2014年11月29日、栗東市商工会館で第47回衆議院議員総選挙に先
パネラーは、武村展英氏、小川やすえ氏、西川ひとし氏の3名でコーディネーターは滋賀県立大学の大橋松行氏。
自己紹介の後、「消費税の先送りについて」「地方創生について」「外交・安全保障について」「今回の選挙の争点とは?」といったテーマで各自持論を述べると共に、相互に一問一答での質疑応答が交わされました。
2014年11月29日、栗東市商工会館で第47回衆議院議員総選挙に先
パネラーは、武村展英氏、小川やすえ氏、西川ひとし氏の3名でコーディネーターは滋賀県立大学の大橋松行氏。
自己紹介の後、「消費税の先送りについて」「地方創生について」「外交・安全保障について」「今回の選挙の争点とは?」といったテーマで各自持論を述べると共に、相互に一問一答での質疑応答が交わされました。
【エピローグ】
深夜にサイトをチェックしていると、shimin.info に組み込まれているfacebookに「草津市協働のまちづくり条例(案)のパブリックコメント募集」との記事が入ってきました。
時間は0時30分。
「こんな夜中に草津市役所の方は仕事してるんだ」と一瞬思いました。 でも、すぐに予定投稿してるんだと気がつきました。
ホームページに掲載する記事を書いて、すぐにサイトに公開する方法以外に、日時を決めておいて指定した日時になれば自動的に記事が公開されるしくみがあるんです。
この機能を使えば、事前に準備しておいて忘れることなく投稿できるので便利ですよね。
参考までに、以下のサイトでは草津市に関連するサイトのRSSを登録してありますので、記事の更新があれば自動的に掲載されるようになっています。
是非、ご活用ください。
市民インフォメーション http://shimin.info/
論だん草津facebook https://www.facebook.com/rondan.net
さて、前置きはこれくらいにしておいて、そろそろ本題に入ります。
本日より、草津市協働のまちづくり条例(案)のパブリックコメントが募集されましたので、これを機に条例案の策定に至る背景や経過、マニフェストで示されていた草津市自治体基本条例との関係、更には全国的なコミュニティ政策の潮流などについて考えていきたいと思います。
【草津市自治体基本条例との関係について】
草津市には、市政運営における最も基本となる上位規範としての草津市自治体基本条例(平成24年4月1日施行)があります。
「地方分権時代における「自治(=自らのことを自らの手で行うこと)」を確立するため、市政の主体である市民、議会、市長の役割を明らかにするとともに、市民の信託に応えるための市政の基本原則と、その運営のためのしくみを定めることを規定しています。」(草津市自治体基本条例逐条解説書より)
草津市自治体基本条例では、市政の基本原則として「市民は、市政に参加する権利を有する。」と定めていますが、この条項は自治を確立するための市政運営のルールブックである証でもあります。
そして、市民参加に関して必要な事項については、別途条例を定めるものとされており草津市住民投票条例および草津市市民参加条例が既に制定(平成25年3月31日施行)されています。
草津市住民投票条例は、その目的を次にように位置づけています。
「この条例は、草津市自治体基本条例(平成23年草津市条例第11号。以下「基本条例」という。)第28条に規定する住民投票の実施に関し、必要な事項を定めることにより、住民の市政への参加を推進し、もって自治の確立を図ることを目的とする」(草津市住民投票条例第1条より)
また、草津市市民参加条例は、「草津市自治体基本条例のもと、市政に参加する権利を有する市民がより積極的に市政に参加できるよう、必要な手続について規定する」(草津市市民参加条例前文より)ものです。
今回、草津市市民参加条例(案)のパブリックコメントが募集された草津市市民参加条例(案)については、、草津市自治体基本条例などとの関係性については、次のとおり示されています。
このように、草津市自治体基本条例の制定からの一連の条例策定に至っている訳ですが、その背景について考えてみたいと思います。
草津市自治体基本条例については、同様の条例が一般的には「自治基本条例」や「まちづくり基本条例」(以下、基本条例と略す)という名称で全国各地の自治体で制定されています。
基本条例は、住民自治に基づく自治体運営の基本原則を定めた条例とされ「自治体の憲法」とも言われ、昭和62年に埼玉県川口市で制定された「まちづくり基本条例」を皮切りに、大阪府箕面市の「まちづくり理念条例」(平成9年)や北海道のニセコ町「まちづくり基本条例」(平成13年)などが全国に先駆けて制定されました。NPO法人公共政策研究所のホームページ(http://www16.plala.or.jp/koukyou-seisaku/policy3.html)によると、現在は292の自治体で制定されていますが、その中で草津市は250番目に記載されています。
全国の自治体数は1,742(平成25年1月現在)ですから、17%近い自治体でこうした基本条例が制定されていることになります。
こうした趨勢があったとはいえ、草津市ではどのような経緯で基本条例を制定することが決定されたのでしょうか?
