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公開ディスカッション

去る2012年3月16日(金)の18時より草津アミカホール(文化教室)にて開催いたしましたマニフェスト公開ディスカッションのビデオを配信します。

公開討論会の中止について

2012年2月3日

報道機関関係者各位(プレスリリース)

市民によるマニフェスト検証大会実行委員会
実行委員長  山 田 正 人

公開討論会の中止について

昨年の11月10日に記者発表させていただき開催の告知をさせていただいておりました公開討論会につきまして、2月2日の草津市選挙管理委員会による立候補届出書類の事前審査終了後も立候補予定者が現職1名のみとなっていることから公開討論会としての成立条件が整わない状況となっています。
当実行委員会としては、複数の立候補予定者がマニフェストを作成し、その内容を公開の場で相互に討論することによってより良いまちづくりにつながることを期待し会場の確保やチラシの配布等を行ってまいりましたが、不本意ながら中止をせざるを得ないと判断いたしました。

つきましては、2月5日(日)14時から草津市立サンサンホールにて開催を予定しておりました「マニフェスト型公開討論会」につきましては中止とさせていただきますので周知のご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 
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2011年度 検証大会報告書作成に向けて

 今回の検証大会は、3部構成のプログラムとしました。

第1部 草津市長橋川わたる氏「もっと『草津』宣言」の進捗状況を語る
第2部 検証結果の報告
第3部 マニフェストタウンミーティング

第1部では、マニフェストの進捗状況について約30分間、橋川市長よりお話を伺いました。
時間配分については、前回の検証会で市長より「説明する時間が足りなかった」との感想をお聞きしていたことと併せて、アンケートで検証大会への参加理由を「市長の話が聞きたいから」とする意見が多かったことを考慮しました。

第2部の検証結果の報告については、限られた時間の中でポイントを伝えることができるようパワーポイントでまとめたものを読みあげました。
事後のアンケートで「投影が(薄くて)見にくかった」「資料による報告があった方が分かりやすい」といった意見もありましたので、次回からはもう少し工夫していきたいと思います。

第3部のマニフェストタウンミーティングは、今回初めての試みでした。
当初は、通常のパネルディスカッションを想定していましたが、議論が特定の人の意見や思考に左右されてしまいがちになる点や、「市民による」という検証大会のスタンスを体現すること、更には市民意識調査の結果、マニフェスト(施策)に対する認知度が低い点についてそれをどのように解消していくことができるのかという課題に対して、具体的な問題提起の場(モデルケース)とするために考えついたものです。

高校生や大学生から70歳代まで、様々な年齢や活動分野、職種の方々に壇上に上がっていただき、マニフェストに関連する意見交換の場としたこのマイフェストタウンミーティングは、当日行なったアンケートの結果でも「活発な意見や提言が数多くあり有意義だった。継続した企画、実施をお願いしたい」「タウンミーティングが生々しい声で良かった」といった意見が多くあり好評でした。

なお、コーディネーターの大橋教授のマニフェストタウンミーティングに対するコメントは、以下のとおりです。

【マニフェストタウンミーティング全体についての意見】  大橋松行氏(滋賀県立大学人間文化学部)

現地現場主義とは、松沢成文神奈川県知事の言葉ですが、これを市のレベルに置き換えてみますと、現地現場主義とは、市民との対話から政策や改革を発案するということになります。
つまり、市長自身が現場に直接赴き、現地を見て、その場で地域住民や当事者とひざ詰めで対話をし、その中で、政策を市民や現場の職員と考えていくということです。

草津市の場合は、市長マニフェストの〔施策19〕現場での市政対話「こんにちは市長です!」がこれに該当すると思います。

残念ながら、市民意識調査での評価は高くはありませんが。また、このようなマニフェストタウンミーティングも現地現場主義の一つのスタイルと考えることができると思います。

この現地現場主義の特徴、すなわちメリットはどこにあるかということですが、第1に、市民と市長の間のコミュニケーションの充実は、市民と政治・行政との距離を縮め、市政を身近に感じてもらうという政治改革の基礎をなすものだということです。第2に、市民は往々にして個別具体の事案について意見を述べたり提案したりしますが、その中には市民サイドから見れば日常生活に関わって非常に重要な事例が含まれているかもしれません。そういったものの発見(=新しい発見)が可能になるということです。
場合によっては、市長のマニフェストとして、あるいは行政の事務事業として位置づけられるものがあると思います。そういう意味で、マニフェストタウンミーティングは市民サイドにおいても市長・行政サイドおいても有意義なものであると思います。

次に、もう少し大きな視点で、今日の分権時代の地方自治のあり方について考えて見たいと思います。
よく「住民参加の充実」ということが言われます。つまり、「地方自治は、住民の自発的かつ積極的な参加によって支えられ、創られて行くものであり、住民自治は不可欠の要素である」ということです。また一方で、「自己決定」「自己責任」ということもよく言われます。
住民参加を前提とした場合、「自己決定」(自分たちで決める)ということは、「行政だけで決める」ということではなくて、「住民も何らかの形で政策決定過程に参加する」という意味が含まれています。また、「自己責任」は、「行政だけが責任を負う」というわけではなくて、その責任の一端を住民も負うということです。

そこで、望ましい市民と行政のあり方についてですが、まず、自治体は地域政策を決定する主体であり、サービス供給の主体であって、他方、住民は客体であるという、従来の両者の関係のあり方を見直す必要があります。
つまり、今日の協働社会においては、地域の政策形成過程および政策執行過程(サービス供給)の両過程で、実は住民自身が重要な役割を果たすことが期待されているわけです。住民の側も意識改革が求められているということです。それで、市民と行政の協働・協力関係のあり方ですが、 タイトなものから緩やかなものまで、さまざまなスタイルがあります。

