草津市協働のまちづくり条例(案)に関する考察(その3)

【草津市協働のまちづくり行動計画】

 前回は、草津市協働のまちづくり条例(案)の中で大きなウエイトを占めているまちづくり協議会に関する内容について、平成20年8月に策定された草津市協働のまちづくり指針から該当する箇所を抜き出してみました。

 草津市協働のまちづくり指針では、「住民自治の推進に向けての調査や研究、実証実験などを積み重ね、住民とともに新しい自治のしくみを創りあげていくことが大切です。」と地域内分権の推進を謳いそのためには町内会や自治連合会動の活性化が必要であると位置づけて4段階のステップを示しています。
 ステップ1では、新規にまたは既設組織を改編して地域協議会等を設立し、ステップ2では設立された地域協議会やその構成団体ごとに協議を重ねたり住民アンケートなどを取り、ステップ3の第1段階では地域まちづくり計画を策定し第2段階では専門性を持って活動しているNPOと連携する。そしてステップ4ではこれらの経験を重ねて熟度の高まった地域協議会に対して 住民サービスの権限と財源を一部委譲して地域内の住民自治の充実を図るという内容です。

 こうした戦略をもって設立を推進しようとしたまちづくり協議会(=地域協議会)をより具体化するための政策としてまとめられたものが今回取り上げる草津市協働のまちづくり行動計画であると思われます。

 草津市協働のまちづくり行動計画の「はじめに」の中で、まちづくり協議会のような新しいまちづくりの仕組みが必要であることを次のように説明しています。

 「~なかでも、各学(地)区の住民自治においては、これまで、町内会・自治連合会などが中心となり地域課題の解決に取り組んできましたが、少子高齢社会を迎え、真の地方分権を確立するため、市民と行政の連携をさらに深めた「新たなまちづくりの仕組み」を必要とし、町内会や自治連合会に地域の各種団体等を加えた地域づくり組織へと再構築し、市民と行政が連携協力して “協働のまちづくり”を進めることにより持続可能な地域経営を目指しています。」(草津市協働のまちづくり行動計画)

 また、これに続く「新たな住民自治組織の必要性」と題した項目の中で、少子・高齢化の進行や人口減少社会の到来を迎える中で民生費の増加など受益と負担のバランスが崩れて現在の市民サービスを維持することが困難であることから住民自身で行えるサービスは自らの手で行う、住民参加型の住民自治の新たな仕組みが必要となってきていることから学(地)区単位での住民参画・住民主体の住民による住民自治の新たな組織が必要となっていると論じ、まちづくり協議会を設置するメリットとして次の5点を示しています。

① 地域内の課題解決の迅速化
現行の各種補助金等、新たに委譲する行政サービスの経費等を一本化して交付金化し、使途裁量権を拡大することにより、まちづくり協議会が地域の実情に合わせて、弾力的に運用することができます。これにより地域内の課題に対する迅速な対応が可能になります。また、自治活動費の弾力的な運用により活動の活性化も期待できます。

②住民自治の具現化
地域の将来を、地域住民が責任をもって考え、住民主体で住民の望む暮らしやすいまちづくりを実現していくことができます。

③地域住民の連帯感の醸成
住民の参画や各種団体が連携することにより、地域に一体感が生まれ、それぞれの住民個人が持つ個性を発揮しやすくなり、町内会などの運営も円滑に行われるようになります。

④市民サービスの維持・向上
行政サービスの経費等を地域へ委譲することで、個別手続きの簡素化など迅速な対応による市民サービスの向上と経費の低減が期待できます。

⑤行財政運営の健全化・効率化 現在まで市が担ってきた公共サービスを補完性の原理※に基づいた効率的な役割分担を行うことで、行財政運営の健全化・効率化が図れます。 (草津市協働のまちづくり行動計画より)

 

 また、次の項目ではこの行動計画の位置づけが第5次草津市総合計画の基本構想に基づく基本計画のリーディングプロジェクトの一つである「地域社会における“新しい段階”の市民自治づくり」を具体的に進めていくものであると位置づけています。

 策定の経緯

 さらに草津市協働のまちづくり指針やその出発点となっている「草津市行政システム改革行動指針」(平成16年12月)で示されていた「協働システム構築のための地域づくり~市民や地域との連携・協働を進める~」からの経緯について以下の図で示しています。

策定の経緯

 ところで、まちづくり協議会とはどのような組織なのでしょうか?

 まず前提となっているのは、小学校区などが基本単位と決められています。
 そして、まちづくり協議会は「住民自治活動の根幹である町内会、自治連合会を基礎として」構成し、住民自治・身近な行政サービスを行い、行政に対して地域を代表する組織であると位置づけられて現在各地域で活動している団体はまちづくり協議会の一員として、まちづくり協議会の部会に属して活動していく必要があるとしています。

 「既存組織とまちづくり協議会との関係   各学(地)区には、多種多様な活動団体が存在しており、それぞれの組織がそれぞれの目的に沿って活動しています。今後は、地域課題を解決するまちづくり協議会の一員として、関係する部会に属して相互連携を図り、活動していく必要があります。」(草津市協働のまちづくり行動計画より)

  
 草津市協働のまちづくり行動計画は、平成22年度から平成24年度の3年間の計画として進められ現在は次のステップに移っていると考えられますが、13学区のすべてにまちづくり協議会が設立され既に活動が行われている今、改めて振り返るとその背景や経緯、具体的イメージが良く分かります。

具体的イメージ

 次回は、行政が学区単位の自治組織を推進してきた歴史や全国的な動き、その背景や意図などについて詳しく調べてみることにします。 (つづく)

 

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