私たちは「市民によるマニフェスト検証大会実行委員会」に参画していますので、橋川市政一期目のマニフェスト「市民と橋川わたるの『もっと草津』宣言」についても検証してきました。
このマニフェストの施策20に「市民と協働・協創のまちづくりの基本ルールを定めます!」と題して基本条例を制定することが明記されています。
マニフェストでは、平成21年3月までに制定することになっていましたが、市民の議論を深めるなどの理由で審議が延長され、平成23年7月1日に市議会で可決されました。
このことから、基本条例を策定するプロセスにおいて市長選におけるマニフェストを通じて(また草津市自治体基本条例検討委員会やパブリックコメントなども含めて)市民がコミット(=関与、関係)したことは間違いありません。
関連情報 http://www.city.kusatsu.shiga.jp/shisei/kaigishingikai/hokoku/chikijinkenbosaisomu/jititaikihon.html
(つづく)
現在パブリックコメントに付されている「第5次草津市総合計画 第2期基本計画(案)」(以下、第2期基本計画案と略す)とマニフェスト(ロードマップ)を見比べてみました。
その結果、第2期基本計画案の中には、殆どのマニフェスト関連事業が位置づけられていることが分かりました。中には3回も重複して掲載されている事業もあります。
関連付されていない事業は僅か2つの事業。
マニフェストの施策39に書かれている「自転車専用レーン等の整備」および施策40の「新交通システムの検討」の2件だけです。そのいずれも「草津市総合交通戦略」を策定する中で検討することになっています。
第2期基本計画案は3つのリーディング・プロジェクト(草津川跡地の空間整備、中心市街地の活性化、コミュニティ活動の推進)を軸として、分野別の施策のほとんどを網羅する形でマニフェストが関連づけられているのです。
このことから、市長マニフェスト「『さらに』草津宣言」は第2期基本計画との合致を想定されているものであるということが分かりました。第2期基本計画案とロードマップとの大きな違いは、4年間の予算が掲載されていることではないかと思います。
ここに来て、残る疑問はこうです。
「だったら何故『ロードマップ』が必要なのか!?」
あるニュース番組ではありませんが、ズバッと言いますけど「はっきり言ってロードマップは必要無いんじゃないですか!」。
ロードマップがあるから、妙な混乱や分かりにくさが付きまとってしまうんです。
素直に「マニフェストは草津市の最上位計画である第2期基本計画に落とし込んで実現させます」ということで良いのです。そうでないと辻褄が合いませんから。
というのは、草津市は前期のマニフェスト「『もっと』草津宣言」に基づいて草津市自治体基本条例を策定しました。
「自治基本条例」では無く、あえて「自治体基本条例」とされている点など疑問の多い条例(こちらを参照)ではありますが、「市は、市政運営ならびに条例の制定、解釈および運営に当たっては、この条例を基本としなければならない。」と定めている訳ですから、これに逆らうことはできません。まして、この条例を策定した現職市長なら尚更です。
そして、草津市自治体基本条例では第4章「市政運営」の中で、次のとおり明記しています。
この条例の第13条6項では「市の政策は、緊急を要するもののほかは、総合計画によるものとする。」と定めています。
すなわち、突然起こった不測の事態など緊急を要する以外の通常の施策は、総合計画に基づいて実施しなければならないのです。
いくら、マニフェストと言ってもこれに関連づける以外の方法で事業を実施することなどできませんし、やってはいけないのです。
だから、ロードマップという名称の政策は市長がマニフェストに基づいて実施する総合計画とは別の計画では無く、極端な言い方をすると総合計画の中に位置づけられて初めて実施が許されるものです。(「政策」と「施策」の違いウンヌンは長くなるので省略しますが。)
このように説明すると、「総合計画に基づきて政策を行わなければならないんだったら、誰が市長になっても同じだしマニフェストなんか意味が無いのでは?」と思う人がいるかもしれません。
でも、ご心配無く。ちゃんと方法が決められています。
第13条5項で「市は、市長の任期ごとに基本計画を策定する。」と謳っています。
これがどういう意味かについては、逐条解説書で「第5項では、現在、多くの首長がいわゆるマニフェスト(選挙公約)を掲げて当選することが通例になってきていることを踏まえ、本市においても、マニフェストを市の政策の中に盛り込み、その政策と総合計画との整合を図り、市は市長の任期に合わせて基本計画を策定することとしています。」