最もタイトなものが、パートナーシップ(partnership)です。
これは、アクターそれぞれが主体性を持つ、継続した共同関係の形成、責任の共有などの特徴を持っており、ある意味、運命共同体的な協力関係のあり方です。その対極にあって、最も緩やかなものが、 コプロダクション(coproduction)です。これは、行政が仕事の「効率」を高めることができるような形で、市民が直接的、積極的に貢献する、その中には、「生産」や結果を含み込んでいるというものです。

ごみの収集を例に挙げて説明しますと、市民はごみの収集を容易にするために、ごみの分別をしっかり行うということです。この場合、作業員の時間を節約するといった「生産」が行われることを想定しています。
そして、その中間的なものが、コラボレーション(collaboration)です。これは、自立した複数の主体が対等な資格で、具体的な課題達成のために、非制度的で限定的な協力関係を結んだり協働作業を行うということです。これらの協働をうまく組み合わせることによって、総合計画、実施計画、施策、事務事業などに掲げられた課題を達成していくことが求められるということです。

最後になりますが、マニフェストタウンミーティングは、市民と行政の協働関係を構築する一つのツール(道具)として位置づけられるのではないかと思います。その意味で、今回のようなタウンミーティングの果たす役割は大きいのではないでしょうか。

是非、今後も継続して行っていただきたいと思います。

 2011年9月22日に開催した「市民によるマニフェスト検証大会」の報告書作成に向けて準備を進めています。

今回は、検証大会でコーディネーターを務めていただいた滋賀県立大学人間文化学部 大橋松行教授のご発言内容(検証結果に対するコメント)を紹介いたします。

【検証結果についての論評】

ただいまご紹介いただきました、滋賀県立大学の大橋でございます。
最初に、ローカル・マニフェストとは何かということを、一般論的に述べておきたいと思います。

マニフェストとは、地方選挙において、首長や議会会派等が作成する「政権公約」あるいは「政策宣言」のことです。つまり、選挙後、検証が可能な「数値目標(=どこまで)、期限(=いつまでに)、予算・財源(=どういう財源で)、工程表(=どうやって)」が体系的に明記された公約集のことです。
マニフェストには3つの指標があります。1つは、 どれだけの予算(財源)を投入したのかというインプット(資源投入量)、2つは、 その結果、どれだけの事業が実現したのかというアウトプット(量的指標)、そして3つ目は、 それによって、何がどれだけ改善したのかというアウトカム(質的指標・成果指標)です。
道路工事を例に挙げて説明しますと、道路の拡幅工事に2億円投入したというのがインプット、その結果、3キロメートルの区間が片道1車線から2車線になったというのがアウトプット、そして、それによって、渋滞や交通事故が減り、通勤時間も20分短縮できたというのがアウトカムです。マニフェストで特に重視すべき指標はアウトカム(=具体的な成果)です。
さて、以上を踏まえて今回のマニフェスト検証結果を論評しておきたいと思います。

まず、高く評価できる点は、1つは、市長による自己評価、行政によるロードマップ評価、市民意識調査による外部評価を比較検証する環境が整った、つまり、行政と市民の協働・協調関係が一定構築されたということと、2つ目は、3つの評価とも相対的に高いということです。
しかし、留意点もあります。評価するに当たって重視した指標(=評価基準)が異なっているのではないかということです。つまり、市長による自己評価と行政によるロードマップ評価は、主としてアウトプットを重視しているということです。

市長による自己評価では「成果」という評価基準を示していますが、その「成果」というのは多分にアウトプットとしての「成果」であると思います。それに対して市民意識調査による外部評価は、主としてアウトカムを重視しているという点です。
では、評価基準の差異がもたらした結果として何が言えるかということですが、まず第1に、全般的に事業に対する認知度が低いということです。成果が明確に目に見える事業(特にハード面)に対する市民の認知度と評価は相対的に高いけれども、成果が見えにくい事業(特にソフト面)に対する市民の認知度と評価は相対的に低いということです。
第2に、市長による自己評価および行政評価と市民評価とが乖離しているということが見て取れます。例えば、自己評価・行政評価は高いが認知度も市民評価も低い例として、「教育問題相談体制の整備」(市長A、行政○、認知度7.6、市民評価68.2)、「教育委員会の改革」(市長A、行政○、認知度14.5、市民評価59.9)、メールでつなぐ「インターネット市長室」の開設(市長A、行政○、認知度15.7、市民評価62.0)などがありますし、また、自己評価・行政評価・認知度は高いが市民評価は低い例として、現場での市政対話「こんにちは、市長です!」の開催(市長A、行政○、認知度44.9、市民評価67.8)などがあります。
こういったことを踏まえて、市長サイドや行政サイドにおける今後の課題について指摘しておきたいと思います。

第1に、アウトカムを重視した評価にシフトしていくことが必要だということです。そして第2に、成果が見えにくい事業に対する市民の認知度と評価を高めるための仕掛と工夫を考えて実行していくことが必要ではないかという思いがします。
もう1つ、マニフェストと総合計画との関係についても若干触れておきたいと思います。第1に、マニフェスト自体は候補者としての政治家個人の約束ですが、それを反映させた新たな総合計画を策定し、市の具体の実行計画や政策に落とし込むことによって、その市の公的な約束になります。そういうふうに考えますと、総合計画の中にマニフェストが明確に反映されていることが必要だと思います。
第2に、マニフェストは有権者との政治的契約ですので、自治体職員は主権者である市民が「満足し、納得する成果」を上げることができる総合計画や具体の実行計画を策定し、それを実行しなければならないということです。行政の継続性も大事ですが、それ以上にマニフェストの実現が大事だということです。

