内会や自治連合会動の活性化が必要であると位置づけて4段階のステップを示しています。
 ステップ1では、新規にまたは既設組織を改編して地域協議会等を設立し、ステップ2では設立された地域協議会やその構成団体ごとに協議を重ねたり住民アンケートなどを取り、ステップ3の第1段階では地域まちづくり計画を策定し第2段階では専門性を持って活動しているNPOと連携する。そしてステップ4ではこれらの経験を重ねて熟度の高まった地域協議会に対して 住民サービスの権限と財源を一部委譲して地域内の住民自治の充実を図るという内容です。

 こうした戦略をもって設立を推進しようとしたまちづくり協議会(=地域協議会)をより具体化するための政策としてまとめられたものが今回取り上げる草津市協働のまちづくり行動計画であると思われます。

 草津市協働のまちづくり行動計画の「はじめに」の中で、まちづくり協議会のような新しいまちづくりの仕組みが必要であることを次のように説明しています。

 「~なかでも、各学(地)区の住民自治においては、これまで、町内会・自治連合会などが中心となり地域課題の解決に取り組んできましたが、少子高齢社会を迎え、真の地方分権を確立するため、市民と行政の連携をさらに深めた「新たなまちづくりの仕組み」を必要とし、町内会や自治連合会に地域の各種団体等を加えた地域づくり組織へと再構築し、市民と行政が連携協力して “協働のまちづくり”を進めることにより持続可能な地域経営を目指しています。」(草津市協働のまちづくり行動計画)

 また、これに続く「新たな住民自治組織の必要性」と題した項目の中で、少子・高齢化の進行や人口減少社会の到来を迎える中で民生費の増加など受益と負担のバランスが崩れて現在の市民サービスを維持することが困難であることから住民自身で行えるサービスは自らの手で行う、住民参加型の住民自治の新たな仕組みが必要となってきていることから学(地)区単位での住民参画・住民主体の住民による住民自治の新たな組織が必要となっていると論じ、まちづくり協議会を設置するメリットとして次の5点を示しています。

① 地域内の課題解決の迅速化
現行の各種補助金等、新たに委譲する行政サービスの経費等を一本化して交付金化し、使途裁量権を拡大することにより、まちづくり協議会が地域の実情に合わせて、弾力的に運用することができます。これにより地域内の課題に対する迅速な対応が可能になります。また、自治活動費の弾力的な運用により活動の活性化も期待できます。

②住民自治の具現化
地域の将来を、地域住民が責任をもって考え、住民主体で住民の望む暮らしやすいまちづくりを実現していくことができます。

③地域住民の連帯感の醸成
住民の参画や各種団体が連携することにより、地域に一体感が生まれ、それぞれの住民個人が持つ個性を発揮しやすくなり、町内会などの運営も円滑に行われるようになります。

④市民サービスの維持・向上
行政サービスの経費等を地域へ委譲することで、個別手続きの簡素化など迅速な対応による市民サービスの向上と経費の低減が期待できます。

⑤行財政運営の健全化・効率化 現在まで市が担ってきた公共サービスを補完性の原理※に基づいた効率的な役割分担を行うことで、行財政運営の健全化・効率化が図れます。 (草津市協働のまちづくり行動計画より)

 

 また、次の項目ではこの行動計画の位置づけが第5次草津市総合計画の基本構想に基づく基本計画のリーディングプロジェクトの一つである「地域社会における“新しい段階”の市民自治づくり」を具体的に進めていくものであると位置づけています。

 策定の経緯

 さらに草津市協働のまちづくり指針やその出発点となっている「草津市行政システム改革行動指針」(平成16年12月)で示されていた「協働システム構築のための地域づくり~市民や地域との連携・協働を進める~」からの経緯について以下の図で示しています。

策定の経緯

 ところで、まちづくり協議会とはどのような組織なのでしょうか?

 まず前提となっているのは、小学校区などが基本単位と決められています。
 そして、まちづくり協議会は「住民自治活動の根幹である町内会、自治連合会を基礎として」構成し、住民自治・身近な行政サービスを行い、行政に対して地域を代表する組織であると位置づけられて現在各地域で活動している団体はまちづくり協議会の一員として、まちづくり協議会の部会に属して活動していく必要があるとしています。

 「既存組織とまちづくり協議会との関係   各学(地)区には、多種多様な活動団体が存在しており、それぞれの組織がそれぞれの目的に沿って活動しています。今後は、地域課題を解決するまちづくり協議会の一員として、関係する部会に属して相互連携を図り、活動していく必要があります。」(草津市協働のまちづくり行動計画より)

  
 草津市協働のまちづくり行動計画は、平成22年度から平成24年度の3年間の計画として進められ現在は次のステップに移っていると考えられますが、13学区のすべてにまちづくり協議会が設立され既に活動が行われている今、改めて振り返るとその背景や経緯、具体的イメージが良く分かります。

具体的イメージ

 次回は、行政が学区単位の自治組織を推進してきた歴史や全国的な動き、その背景や意図などについて詳しく調べてみることにします。 (つづく)

 

草津市協働のまちづくり条例(案)に関する考察(その2)

草津市協働のまちづくり条例(案)は、「橋川わたるマニフェスト2008」に掲げられて策定された草津市自治体基本条例の第25条「市長は、まちづくりにおける協働に関する基本的な事項を整備するものとする。」を根拠としています。