マニフェストは、ロードマップとして政策の中に盛り込むのでは無く、総合計画とに整合を図りながら基本計画に落とし込めば良いのです。
こうじゃないと、例えば「『もっと草津』宣言 ロードマップに関する市民意識調査」(2011年8月)や「平成23年度草津市のまちづくりについての市民意識調査結果報告書」(2012年3月実施)など、今後も重複するアンケートをそれぞれ実施しなければならなくなるし、行政コストや業務負担が増大することになります。
「じゃぁ、総合計画そのものが気に食わなければどうするの?」ということを心配する人もいるかも知れません。
ご安心ください。第13条8項で「市は、総合計画を見直すことができる。」と明記していますので。
「今日の急激な地域経済社会の変動の中にあって、10年後の理想像を描いた総合計画(基本構想)が本当に機能するのか?」「そもそも、基本計画なんて時代にそぐわないから不用だ!」と考える方々も沢山おられます。
鳥取県知事時代の片山善博氏(元総務大臣)が、それまでの総合計画のあり方に疑問を持ち総合計画に頼らない県政を確立したことはよく知られています。
こうした事情もあって、平成23年に地方自治法が一部改正され、地方公共団体に義務付けられていた基本構想の策定義務が撤廃されました。
地方自治法で撤廃された基本構想を、草津市はあえて自治体基本条例の中で議会の議決が必要なものとして義務化したというのであれば、それに従うか、もしくは改正のための訴えを起こさなければなりません。しかし、現時点では「この条項を撤廃すべし」という声は耳に入ってきませんから、この決まりで施策を実施するというのが筋です。
このことから今後、草津市におけるマニフェストの基本ベースは、選挙の時点で策定されている基本構想の問題点を指摘し(あるいは同意し)その変更(あるいは実現)を訴え、それを実現するための基本計画案がマニフェストの中の施策として掲げられ、当選後はしっかり基本計画に組み込んで実行するというスタイルになるのかもしれません。そうじゃない奇抜なものも出てくるかも知れませんが・・・。
これまで連載で書いてきた私の疑問は、ロードマップという中間項があることで、ものの本質が見えにくくなっているところから来ているように思います。
是非とも、ストレートで分かり易い、そして誰もが関わりやすい市政運営が図られることを期待してこの論評を閉じます。(おわり)
先を急ぎますので、この連載はあと3回位で終わります。
分かりにくい内容で大変申し訳ありませんが、もう少しだけお付き合いください。
今回は、基本計画の中の主軸事業とリーディング事業、そしてマニフェスト関連事業の3つの事業の関係について分析します。
その次は、総合計画と自治体基本条例。
従来、総合計画は地方自治法を根拠に置いていましたが、法令改正により現在は各自治体の判断に委ねられています。そこで、草津市では「草津市自治体基本条例」で総合計画を市政運営の最上位の計画として位置づけていますので、その経緯や内容などを分析してみたいと思います。
最後は全体を振り返って集約する予定です。
でも、気が変わって途中で止めるか、あるいは追加するかも知れませんのであしからず。
(3)総合計画の中の3つの事業分類
「第5次草津市総合計画第1期基本計画」(以下、基本計画と略す)をよく読むと事業の区分が3種類あることに気がつきます。
一つは主軸事業。もう一つはリーディング事業、そしてマニフェスト関連事業。
これら3つの事業区分が基本計画における主要事業と位置づけられています。(下図)
ちなみに、この基本計画は草津市総合計画審議会設置条例(昭和44年4月1日条例第2号)に基づいて市長の諮問機関として設置された審議会がとりまとめたものです。
市長のマニフェストが基本計画の中に位置づけられているのは、市長から諮問し答申を受けて作成した計画ですから当然といえば当然です。
参考までに、市長の権限は行政組織を統括・代表し、予算を調製・執行したり、条例の制定・改廃の提案及びその他議会の議決すべき事件について、議案を提出したりすることができるというものです。
総合計画の場合、基本構想については自治体基本条例の規定では議決事項とされていますが基本計画は議決事項としては指定されていませんので、市長の権限内で策定・執行できるものと考えられます。
このことを踏まえて、もう一度じっくり基本計画を眺めていると疑問が出てきました。
マニフェストとリーディング・プロジェクトとの関係はどのようになっているのか?