 

2011年度 検証大会報告

検証結果の報告

カテゴリ : 
マニフェスト
執筆 : 
まちづくり本舗 2011-9-27 20:02

 9月22日に開催したマニフェスト検証大会は約130名の方々に参加いただきました。

現在報告書を作成していますが、まずは当日報告した検証結果を掲載いたします。

 

≪検証結果の報告≫


開会冒頭の趣旨説明でもありましたように、選挙に際してマニフェストを作成され、当選後にその実現のために施策を実施され、更に検証会等において評価を行い改善していくというのがマニフェストサイクルです。


今回、市長の任期最後の検証で4年目の総仕上げということになります。このことから、次の選挙においてよりクオリティの高いマニフェストが作成され、またそれを選択する市民の確かな目を育んでいくという視点で報告させていただきたいと存じます。

 
本題に入る前に、過去2回の検証大会において問題提起させていただいたことを振り返っていきたいと思います

まず、2009年8月21日に開催いたしました2年目の検証大会では、いくつかの具体的な施策を取り上げました。
例えば、学童保育を小学校6年生まで延長することが段階的には実施されているけれども、それによってどの程度利用が増えるなどしたのか確認できなかったということや、緑化率と公園整備率の改善について、平湖、柳平湖の公園整備の計画や草津川跡地の計画が出されてはいるものの、この計画によって目標の6㎡を達成できるのかどうかは確認できなかったと指摘させていただきました。

また、犯罪発生件数を4年で半減することについて、ロードマップにも防犯計画の継続的な実施とあるだけでその効果は検証できなかったということや、同様に家庭ごみを3割削減することについて、ロードマップでは「生ゴミ処理機購入補助、分別の見直し、ごみとなる物を買わないことを勧める、資源回収補助」と示されてはいるものの、この実施内容でごみ3割削減が可能かどうか、その効果が検証できなかったという報告をさせていただきました。

総体的には、進捗状況や成果を確認できなかったもの、あるいは達成できるかどうか疑問な事業を指摘させていただく内容であったかと思います。
次に、3年目の検証会を昨年9月20日に開催させていただきました。

この中で、市民が自分達でマニフェストを検証しようとするときに、思うように協力が得られなかったりするなど障害が多くありマニフェストサイクルを形成することが難しい状況であることを指摘させていただきました。

また、評価の悪い施策として「国民健康保険税の引き下げ」や「中心市街地活性化計画の策定」「市役所職員のボランティ活動の推進」などを取り上げてその理由をお聞きさせていただくと共に、評価委員会の着目施策として市長の自己評価とアンケート結果と差があるものや評価委員が特に着目した施策について、指摘させていただいたところです。

こうした経過を踏まえて、最終年となる今回の検証会の準備をさせていただきました。
ところで、今回の検証にあたっての状況や気が付いたことは次のとおりです。

まず、第3回目となる今回の検証会では、行政と当実行委員会双方の理解が進んだことで、従来よりもスムーズに準備を行うことができました。私たちが検証を行う上で、基礎となる資料の提供が無ければ進めることはできませんが、行政側のロードマップ進捗状況が6月1日に公表され、続いて市長のマニフェスト自己評価が7月21日に出されました。その後、日程的には若干ぎりぎりの段階になりましたが、8月10日に市民意識調査の結果が公表されました。

これらの資料に基づき、本日の日程に合わせて準備することが出来ました。また、資料の提供や企画調整課にご協力いただきロードマップや市民意識調査に関する勉強会を開催していただいたことにつきまして感謝申し上げたいと思います。この中で、何よりも前進した点は草津市が無作為に選んだ3000人を対象とした市民意識調査を実施されたことです。

前回のマニフェスト検証会では、私たちは独自にアンケート調査を実施いたしました。しかし、マニフェストは橋川渉個人の政治活動であり、そのアンケート調査には行政としては協力することは困難だとの理由で、公共施設への設置やアンケート回収など協力をいただくことができませんでした。また、費用の面でも資料の印刷費や郵送料など、市民が独自に行う上で問題や課題が残りました。こうした中で、今回は行政サイドで意識調査されたことは大きな意味があります。また、私たちが検証会で問題提起したことが真摯に受け止められ、マニフェストサイクルを共につくっていく上での役割分担が確立されてきたのではないかと考えています。
今後は、更にこうした理解と協力が得られるようお願いしたいと同時に、次なるマニフェストには市民の検証を組み込んだものにしていただきたいと思います。

次に、検証にあたって参考とさせていただいた資料の説明をさせていただきます。


まず、マニフェスト本体である「『もっと草津』宣言」です。
私たちは、市長選挙において示されたマニフェストが4年間で最も重視されるべき施策であると考えています。そこで、市民のみなさんに「4年間のまちづくりの基本となるこのマニフェストを検証します」ということをお伝えするために、今回の検証会のチラシにもあえて「『もっと草津』宣言」の表紙を使わせていただきました。

なお、「『もっと草津』宣言」は、4つの政策、20の施策から構成されていますが、追加施策や率先垂範も対象とすると共に、基本理念を示している「市民との協働のまちづくりをめざして」というタイトルの前文や「マニフェストが守られているか公表します!」と題された部分、さらには本文中に書かれている挿絵や強調されている文言なども検証対象とさせていただきました。

