協働のまちづくりに関する事例(2)

前回は、出雲神話「ヤマタノオロチ伝説」で知られている島根県雲南市の事例について調べてみました。

雲南市は、平成16年の11月に大原郡大東町、加茂町、木次町、飯石郡三刀屋町、掛合町、吉田村の6町村が新設合併して誕生しましたが、標準的な自治体とは違い広大な面積(553平方キロメートル)に約4万2千人が暮らす人口密度が低い地域であることから、少子高齢化が進み独居老人や高齢者だけの世帯が多い中で行政の手が行き届かないことが大きな課題とされています。そうした中で合併協議の際から協議を重ねて合併時には42の地域自主組織が結成されました。また、その拠点となる公民館を交流センターへ名称変更し地域から選ばれたまちづくりに熱意のある方が運営に携わっているそうです。

地域自主組織は、旧来型の地縁組織とは違いコミュニティビジネスにも積極的にチャレンジされています。例えば温泉地区地域自主組織(通称「ダム湖の郷」http://onsentown.com/ では、NPO法人を立ち上げて道の駅で農業レストランを運営されています。

また、里山を活用したユニークな取組として、里山再生プロジェクト推進地域協議会による林地残材を活用したチップボイラーに関する事業があります。

チップボイラーは温泉施設などに導入され、その材料となる林地残材はトンあたり6千円相当の地域通貨と交換されるそうです。

さて、今回紹介するのは雲南市繋がり(「雲南ゼミ」をきっかけに地域自主組織を持つ伊賀市、名張市、朝来市によって共同協議を行っている関係)という訳で伊賀市です。

伊賀市は、平成16年11月に1市6町村による合併で誕生した市ですが、合併は目的ではなく地域内分権のチャンスと考え、独自の自治の実現のための検討が行われ合併後の最初の議会で「伊賀市自治基本条例」を議決しています。

 

基本条例(第3条)で、その基本理念を次のとおり示しています。

市民及び市は、次に掲げる基本理念により、まちづくりを推進するものとする。

(1) 補完性の原則に基づき、市民自身あるいは地域が自らの責任のもと、まちづくりの決定や実行を行うとともに、市は、これらの活動を支援し、また、市自らも改革を進めるなど、市民が主体となり地域の個性が生きた自治を形成する。

(2) 自然との共生を図り、各地域が有する様々な資源を有効に活用するなど次世代に引き継いでいくことができる持続発展可能な循環型の共生地域を形成する。

(3) 市民が情報を共有し、自由に行き来できる環境づくりに努めるとともに、他圏域と交流・連携を進めるなど、創造性あふれる地域を形成する。

 

また、市民憲章の中で自治の基本原則について次のように定めています。iga

私たち市民は、次の6つの原則により自治を進め、“ひとが輝く 地域が輝く”伊賀市のまちづくりの実現を目指し、この憲章を定めます。

一. まちづくりに関する情報をみんなで共有します。

一. まちづくりには、みんなが参加できるようにします。

一. まちづくりは、みんなでつくった計画に基づき実施します。

一. まちづくりは、まず自ら行い、さらに地域内で助け合って進めます。

一. まちづくりは、互いに連携・協力しながら進めます。

一. まちづくりの実施を評価し、次の活動に活かします。

 

こうした徹底した市民自治の理念に基づいて、様々な取組がなされていますが、その様子は「地域自治活動事例集」としてまとめられています。

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地域自治活動事例集の掲載サイトへ

また、住民自治協議会の活動を支援する施策もユニークです。

例えば、「課題発見支援」は、団体が自らのこれまでの事業を振り返り、専門家からアドバイス等を受け、団体や地域が抱える課題を発見し、その解決を図る上限50万円の補助事業です。更に「協働促進支援」など、協働の推進や自立した継続的な活動につながる活動などへの助成金制度があります。

(つづく)

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