リーディング・プロジェクトは、言葉の意味からすると全体を先導的にリードしていく施策であると理解できますので、最も力を注いで実現していくべき事業だと推察できます。
具体的に、基本計画では3つのプロジェクトが指定されています。
水と緑と文化に満ちた暮らしプロジェクト
はつらつ草津の未来プロジェクト
市民が学んで築く地域プロジェクト
これらは、「ふるさと草津の心」がおのずから生み出されるよう、重点的・分野横断的な視点から設定され、基本計画期間において成果が強く望まれる施策・事業で波及効果が期待できる内容だと位置づけられています。(下図)
先ほどの「疑問」というのは、重点的に行うべき事業の根拠がいくつかあり、一体どれが本当に重点的に行われるのかが非常に理解しづらいということです。
マニフェストを検証する立場から言うと、当然にしてマニフェストの施策が最も重要視されなければならないものです。
しかし、行政サイドから考えると草津市の最上位計画として総合計画(基本計画)があり、その中で最も重要であり先導的にリードしていくべき事業はリーディング・プロジェクトであると位置づけられています。
どちらも重要であり重点的に実施してくというのは分からなくも無いのですが、限られた予算の中でどちらかを選択しなければならないという場合も想定して「どちらかというとどちらが重要か」を知りたいという気も起こります。
テレビ番組で究極の選択として「二者択一」を出演者に求める場面を目にすることがあります。
役所にお聞きすると「どれも重要でいずれもないがしろにはしません」「総合的に政策の実現に向けて努めてまいります」というようなお答えが返ってきそうですが、実際はどうなのでしょうか。
せめて市長からは「もちろん、最も重視しているのはマニフェストです!」というようなお答えが頂きたいなぁ・・・。
平成23年度の進捗状況 を見ると、リーディング事業の一つ「地域ポータルサイト整備事業」(担当:情報政策課)については貢献度がD評価で事業費も平成22年度に11千円執行されているだけなので、実際には事業は見送られたと見て良いのではないかと思います。
また、基本計画の期中評価が平成24年11月に公表されていますので、3つの事業区分ごとに分析をしようと思いましたが、ベンチマークは57項目の基本方針ごとに区分されているだけなので、主要事業の3つの区分別の検証には時間がかかりそうです。(つづく)
前回に引き続いて、マニフェスト(ロードマップ)と総合計画(基本計画)との違いについて調べてみました。
まず注目したのは、マニフェストの政策2「活力をさらに」の中の施策として掲げられている「市民との協働・共創のまちづくりを進めます!」。
この中の「市民参加条例」については、平成24年11月の草津市議会定例会において全員賛成により可決され平成25年3月31日より施行されることになりました。
※市民参加条例に関する疑問点は、次の連載記事をご覧ください。
そこまでは良いとして、ロードマップの成果指標を見て疑問を感じました。
というのも、「第5次草津市総合計画第1期基本計画」では、地域コミュニティ活動や市民活動の活性化、市民主体のまちづくりを支援する体制の充実といった事業の進捗状況を示す指標は下図のとおりです。
このように、基本計画では町内会活動に参加している市民の割合や市民活動等の団体数、市立まちづくりセンターの利用者数といった極めて具体的な数値目標が示されています。
一方、ロードマップには、そうした客観的データではなくアンケート調査による満足度を目標値としています。
具体的に「市民主役のまちづくりが進んでいると思う市民の割合」については、平成24年度が22%、これを平成27年度には22.8%にするということが示されているのですが、アンケート結果で0.8%の増を目指すということに、いかほどの意味があるのでしょうか?