次に、橋川市長は 「『もっと草津』宣言」の自己評価を昨年に引き続き、今年7月21日に公表されています。

このデータは、市長が自ら進捗状況を5段階で評価され取組み状況についても記載されていることから、検証に際して貴重な資料となりました。
更に市長のマニフェストを行政の事業として位置づけ、実現に向けて着実に取り組むと共に事後の検証や評価をするためにロードマップ(実行計画)が作成されています。

そして、このロードマップの進捗状況については具体的な施策の実施状況と共に毎年「○」「×」「△」の3段階で評価され公表されていますので、今年6月のデータを活用させていただきました。 なお、市長マニフェストを親とすると、ロードマップは子の関係ですが、行政内では市長マニフェストは政治家個人の政治主張であり政治活動に分類されるそうです。このことから、若干内容の相違はあるものの、行政に進捗状況をお聞きする場合は行政計画としてのこのロードマップについてしか受け付けていただくことはできません。 このことについては、これまでの検証を通じて常に疑問を感じているところです。
そして、最も注目したのがロードマップについて行われた市民意識調査の結果です。

調査対象は、18歳以上の市民 3000人を住民基本台帳及び外国人登録原票から、年齢、居住地域、男女別人口按分による無作為抽出を行い実施されました。

このデータは、草津市役所のホームページでも全文公開されています。

以上4点のデータを分析いたしましたが、その分析方法については次のとおりです。

まず、すべてのデータを統一して100点満点で換算させていただきました。
例えば、市長の自己評価は5段階評価となっていますが、「着実に実施し、具体的成果が表れている」というA評価の場合は100点、B評価は75点、C評価は50点、D 評価は25点、D評価は0点とさせていただきました。

次に、ロードマップについては「○」「×」「△」の三段階となっていますので、○は100点、△は50点、×は0点と換算させていただきました。

市民意識調査につきましては%で表示されていますので、そのままの数字を点数とさせていただきました。なお、施策を評価する・しないの数字については、その事業を「知っている」と回答された方の数字が精度の高いと考え、事業を「知っている」方のみのデータを採用させていただきました。

これらのデータを集計した結果は次のとおりとなりました。

まず、市長の自己評価を点数換算して65の事業件数で割ると75.38点となります。

同様に、ロードマップの総合得点を65の事業件数で割ると88.46点でした。

次に、ロードマップで実施している事業を知っていると答えた方は26.87点ですが、その中で「評価できる」「ある程度評価できる」と回答された数字は約75.37点となりました。
これらのデータをご覧いただくと、市長自己評価および市民意識調査で事業を知っている市民 が「評価できる」「ある程度評価できる」と答えた合計割合は両方とも75点であることが分ります。

このことから、個々の政策では認識の違いはあると思いますが市長の自己評価と市民の評価が同じであることを考えると、全体として100点満点のうち75点が達成されているというのが私たちの検証結果の総論になります。

 

次に、数字から見えてくる課題について指摘させていただきたいと思います。

まず、市長の自己評価とロードマップ進捗状況と比較すると、例えば「市役所職員のボランティア活動の推進」について市長はC評価で「課題等もあり、引き続き努力を要する」としているのに、ロードマップでは○の評価とされています。また、5段階評価と3段階評価の違いが影響しているかも知れませんが、100点満点で直すと13点の差があります。

○△×を数値に置き換えることに異論があるとは思いますが、行政内での自己評価はマニフェストの趣旨が十分反映されない傾向を表しているようにも考えられます。

逆に言うと、こうした傾向があるからこそ私たち市民による検証が重要になると考えているところです。また、「△」と「○」の判定基準についてもお尋ねさせていただきたいところですが「○」の評価となった場合には更なる努力がなされにくいという意味でも問題があるように感じます。

今後、是非とも双方を比較検討できるように評価基準を統一していただきたいと思います。
次に、市民意識調査における認知度について、全般として非常に低い数字であることが気になりました。マニフェストは、市長と市民との契約でありどのように実現に向けて取り組んでいるのかを常に情報を伝え、また場合によっては市民との協働で取り組んでいくべきものです。また、まちづくりの重点的施策として実施しているはずのマニフェストについて市民がもっと関心を寄せるように努力することも大切なことではないでしょうか。
マニフェストの評価においては、例えばマニフェストサイクルや市民参加がどのように進んだのか、あるいは施策を実施したことによってまちがどう変わったのかを指標としなければならないと考えていますが、それを数字で表すことは困難です。しかし今回は、あえて参考として認知度も評価の一つに入れるとどうなるかを試みてみました。

計算方法は、市長の自己評価とロードマップおよび認知度の合計に事業を評価するから評価しない数字の差を足して4で割るというものです。その結果、総合得点は約65点になります。
この数字にどの程度の意味を持たせるのかは議論の分かれるところではありますが、私たちは市民が関心を寄せているかどうかを示すバロメータである認知度もマニフェスト評価の一つではないかと考えていますので、参考にしていただきたいと思います。

なお、認知度を高めるためにはどのようにすれば良いのかを話し合う中で、マニフェストタウンミーティングを定期的に実施してはどうかという意見が出ました。 本日の第3部は「マニフェストタウンミーティング」を行うことになっていますが、是非ともこうした場を行政自身が設けていただき、市民の認知度を上げると共に協働のまちづくりを積極的に行っていただきたいという思いを込めた企画となっています。
次に、市民意識調査における認知度の内容について分析してみました。

認知度の高い順では、ベスト1が南草津駅への新快速停車、ベスト2は交通ネットワーク整備、ベスト3はゴミ収集方法・減量等となっています。これらは、市民生活に広く直接影響を与えるものであることから高い数字になっていると考えられます。

