草津市市民参加条例(案)の“ここが分からん!”

 草津市では、草津市自治体基本条例で定める市民が市政に参加する権利に関する手続き等を規定する「草津市市民参加条例」(案)を策定されました。

そして、この条例案について平成24年10月1日(月)から平成24年10月31日(水)までの間、パブリックコメントが実施されていますので、ちょっと気になって読んでみました。

 条例案では、前文で制定の趣旨を次のとおり示しています。(説明のため、文節ごとに分割して番号を付けています。)

 草津市は、市政運営における最も基本となる上位規範として草津市自治体基本条例を制定し、その基本原則の一つとして「市民参加」を謳っています。(1)     

  私たち草津市民は、積極的に市政に参加することにより、私たちが持つ経験や知識を市政に生かし、地域コミュニティ活動をはじめとした様々なまちづくりの活動を通じ、草津がよりよいまちになるための担い手として行動することが大切であると考えます。(2) 

 市政運営においては、市民の有する多様性が尊重され、それを踏まえた市民参加が推進されることが重要であり、市民が積極的に市政に参加することによって、市政への信頼関係をつくることができます。また、市政運営における「市民ニーズの把握」「合意の形成」「計画・成果のパブリックチェック」「情報の共有・相互理解・交流」といった効果も大いに期待されるところです。(3) 

  このことから、草津市自治体基本条例のもと、市政に参加する権利を有する市民が、より積極的に市政に参加できるよう、必要な手続について規定する「草津市市民参加条例」をここに制定します。(4)

 

  この前文を読んでいると、誰がこの条例を定めるのかが“分からん!”。  ・・・と言うか、実に分かりにくい。

 基本的には、条例は自治体としての草津市が地方自治法に基づいて制定するものだと思うのですが、以外とこれが難問。

 前文の(1)の部分では、草津市は草津市自治体基本条例を制定し・・・とされています。しかし、その草津市自治体基本条例の前文を見ると「わたくしたちは、ここに、市民のめざすまちづくりに応える地方政府としての市の役割を明らかにし、市の基本原則としくみを規定した最も基本となる条例を制定します。」記述されています。

 草津市自治体基本条例を定めたのは「わたくしたち」=主権者たる市民であると位置づけられているのではないかと思いますが、条例案では草津市が自治体基本条例を制定したと変更されているのは一体どういうことなのでしょうか?

 一方で、自治体基本条例と同様に草津市市民参加条例は、「わたくしたち」=主権者たる市民が制定するものなのでしょうか?

 草津市自治体基本条例では、「草津市全体にとって必要な取組みを地方政府である草津市に信託します。」と記述されています。このことからも、草津市市民参加条例は市民が信託した自治体の草津市が制定するものなのだろうとは思います。

 しかし、条例案では「草津市は、・・・・草津市自治体基本条例を制定・・・」と書いてあることから、「あれっ?そうだったかなぁ」「市民が制定したんじゃ無かったんのかなぁ」と、なんとなく疑問が生まれ、次の「私たち草津市民は」のくだりから混乱が生じてしまったのです。

 私のようなあまのじゃくな人はあまり多くないとは思います。
きっと、自治体基本条例は市民がつくったものだけど、市民参加条例は自治体が制定するものだから基本条例前文で使われている「わたくしたち」はおかしいと考えて「草津市は」に変更されたんだろうなぁと推察できます。 また、市民参加条例前文(2)の文節で「私たち草津市民は」と記述しているのは、草津市民の立場から言うと市政に積極的に参加することが大切であり、(3)の文で行政の立場から市民参加による効果が期待できることが本条例制定の動機であると示したいのだろうと推察できます。

 でも、そういう意味のことを示したいとするならば、(2)と(3)の部分は、市民参加の必要性や効用を客観的立場で記述するなり、(1)の部分はあえて基本条例を草津市が制定したとは言わない方が余計な混乱を招かないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。(つづく)
 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です