より客観的に判断できる数値があるのにアンケート結果に基づく満足度、しかも4年間で1%にも満たない増加を目標にするというのは、マニフェストで「もっと」から「さらに」と表明し「幸せが実感できるまちをめざして」とサブタイトルを付けられていることから考えると、市民が実感できるものをめざした目標としてはあまりにも消極的です。
同じようなことは、基本計画の「まちづくり情報の提供の充実」という項目を見ると、達成目標はポータルサイトアクセス数という具体的で客観的な数値となっています。(下図)
他方、ロードマップでは「まちづくり情報の提供の充実に満足している市民の割合」というアンケート調査による満足度が指標とされていて、しかも最終年度の目標値が21.5%という微妙に遠慮がちな数字になっています。
さらに「市政運営に信頼がおけると思う市民の割合」の最終目標が30%という数字も含めて、これが本当に目標値として適切なのでしょうか。(下図)
特に、「市政運営に信頼がおけると思う市民の割合」が30%で良いというのなら、残りの市民は市政運営に信頼を置いていないということになると思うのですが、目標とする市民と行政の信頼関係はその程度のものなのでしょうか。
同じロードマップの「地球温暖化対策に取り組む市民の割合」の目標値は62%ですが、この大きな開きは気になります。
ついでにもう一つ象徴的な数字があります。
マニフェスト(ロードマップ)政策3の中にある「ごみの資源化率」です。
この項目の目標率は具体的で客観的なものであり、平成24年度は基本計画で定めている数値と合致しています。
この点は、久しぶりに気持ちがいいです。
でも、平成21年度の15.6%から22.5%にがんばってやっているのにあと3年で僅か0.5%の増を目標にしか頑張ら無いというのでは、最終処分場を持たない自治体として将来が心配です。
参考までに、現在パブリック・コメントが募集されている「第5次草津市総合計画 第2期基本計画(案)」では、ロードマップで示されている目標値より0.5ポイント高い23%が平成27年度の目標値となっています。
あと、ロードマップに書かれている赤い文字が非常に気になります。
※第5次草津市総合計画と整合させるため、第2期基本計画確定時に成果指標および目標値を修正します。
分かるような気もしますが、やっぱり「ちょっと待った」という感じです。
第2期基本計画確定時にロードマップの成果指標の数値を上げるにしても下げるにしても、マニフェストの主体性は一体何処に行ってしまったのでしょうか。
どちらかと言うと、マニフェスト(ロードマップ)に基本計画を合わせるようにしないといけないのでは無いのでしょうか。
百歩譲って、総合計画を優先してマニフェスト(ロードマップ)の数値を合致させなければならないというのであれば、平成24年度の目標値は現行の第1期基本計画と合致させなければならないのではないのでしょうか。
※合致していないという事実関係については、前回の連載記事を参照ください。
まだ確定していない計画と合わせるために修正するとまで言っているのに、既に決定し実施されている基本計画とは整合させないというのはなんともおかしな話です。 (つづく)
マニフェストと総合計画との関係を解明するため連載を始めて今回で4回目となります。そんな折、「第5次草津市総合計画第2期基本計画(案)」に関するパブリック・コメントの募集が始まりました。
募集期間は、平成25年2月1日(金)から2月28日(木)まで。
この機会に、みなさんも是非基本計画(案)をご覧になってみてはいかがでしょうか。
※下図をクリックすると、パブリック・コメント募集のページにジャンプします。
では早速、前回のマニフェスト(ロードマップ)と総合計画との実施期間の比較に引き続いて、内容の比較検討をしてみたいと思います。
(2) 内容の比較
現在、行政の事業年度では平成24年度です。
マニフェスト(ロードマップ)は、初年度の取り組みですが、「第5次草津市総合計画第1期基本計画」は最終年度となります。
さて、「第5次草津市総合計画第1期基本計画」では、事業ごとに現況や課題を分析した上で、解決に向けた基本方針が示されています。
例えば、男女共同参画については次のとおりです。
そして、「男女がともに喜びと責任を分かち合える」ことを目標に掲げた4つの事業が示されています。
「第5次草津市総合計画第1期基本計画」のすばらしい点は、達成目標を具体的に提示していることです。
問題は、ここからです。
本年度の達成目標値として掲げられている「男女共同参画が進んでいると思う市民の割合」は20%です。
この数字が妥当なのかどうかは分かりませんが、ロードマップで掲げている数値(下図)と違うことだけは分かります。
ロードマップの24年度の目標値をご覧ください。19%です。僅か1ポイントではありますが、「第5次草津市総合計画第1期基本計画」よりも低く掲げられているのはどういう訳なのでしょう?