逆に、認知度が低い順では、ワースト1が公益通報の外部窓口設置、ワースト2は教育問題相談体制の整備、そしてワースト3は自治基本条例の制定の順となっています。ワースト3の自治基本条例は自治体の憲法とも言われるような非常に大切な条例であり、できるだけ多くの市民の意見や参画によってつくるべきものです。

マニフェストでも、「市民と協働・協創のまちづくりの基本ルール」と示されていますが、制定されたことをわずか9.4%の方しかご存知では無かったというのは非常に残念です。また、公益通報外部窓口の設置についても、市民の監視の下で透明でコンプライアンスを遵守する行政を行う上で大切な施策ですが、せっかく設置したのに僅か5.4%の市民しか知らないというのはもったいない話です。

次に、市民意識調査で実施している事業を知っていると答えた人の中で評価が高かったベスト1は女性検診の公費負担の拡大、ベスト2は市立小学校のトイレの改修、ベスト3は市役所窓口の日曜受付の開始でした。また、黒塗り高級乗用車の市長車廃止や市長のグリーン車利用条例廃止、 小児医療費(入院費)無料化延長についても評価の高い事業となっています。

逆に、評価の低かった事業は、 ワースト1がJR南草津駅への新快速停車、ワースト2がNPO等と連携した「草津検定」実施、ワースト3はメールでつなぐ「インターネット」の順となっていました。その他インターネット市長室の開設や国民健康保険税の引き下げ、市内の公共交通ネットワーク整備についても、評価の低い事業となっています。
これらの数字の中で、例えばJR南草津駅への新快速停車については認知度も高く評価も高い事業ですが、草津駅を利用されている方の中でメリットを感じない方もいらっしゃるということではないかと考えられます。しかし、全体としては市民サービスや医療・教育環境の充実、行政の無駄を無くすといったことで具体的に事業として実現していることに対して高い評価が得られているのではないかと考えられます。

9月11日に投開票されました市会議員選挙に立候補された30人の方々にお願いして12人の方からご提出いただきましたアンケートの結果、マニフェストの進捗状況が良好または概ね良好と回答された方は合計で28%でした。このことから、一般市民よりかなり厳しい見方をされていることがわかりました。詳細は、お手元の資料をご覧ください。

 

最後に、マニフェスト全体の傾向について検討してみました。

「『もっと草津』宣言」は、前文でまちづくりの方向性が示され、4つの政策で「もっと安心」「もっと活力」「もっと安全」「もっと透明」というスローガンが示されています。そして、20項目の施策では事業の目的が示されて、その目的達成のための事業として65項目が掲げられています。

65項目の事業については、概ね2種類に分類できます。
その1つは、予算を計上したり条例や計画の策定などを行いますというもので、こういう事業をインプット・アウトプット型と分類しました。もう一つは、事業を実施することにより「こういう結果を出します」ということを表したもので、こういう事業をアウトカム型として分類しました。
アウトカムとは、成果という意味の英語で非営利組織や行政機関の事業を評価するための手法として注目されています。
資源をいくら投入したかというインプットや何をしたか、何がどの程度できたかというアウトプットではなく、「まちや市民の何がどのように改善されるか」という成果を明らかにするため、目指すべき目標を明示し、その業績を測定するための指標を提示し、その評価軸で検証することができるように工夫されることを期待したいと思います。

具体的には、昨年度の検証会で「男女協働参画推進条例」「草津市あんしんいきいきプラン」「草津市産業振興計画」「自然環境保全・再生計画」市民参画・住民投票制度、NPO支援などを盛り込んだ「自治基本条例」の制定などについて、約束どおり策定されていたり、順調に進行していてはいるものの、そこで示されている内容が実行され、あるいはそれによって実態がどのように変わったのかという成果を感じることはできないと指摘させていただきました。

これは、まさしくアウトカム指標に基づいた進捗管理までなされていないのが原因ではないかと考えています。こうした計画が策定された以上は、それを無駄にしない意味でも是非成果主義に基づく指標を示していただきたいと思います。
そうした中で、「『もっと草津』宣言」でアウトカム指標として示されている事業がいくつかあります。特に施策15の3つの事業については、具体的な成果目標が掲げられています。

一つ目は、市内での交通事故発生件数の減少について、4年間で5割減と示されています。二つ目は、市内での犯罪発生件数の減少を4年間で5割減としています。そして三つ目は、ごみ収集方法の見直し、減量・リサイクルの推進を行い4年間で3割減にすると示しています。

こうした事業については、啓発活動やゴミ分別方法の見直しなどの努力はされていますが、その成果が数字としては表れていないのが現実です。 また、同様に人口一人当たりの都市公園面積を6㎡にするという項目も数値としては達成には程遠い状況ですし、国民健康保険税の引き下げについても医療制度改革や医療費の拡大があったことや一般財源からの繰り入れなど努力は認められるものの結果としては実現には至っていません。
なお、国民健康保険税の引き下げについては、市民意識調査で「重要だと感じ、今後拡充を望む事業項目」のベストワン1の事業となっていますし、防犯発生件数の減少やごみ収集方法の見直し・減量・リサイクルの推進についても重要度の高い事業であるとの結果が出ていますので、今後更なる努力が必要ではないかと思います。

