草津市市民参加条例(案)の“ここが分からん!” その4

 

 そろそろ、草津市市民参加条例(案)に何故、市民会議やワークショップ、公聴会、政策提案制度などの参加形態のことが謳われていないのか“わからん”という内容のことを書かなければならないと思ってはいたのですが、既にその答えを自分の頭で探しに行っています。

 そうなると、なんだか過去の話のように思えてきたので、一番肝心な話ではありますが省略させていただきます。 m(_ _)m  

 条例案に、市民会議やワークショップ、公聴会、政策提案制度などの参加形態のことが謳われていないということは、前回の投稿記事「参考資料と学習メモ編」をご覧いただければお分かりいただけるかと思いますのでご一読ください。  

 

 では何故、市政への市民参加の形態が条例案では限定的にしか書かれていなのか? ということについて仮説を考えてみたいと思います。

 もしかして間違っているかも知れませんが、あえてズバリ言います。

 それは、市政について市民は自治体としての草津市に信託している、と規定しているからなのでは無いかと思います。 

 そもそも、草津市市民参加条例(案)の根拠となっている草津市自治基本条例の名称「自治基本条例」は、非常に特殊です。

 全国初として知られている北海道ニセコ町の「まちづくり基本条例」をはじめとして、「自治基本条例」や「 協働のまちづくり基本条例」と名付けられているものが大半です。ちなみに、2012年9月時点で全国で253の自治体がこうした条例を制定していますが、「自治基本条例」という特殊な名称を付けているのは草津市だけなのです。(多治見市では、この名称のものが審議未了で廃案になった経緯もあります。

(参考1:全国の設置状況 http://www16.plala.or.jp/koukyou-seisaku/policy3.html

(参考2:多治見市 http://www.city.tajimi.gifu.jp/kikaku/constitution/index2.html )

(参考3.:土山希美枝氏http://www.city.kusatsu.shiga.jp/www/contents/1275890876027/activesqr/common/other/4a457fae003.pdf  

 全国初として知られている北海道ニセコ町の「まちづくり基本条例」をはじめとして、「自治基本条例」や「 協働のまちづくり基本条例」と名付けられているものが大半です。

 「自治基本条例」という名称は、1994年に北海道先駆自治体研究会で松下圭一氏が「自治体基本条例」という言葉を使ったのが恐らく最初です。また、辻山幸宣氏が基本条例とは「(市民が)自治体政府に対して 信託している内容を明示したもの」であると定義していることも関係していると思うのですが、その理念は、日本国憲法の次の定義に基づいたものだと考えられます。

 そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。(日本国憲法前文)

 しかし、本当にこれで良いのでしょうか?  これが、今回の“わからん”シリーズの根底にあるものであるのではないかと思っています。 

 国政の場合は、選挙を通じて「信託」するというのが正しいのですが地方自治の場合はこれだけではありません。 地方自治では、「信託」=間接民主主義と直接民主主義の相互作用や融合が肝要なのではないでしょうか。 

 例えば、憲法法第92条の「地方自治の本旨」(地方公共団体の『団体自治』及び『住民自治』の二つの意味における地方自治を確立すること)から位置づけられている地方自治法においては、自治を徹底するために制度的にも「信託」(自治体の長や議会選挙など)という間接的参加形態と並行して直接的参加形態である条例の制定・改廃の請求権や監査請求、議会や首長、主要公務員の解職請求といっことが保証されています。 

 また、地方分権推進委員会の中間報告(平成8年3月29日)では、自己決定権の拡充に関して次のとおり示されています。

 それは、究極のところ、身のまわりの課題に関する地域住民の自己決定権の拡充、すなわち性別・年齢・職業の違いを越えた、あらゆる階層の住民の共同参画による民主主義の実現を 意味する。この地方自治レベルにおける住民主導と男女協働の民主主義を基礎にして初めて、国政レベルにおける議会政治もまた一層健全なる発達を遂げることになるものと考える。

 更に、第27次地方制度調査会「今後の地方自治制度のあり方に関する答申について」では、次のとおり記述されています。

 地域においては、コミュニティ組織、NPO等のさまざまな団体による活動が活発に展開されており、地方公共団体は、これらの動きと呼応して新しい協働の仕組みを構築することが求められている。

 基礎自治体は、その自主性を高めるため一般的に規模が大きくなることから、後述する地域自治組織を設置することができる途を開くなどさまざまな方策を検討して住民自治の充実を 図る必要がある。また、地域における住民サービスを担うのは行政のみではないということが重要な視点であり、住民や、重要なパートナーとしてのコミュニティ組織、NPOその他民間セクターとも協働し、相互に連携して新しい公共空間を形成していくことを目指すべきである。

 

  以上のことからも、自治体は、市民が選挙で選んだ首長と議会という二元代表制と共に、市民の直接参加という形態の3つの緊張関係で動かしていくものだと思うのですが、その原点が「自治基本条例」という特殊な存在で曖昧になり、更に「(仮称)草津市協働のまちづくり条例」の制定に向けて取り組みが行われるなど複雑な様相を帯びている中で、市民参加条例(案)を単独でどう評価していいものか・・・。  (続く?)

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