総合計画は、草津市の最上位計画だからそれより志が高くてはいけないということなのかな。
今後の数値でいうと、平成25年度でも19.5%となり平成26年度でようやく基本計画の数字に追いつく形になっています。ロードマップの最終年度でようやく0.5%上回るということですが、これまで本当に男女共同参加の推進が図られてきたのか、あるいは今後力を入れて進めようとしているのか疑問です。
市長マニフェスト「『さらに草津』宣言」では、男女共同参画社会の実現をさらに進めます、と書かれていますが、「さらに」の意味とは何かを考えさせられます。
次に注目したのは、犯罪認知件数です。
「第5次草津市総合計画第1期基本計画」では、平成24年度の達成指標は1,000件(下図)です。平成21年度の2,000件を平成23年度には半減させるという素晴らしい計画です。
ミネルヴァ書房から「地域通貨」という書籍が出版されました。
「いろいろなタイプの地域通貨を本書は紹介するが、そのどれもが、人間性の回復のため、いま求められているものばかりである」と、さわやか福祉財団理事長の堀田力氏は本書を推薦しています。
このサイトを運営しているまちづくり本舗の前身である地域通貨おうみ委員会の寄稿文も掲載されていますので、ご興味のある方は是非お読みください。
3.マニフェストと総合計画(基本計画)の期間と内容は一致している?
前回、マニフェスト(ロードマップ)と総合計画(基本計画)の期間や内容がバラバラだと困ったことになるということを書きました。
ここでもう一度、(前)岐阜県多治見市長の西寺雅也氏に登場していただいて、何故マニフェストと総合計画が一致していないといけないのかということを語っていただきたいと思います。
(2003年の地方自治土曜講座での講演録より引用)
ここで私たちが考えておかなければならない重要なことは、現職の首長にとっては実は「総合計画」自身が本来「マニフェスト」でなければならない。もし「総合計画」からかけ離れたようなことを私が言い出したとすれば、おかしなことになってしまいます。私は現職の市長ですから、総合計画をつくった当事者です。その私が総合計画から掛け離れたことを公約として出すというのは自己否定以外のなにものでもないということになってしまいます。本来、行政全体が総合計画を実施するということで成り立たせているはずですが、それから全く掛け離れた政策、公約として出すこと自体がおかしい話であって、もし本当にその政策をやらなければならないのであれば、最初から「総合計画」の中に組み込まれていなければならないはずです。ですから、現職の「マニフェスト」というのは本来「総合計画」そのものと思っています。
また、「第5次草津市総合計画」を策定される際に出された方針(計画策定の趣旨)では、「基本構想については平成32年度(2020年度)の将来像を目指し、基本計画については、市長マニフェストとの整合を図る計画とします。」と位置づけています。 このことから、草津市でもマニフェストと総合計画(基本計画)の整合性を重視していると考えられます。
そこで、このマニフェストと総合計画との整合性という物差しで具体的に検証してみることにします。
(1) 実施期間の比較
まず、マニフェストと総合計画の期間についてはどうでしょうか。
分りやすくするために年表を作ってみました。
うぅ~ん。どうもピタッと来ないなぁ・・・
2008年2月に任期満了による市長選挙がありました。
この時は、NPOまちづくり本舗と社団法人草津青年会議所が共催でマニフェスト型公開討論会を実施しました。その結果は、投票率38.5%、投票数17,584票対17,281票(303票差)で橋川氏が当選され、同年3月より第1期目となる橋川市政がスタートしました。
当時、第4次草津市総合計画があり、その目標年度である2010年まで続いていました。そこで、市長就任直後の2008年度と2009年度の2年間をかけて第5次草津市総合計画が策定されました。
このタイミングは、ものすごく良かったと思います。新市長自らが、新たらしい総合計画を白紙の状態からつくることができた訳ですから。 それが出来るまでは、マニフェストに基づいて施策を実行し、更に総合計画(基本計画)の中にしっかりと落とし込むことも可能だったことでしょう。
でも、第2期目となるとものすごく収まりの悪い状態に陥っています。
マニフェスト(ロードマップ)と総合計画(基本計画)が1年ずつズレてしまっているのです。
どう考えれば良いのでしょうか?