こうした成果主義にもとづく事業管理については、評価される側としては目標設定が難しいとは思いますが、市民意識調査の結果から見ても「マニフェストによって地域や行政がどのように変わったのか」を実感することができるかどうかが重要だと考えているのではないかと思いますので、今後の参考にしていただければ本日の検証会が意義を持つものとなりますのでどうぞよろしくお願いいたします。
最後に、第5次草津市総合計画について、22項目の分野でそれぞれの基本方針が57項目、施策が140項目、事務事業が672項目という体系で進捗や評価の体系がつくられています。
これに基づき、各部局の組織目標と達成状況の報告がなされると共に、これにもとづく市民意識調査の結果が今年3月に公表されています。
総合計画とマニフェストの関係については議論の分かれるところではありますが、現状を見ていると、どちらかと言うと行政は総合計画を重視しているように見えます。マニフェストには、まちづくり全般について網羅したタイプと重点施策だけに絞り込んだものとがあり、行政としてはマニフェストに書かれたものだけを実施していく訳にはいかないことは理解できますが、もし総合計画を重視しマニフェストはその体系の一部として位置づける程度に扱われるというのであれば、市民が選挙で示されたマニフェストを選択し、託すべき人と政策を決定する民主主義の意義が失われてしまうことになります。

こうした点について、次期マニフェストでは位置づけを明確に示されることを期待して、検証結果の報告を終了いたします。

ご清聴ありがとうございました。

2011年度 検証大会に向けて

 少し間が空いてしまいましたが、このシリーズの続編です。
今回は、書籍を紹介しながら検証方法について考えていきたいと思います。

マニフェスト運動の提唱者で元三重県知事の北川正恭氏の著書「マニフェスト進化論」に「マニフェスト検証のポイント」という項目があります。

この中でマニフェストサイクル推進することの意義や可謬性(知識についてのあらゆる主張は、原理的には誤りうる)を前提として行政運営することの必要性を説いた上で、マニフェスト検証方法の具体的な評価軸が次のとおり示されています。

一つ目は時間軸。
これは、約束どおりの期限で実行されたかどうかという視点です。
例えば橋川わたるマニフェスト「もっと草津宣言」では、即実施、○○年○月~、4年かけて整備、○年間で○割減といった達成期日や実施時期が明記されていますので、ロードマップ進捗状況などの資料で実際の達成・実施状況を確かめることによって検証することが可能です。

二つ目は政策軸やマネジメント軸。
これは、政策を実現するためのプロセスや組織運営の手法などを含めて評価する指標です。
また、情報公開やアウトカム指標を用いているかどうかといったことも検証の対象となります。

「アウトカム指標」とは、施策や事業を実施したことにより実際にどのようや効果や成果を達成したかを示す成果主義による指標のことを言います。

これまでは、事業を実施することによって使った予算や事業の量、直接的な成果物(作成した文書や構築物)などにより評価することが一般的でした。
例えば、マニフェストに「男女共同参画を推進します」ということを掲げたとします。
その事業として検討委員会を立ち上げて報告書をまとめた場合、予算を○○千円使って何回検討委員会を実施し、成果物が完成した・・・・というのは従来のアウトプットの指標による評価です。
しかし、アウトカム指標ではこのことによって実際に各種委員会の男女の構成比がどのように改善したのか、あるいは男女の家事平均時間の格差がどの程度縮まったのか、男女雇用機会均等法の目的や内容を知っている人の割合がどの程度増えたのかといった具体的成果を問うものとなります。

参考事例 静岡市男女共同参画行動計画(評価指標)
次に、早稲田大学マニフェスト研究所での検証の視点は、透明度と自立度が基本であると示されています。

ちなみに、透明度という点について「アウトカム指標」を適用するとすれば、今回のロードマップ市民意識調査でデータが公開された「認知度」もバロメーターの一つとして考えても良いのではないかと考えています。

更に本書では、透明度と自立度の評価の基本の上になって、マニフェストがどういう理念や構想であるのかを重視してとらえ、政策の妥当性も検証しなければならないことを示唆しています。 (つづく)

次回は、この続きに書かれている「目標と進捗度をどうとらえるのか」ということについて整理したいと思います。

数字をどう読むのか?

カテゴリ : 
マニフェスト
執筆 : 
まちづくり本舗 2011-8-21 23:34

今回、独自の集計方法で算出した数字は次のとおりでした。

【平均値】
市長の自己評価  : 75.38%
ロードマップの進捗状況 : 88.46%
認知度:26.87%
評価できる(「知っている」方のみ) : 75.37%
評価できない(  〃  )   : 5.8%

 

この結果を見ると、市長の自己評価と市民意識調査で「知っている」と回答された方が「評価できる」又は「どちらかといえば評価できる」と評価した方の平均値がほぼ合致していることから、全体的には75%程度は事業が達成されたのではないかという見方が可能かと思います。

しかし、(市長の自己評価+ロードマップ進捗状況+認知度+評価する-評価しない)÷4で計算した総合評価では65.1%に落ちてしまいます。
これは、事業に対する認知度が低迷していることが大きく影響しています。

具体的には、65事業のうち認知度が30%を超えているのは僅か18事業であり、10%以下は5事業あります。
認知度が高い事業としては「JR南草津駅への新快速停車の実現」の92.4%を筆頭に「市内の公共交通ネットワークの整備」の89.7%がありますが、3番目の「ゴミ収集方法の見直し・減量・リサイクル推進(4年間で3割減)」では62.1%と2ランク程落ちてしまい、一番低い「公益通報の外部窓口の設置」に至っては僅か5.4%しかご存知で無かったようです。
また、自治体の憲法とも言われる自治基本条例の制定に関して、認知度が9.4%という低い数字になっている点も気になります。

当会がローカルマニフェストの公開討論会や市民による検証会を実施しているのは、地域のことは市民自らが決定しその実現のために協働し、結果を更なる発展に活かしていくサイクルをつくることによって市民主体の自治を実現し住みよいまちづくりにつなげていくことが最大の理由です。

今後、認知度が低い理由は何かをしっかり検証し、そしてそれをどのように克服していくのかを考えていかなければならないと思います。

資料が完成しました!

