公開ディスカッションに向けての問題整理(その2)

2.総合計画とロードマップ

ロードマップは、草津市長が市長選で掲げたマニフェストを行政の実施計画として位置づけ、事業を具現化するために作られたものです。
このロードマップと総合計画との関係はどのようになっているのでしょうか?

現在の「第5次草津市総合計画」を策定される際に出された方針には、次のように書かれています。

計画策定の趣旨
「基本構想については平成32年度(2020年度)の将来像を目指し、基本計画については、市長マニフェストとの整合を図る計画とします。」

計画の概要
「基本計画 (マニフェストとの整合を図る期間設定とします。)」
「基本計画の見直し 基本計画の考え方をマニフェスト発表後に見直しを行い、その後4年間を基本に計画を進めることとするため、目標は平成32年度(2020年度)の将来像を目指します。」

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 以上のことから、総合計画の基本計画は4年後ごとの市長任期におけるマニフェストとの整合性を図るため内容や期間を定めるということが策定方針として出されているようです。
これは非常に重要なことだと思います。

というのは、行政の中で最上位に位置づけられている事業計画とマニフェストの期間や内容がバラバラというのでは、大変困ったことになるからです。
まず、期間に関しては例えば選挙で市長が変わった場合は、自分のマニフェストに基づいて事業を行うのが通常であり、前任市長から後継指名されるなど政策を踏襲する場合を除いて通常は前任の市長が作った事業計画をそのまま継続するということは考えられません。
自分が作ったマニフェストがあるのに前任の市長が作った事業計画に基づいて施策を行わなければならないというのであれば、そもそも誰がやっても政策は変わらないということでありこれでは選挙の意味も無くなります。

また、マニフェストと総合計画との整合性について、双方の施策が違っても良い場合というのは、ものすごく特化した目玉政策のみをマニフェストに掲げて、それ以外は総合計画どおりに実施するというような特殊なケースに限定されます。

ちょっと古いのですが、手元に「多治見市の総合計画に基づく政策実行 -首長の政策の進め方」(公人の友社)という冊子があります。

51pjc8Cs2DL._SS500_当時(2003年)、岐阜県多治見市の市長だった西寺雅也氏(現山梨学院大学教授)が地方自治土曜講座で講演した内容をまとめたものですが、その中で総合計画と首長選挙の期間を整合させることの必要性について次のように述べています。

「(総合計画は)多くの場合計画期間は10年で作ってあり、その中間で見直しますので、5年毎に見直すことになりますが、そうすると首長の任期4年と計画期間5年ということになり、ズレが生じて、結局バラバラになってしまいます。バラバラになって、例えば、私が市長になったときに前の市長が作ったばかりの総合計画をどうするのか、逆に私が辞めるときに作ったものを次の市長が実行しなければならないといったことになります。こういうことを避けるために4年毎で見直しをするというように計画の時期も、見直しの時期あるいは策定の時期も首長の任期と合わせるように作ったのです。」

以上のことを念頭に置いて、草津市の総合計画と首長選挙で掲げられるマニフェストとの関係を分析しようと思うのですが、ここで大きな難問(疑問)が待ち受けています。

というのは、次年度から実施が予定されている「第5次草津市総合計画第2期基本計画(案)」の中で位置づけられようとしているのは、マニフェストでは無く、それを基に作成された行政の4年間に渡る事業実施計画である「ロードマップ」だからです。

「手が混んでいる」というふうに表現して良いのかどうか分かりませんが、何かストレートにイメージしにくいものであることは間違いありません。

市長選で掲げられたマニフェストが選挙後(今回は無投票)に公約(市民との契約)となったことから、それを行政内で着実に実行するためにロードマップが作成され、そのロードマップを行政の最上位の事業計画である総合計画の基本計画の中に位置づけようとしているのが「第5次草津市総合計画第2期基本計画(案)」なのか、それとも基本計画とは全く別個のオプションとしてロードマップを捉えているのか・・・?

もう少し詳しく分析していかないとモヤモヤした感覚が払拭できません。(つづく)

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