もしかして、橋川市長が2期目の出馬や後継者を推薦する可能性や意思が全く無かったから、次の市長になるであろう方のために、第2次基本計画を策定する時期をあえてズラした・・・とか。 あるいは、私のような凡人には分からない何らかの事情があるのか。
この点は、2月19日に開催する公開ディスカッションの場で橋川市長にお聞きしてみたいと思います。
次回は、マニフェスト(ロードマップ)と総合計画(基本計画)の内容が一致しているのかどうかについて検証します。(つづく)
2.総合計画とロードマップ
ロードマップは、草津市長が市長選で掲げたマニフェストを行政の実施計画として位置づけ、事業を具現化するために作られたものです。
このロードマップと総合計画との関係はどのようになっているのでしょうか?
現在の「第5次草津市総合計画」を策定される際に出された方針には、次のように書かれています。
計画策定の趣旨
「基本構想については平成32年度(2020年度)の将来像を目指し、基本計画については、市長マニフェストとの整合を図る計画とします。」
計画の概要
「基本計画 (マニフェストとの整合を図る期間設定とします。)」
「基本計画の見直し 基本計画の考え方をマニフェスト発表後に見直しを行い、その後4年間を基本に計画を進めることとするため、目標は平成32年度(2020年度)の将来像を目指します。」
以上のことから、総合計画の基本計画は4年後ごとの市長任期におけるマニフェストとの整合性を図るため内容や期間を定めるということが策定方針として出されているようです。
これは非常に重要なことだと思います。
というのは、行政の中で最上位に位置づけられている事業計画とマニフェストの期間や内容がバラバラというのでは、大変困ったことになるからです。
まず、期間に関しては例えば選挙で市長が変わった場合は、自分のマニフェストに基づいて事業を行うのが通常であり、前任市長から後継指名されるなど政策を踏襲する場合を除いて通常は前任の市長が作った事業計画をそのまま継続するということは考えられません。
自分が作ったマニフェストがあるのに前任の市長が作った事業計画に基づいて施策を行わなければならないというのであれば、そもそも誰がやっても政策は変わらないということでありこれでは選挙の意味も無くなります。
また、マニフェストと総合計画との整合性について、双方の施策が違っても良い場合というのは、ものすごく特化した目玉政策のみをマニフェストに掲げて、それ以外は総合計画どおりに実施するというような特殊なケースに限定されます。
ちょっと古いのですが、手元に「多治見市の総合計画に基づく政策実行 -首長の政策の進め方」(公人の友社)という冊子があります。
当時(2003年)、岐阜県多治見市の市長だった西寺雅也氏(現山梨学院大学教授)が地方自治土曜講座で講演した内容をまとめたものですが、その中で総合計画と首長選挙の期間を整合させることの必要性について次のように述べています。
「(総合計画は)多くの場合計画期間は10年で作ってあり、その中間で見直しますので、5年毎に見直すことになりますが、そうすると首長の任期4年と計画期間5年ということになり、ズレが生じて、結局バラバラになってしまいます。バラバラになって、例えば、私が市長になったときに前の市長が作ったばかりの総合計画をどうするのか、逆に私が辞めるときに作ったものを次の市長が実行しなければならないといったことになります。こういうことを避けるために4年毎で見直しをするというように計画の時期も、見直しの時期あるいは策定の時期も首長の任期と合わせるように作ったのです。」
以上のことを念頭に置いて、草津市の総合計画と首長選挙で掲げられるマニフェストとの関係を分析しようと思うのですが、ここで大きな難問(疑問)が待ち受けています。
というのは、次年度から実施が予定されている「第5次草津市総合計画第2期基本計画(案)」の中で位置づけられようとしているのは、マニフェストでは無く、それを基に作成された行政の4年間に渡る事業実施計画である「ロードマップ」だからです。
「手が混んでいる」というふうに表現して良いのかどうか分かりませんが、何かストレートにイメージしにくいものであることは間違いありません。
市長選で掲げられたマニフェストが選挙後(今回は無投票)に公約(市民との契約)となったことから、それを行政内で着実に実行するためにロードマップが作成され、そのロードマップを行政の最上位の事業計画である総合計画の基本計画の中に位置づけようとしているのが「第5次草津市総合計画第2期基本計画(案)」なのか、それとも基本計画とは全く別個のオプションとしてロードマップを捉えているのか・・・?
もう少し詳しく分析していかないとモヤモヤした感覚が払拭できません。(つづく)