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マニフェスト
執筆 : 
まちづくり本舗 2011-8-20 23:47

2011年9月22日に開催する「市民によるマニフェスト検証大会」に向けて、検証・評価をするための基礎資料を作成いたしましたのでご活用ください。
数値化してグラフにしたもの(WEB版) http://kaikaku21.com/data/2011.htm
上記のエクセルデータ http://kaikaku21.com/data/2011.xls
データを一覧表にしたもの(PDF版)http://kaikaku21.com/data/2011.pdf

グラフの試作品

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マニフェスト
執筆 : 
まちづくり本舗 2011-8-19 23:17

 現時点で入手できる資料に基づき、マニフェストの達成状況等を客観的に評価するための準備作業を行っています。

上の図は、その試作品です。
当初はレーダーチャートにする予定でした。しかし色々試した結果、棒グラフの方が見やすいように思います。

この図は、市長の自己評価とロードマップ進捗状況、並びに市民意識調査の結果をグラフにまとめたものですが、それぞれ指標が違いますので次の基準により数値化しています。

1、市長の自己評価

A=100  B= 75  C= 50  D= 25  E=  0
2、ロードマップ進捗状況

○=100   △= 50   ×=  0
3、市民意識調査

認知度=「知っている」と答えた人の割合
評価する=「知っている」と答えた人の中で「評価できる」と「どちらかといえば評価できる」と答えた人の合計
評価しない=「知っている」と答えた人の中で「評価できない」と「どちらかといえば評価できない」と答えた人の合計
総合=(市長の自己評価+ロードマップ進捗状況+認知度+評価する-評価しない)÷4

市民意識調査で「評価する」と「評価しない」の数字を全体の割合ではなく「知っている」と回答された方のみの数字とした理由は、先日の学習会で「知っていると答えた方の数字は信頼性が高いと考えられる」という見解が示されたのですが、その意見に合理性を感じるからです。

このグラフは、夕方から作成して今のところ施策10まで完成しました。その中で総合得点が一番低いのは国民健康保険税の引き下げに関する事業の25.4点です。

この数字を一定の目安としながら、より詳しい検証・評価ができればと考えています。

 8月18日(木)19時より「ロードマップおよび市民意識調査に関する勉強会」を開催いたしましたので、その結果を簡単に報告させていただきます。

この勉強会は、「みんなでトーク」事業を活用して草津市の企画調整課職員の方においでいただき、市長マニフェストを行政の事業(工程表)として実施されているロードマップの進捗状況および市民意識調査についてお話を伺いました。

まず、ロードマップの進捗状況については、前回と比べて取組み結果に変更があったものや現在進行中の施策を中心にご説明いただきました。例えば、学童保育を延長して小学校6年生まで実施する事業については、昨年度までは5年生まで受け入れ、更に本年度からは6年生まで受け入れておられるそうです。実績としては4月時点で930人の定員847人が入っている状況の中で6年生が9名とのことでした。また、夏休みに入ってから6年生は11名に増えており、現時点では【△】の評価となっていますが本年度末時点では【○】になるだろうとのことでした。

次に、ロードマップに関する市民意識調査については、本年度が市長マニフェストで掲げられている施策を「工程表」に基づき実行している最終年度であることから、その現状を分析し把握することを目的として実施されたそうです。
また、調査結果の概要で150%の重みづけがされている点について、調査の中で重要と感じ、今後拡充を望む事業項目を示された場合にはその評価が他の事業に比して加重して平均をとっているとのことでした。

ディスカッションタイムでは、市民意識調査の中で事業を「知らない」と回答された方の割合が相対的に高いことから、多くの人はマニフェストを着実に実現するためにロードマップを作って事業を実施されているということをご存知無いのではないかという意見や、自分達が選択したマニフェストが実際の事業として実施され、更に検証大会も含めてPDCAサイクルで動いているということが分れば関心が高まると考えられるので、ロードマップに関するタウンミーティングなどを実施されてはどうかといった提案がなされました。

今回の勉強会は、9月22日開催予定のマニフェスト検証大会に向けて理解を深めることを目的として開催したものです。そして本年度は橋川市政におけるマニフェスト検証の最終となることから、客観的データに基づき包括的に検証・評価していきたいと考えています。そこで、市民意識調査の結果やお話を伺いしまたディスカッションでのやりとりで分ったことを参考に、早速取りまとめをしていきたいと思います。皆様からのご意見もお待ちしておりますのでどうぞよろしくお願いします。

最後に、次回の実行委員会は8月31日(水)の19時から、草津アミカホール2階の文化教室Ⅱで開催することに決まりました。

データ集(案)の公表

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マニフェスト
執筆 : 
まちづくり本舗 2011-8-14 21:58

 マニフェストの検証・評価を客観的に行うためのデータ集を作成いたしました。
より良い資料にするため、皆様のご意見をお待ちしております。

データ集(案)はこちら

 

さて、前回に引き続いて、作成していて気が付いた点について紹介させていただきます。

認知度ナンバーワン(92.4%)に輝いた事業は「JR南草津駅への新快速停車の実現」ですが、不思議な数字が出ています。

平成23年3月12日より新快速が全便停車したことから市長自己評価も【A】でロードマップ進捗状況も【○】であるにも関わらず、この事業を評価できないと回答した方が全事業の中で最も高い比率なんです。