また、草津市自治体基本条例の逐条解説書で次のように示しています。

「市では草津市協働のまちづくり指針(平成20年8月)と、この指針をより具体化した草津市協働のまちづくり行動計画(平成23年3月)を策定し、住みよいまちを築くための協働の取組みを推進しています。」

マニフェストとの関係

 

そこで、今回はこの草津市協働のまちづくり指針の内容を確認したいと思います。

以下、草津市協働のまちづくり指針の中の特に「新しい自治のしくみ」について書かれている部分を引用します。

 第2章 協働の推進のために~誰もが主役でパートナーのまちづくり~

 2.協働を進めるためにそれぞれに期待されること

 ○地域内分権の推進
 住民自治の推進に向けての調査や研究、実証実験などを積み重ね、住民とともに新しい自治のしくみを創りあげていくことが大切です。

 第3章 これからの草津 ~住みよいまちをきずくために~

 1.わたしたちの取り組み

 (2) 町内会・自治連合会活動の活性化

 ●ステップ1
 地域活動は自治連合会や町内会、学区・地区社協、子ども会、高齢者の会など様々なメンバーで構成されています。自分たちのまちを語るときには、そこに暮らすすべての人に意見を述べる権利があります。広く意見を聴き、調整し、集約する組織を立ち上げることも選択肢の一つです。
 ・地域協議会等の設立(新規、既設組織の改変)

 ●ステップ2
 地域で抱える課題や共通するテーマについて、まずはみんなで話し合いましょう。誰かを責めたり、一方的にお願いをするのではなく、みんなが暮らすまちをどうしたらもっと住みやすくなるのか、それに向かって自分たちは何ができるのかいっしょに考えましょう。
 ・地域協議会等、あるいは構成団体ごとの役員会、総会などでの協議
 ・住民アンケートの実施

 ●ステップ3-1
  話し合いを重ねる中で、このまちをどうしていきたいのか、みんなの夢を語りあいましょう。そして、その夢をかたちにするために、誰が、何を、どういう手順で、いつまでに進めていくのかを決めていきましょう。
 ・地域まちづくり計画の策定(住民主導による)

 ●ステップ3-2
 地域の課題を解決する取り組みを進める上で、専門的なアドバイスやノウハウの習得が必要なとき、行政もパートナーとなりますが、より暮らしの現場に近く、専門性を持って活動するNPO等の皆さんがあるなら、まちづくりの優れたパートナーです。最適なパートナーを選びましょう。

 ●ステップ3-3
 せっかくのまちづくり活動もみんなの理解や賛同が得られなければ、思うほどの成果をあげることはできません。みんなが理想や目的を共有し、情報がきちんと伝わっていることが大切です。地域内のミニコミ紙づくりやインターネットを利用した情報発信や意見交換の場づくりが有効です。 また、自分たちの取り組みを広く公開することで、より多くの人から意見をもらったり、まちづくりを通じた交流の輪を広げることができます。
 ・地域のホームページの立ち上げと充実 ・地域パートナー情報誌の活用

 ●ステップ4
 こうした経験を積み重ね、地域のまちづくりは地域のみんなで進め、熟度の高まった組織体(地域協議会など)に対しては、現在、行政が行っている公共サービスの一部にかかる権限と財源を委譲して、住民による地域自治を進めていただきます。
 ・地域内の住民自治の充実 ・住民サービスの権限と財源の委譲    (引用はここまで)

 

ここで示されているのが、現在市内13学区全てに設置されているまちづくり協議会のことだと思われます。

次回は、草津市協働のまちづくり行動計画(平成23年3月)で、このまちづくり協議会に関することがどのように深まって具体化されているのかを確認します。(つづく)

お散歩情報

イルミネーション

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まちづくり
執筆 : 
まちづくり本舗 2010-12-3 23:59

本日より、 草津駅東口デッキでクリスマスイルミネーションのライトアップが実施されています。

期間は、12月3日から25日の18時から21時まで
また、12月15日(水)19時からイルミネーションコンサートが行われる予定です。

【企画】草津社中「イルミネーション有志の集い」

 

街あかり華あかり夢あかり

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まちづくり
執筆 : 
まちづくり本舗 2010-11-5 23:35

 11月5日(金)~6日(土)の2日間に渡って、草津街あかり華あかり夢あかり(同実行委員会主催)が開催されています。 http://www.kusatsu-machiakari.net/

まめまめ大作戦

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まちづくり
執筆 : 
まちづくり本舗 2010-10-24 20:14

10月23日(土)、草津商店街・旧草津川跡地・込田公園周辺で「まめまめ大作戦」(共催:草津市商店街連盟・NPO 子どもネットワーク天気村)が開催されました。

写真は、商店街をパレードで巡る「てるてるプロジェクト」の様子です。

大津ジャズフェスティバル

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まちづくり
執筆 : 
まちづくり本舗 2010-10-16 23:31

 市民ボランティアによる手づくりのイベント「第2回大津ジャズフェスティバル」(大津ジャズフェスティバル実行委員会)が10月16日(土)と17日(日)の両日、浜大津周辺で開催されています。

くわしくは、こちらをご覧ください。

草津アート市

カテゴリ : 
まちづくり
執筆 : 
まちづくり本舗 2010-10-16 23:04

 10月16日と17日の2日間、JR草津駅東口の駅前デッキおよびその周辺で「草津アート市」(草津まちづくりNPO)が開催されています。

詳しくは、こちらをご覧ください。