しかも、この事業を知っていると回答した方の中で「評価できない」と答えた方は10.0%という非常に高い数字で、全事業を通じて「知っている」と回答した方の中で「評価できない」と答えた事業のワースト2の記録です。

ちなみに、ワーストワンは「インターネット市長室」を開設しましたという事業の10.2%です。
この事業を「知っている」方は、この事業を「評価できない」と考えているようです。
ところで、国民健康保険税の引き下げについては、国の医療制度改革や医療費の増大により収支が悪化したことから逆に保険税の引き上げが必要になったことから、市長自己評価は【D】でロードマップ進捗状況は全事業を通じて唯一【×】となっています。しかし、この事業でさえも評価できないと回答した方の比率は南草津駅への新快速停車について評価しないと回答した方の比率よりも下回ります。

このことから、市民意識調査ではロードマップ(市長がマニフェストで約束し行政計画として掲げられた事業)が実現されたかどうかということよりも、その内容や結果に対しての評価が数字に表れているという解釈した方が良さそうです。

分析の途中経過

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マニフェスト
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まちづくり本舗 2011-8-13 22:28

 草津市企画調整課の職員をお招きして開催する勉強会(8月18日の19時からアミカホール2Fで実施)に向けて、「ロードマップに関する市民意識調査」の結果を分析中です。

まだ途中経過で不正確な点があるかも知れませんが、全体の傾向について紹介させていただきます。

まず、認知度(事業を「知っている」と回答した方の割合)が一番高かったのはJR南草津駅への新快速停車を実現した事業です。なんと92.4%の方が「知っている」と回答されています。
二番目は市内の公共交通ネットワーク整備をしている事業で、認知度は89.7%です。これは、「まめバス」の運行について多くの方々が関心を寄せているからでしょう。
三番目に認知度が高い事業はゴミ収集方法の見直し、減量、リサイクルの推進です。今年の10月からごみの分別区分の見直しやごみ袋の配布方法が変更されることからご存知の方が多いのだと思いますが、認知度は62.1%で上位の2事業に比べると少し開きがあります。

逆に認知度が低かったのは、公益通報の外部窓口を設置している事業が5.4%と最下位でした。市長の自己評価では【A】で行政によるロードマップ進捗状況も【○】の事業なのに殆ど知られていないというのは寂しい話です。なお同系列?の事業で法令遵守担当監を設置していることについても、9.5%と三番目に低い数字でした。

二番目は教育問題相談体制の整備をしている事業で7.6%です。

四番目に認知度が低い事業は、自治基本条例の制定です。この事業は今後のまちづくりに大変重要なものだと思いますが9.4%の方しかご存知では無かったようです。

 

次に、一番評価の高かった(回答で「評価できる」と「どちらかといえば評価できる」を合計した数字)事業は、意外な感じがしますが市役所窓口の日曜日受付の開始が78.2%でした。
ちなみに、一番認知度が高かったJR草津駅への新快速停車を実現した事業の評価は67.5%ですから、それよりも10ポイント以上開きがあります。
なお、この事業については「知っている」と答えた方は39.9%で認知度はさほど高くありませんが、この「知っている」方のうちなんと90.3%もの方が「評価できる」または「どちらかといえば評価できる」と回答されています。

二番目に評価が高かった事業は、女性検診の公費負担の拡大の事業で78.1%でした。
以下、公共スペースのバリアフリー化と歩行者の安全確保75.3%、防災・防犯体制の総点検の実施74.4%、市内での犯罪発生件数の減少73.4%、公共スペースのゴミ・放置自転車の一掃73.9%と続きます。

資料分析のための準備

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マニフェスト
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まちづくり本舗 2011-8-11 22:48

 昨日公表されたロードマップに関する市民意識調査を活用してマニフェストの検証・評価を行う上で、どのように資料を整理すれば全体の傾向が分りやすくなるのかを考えています。

そこで、とりあえず試作品を作成してみました。

この表は、まず各事業について市長がどのように自己評価しているのかを記載する欄を設けています。
「A」や「B」は、平成22年の9月に公表された第1回目の自己評価と先月公表された第2回目の自己評価の結果が共通して「A」や「B」であったことを示しています。
「C→B」とあるのは、第一回目の自己評価は「C」で第2回目は「B」に変わったことを表しています。

次の「行政」の欄は、ロードマップの進捗状況の取組結果を転記したものです。

「認知度」と書いてる欄は、市民意識調査で「市の取組みを知っていますか」という問いに対して「知っている」と回答された方の割合をパーセントで表しています。
この表では「安心1-4 就学前の子どもたちの環境の点検と改善」については13.4%と随分認知度が低いことが分ります。

「○」「×」の欄は、市民意識調査で事業を「評価できる」「どちらかといえば評価できる」と回答された合計の割合を「○」の欄にパーセント表示し、「評価できない」「どちらかといえば評価できない」と回答された合計の割合を「×」の欄に記載しました。

ちょっと時間がかかる作業ですが、検証作業の前準備としてこの続きをコツコツと仕上げていきたいと思います。

もっと分かりやすく整理する方法があれば、是非アドバイスをお願いします!

実行委員会報告

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マニフェスト
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まちづくり本舗 2011-8-10 23:34

 本日(8月10日)、第3回実行委員会全体会議を開催いたしました。
冒頭、これまでに公表された以下の3つの資料について、事務局より概要の説明をさせていただきました。

1.「もっと草津」宣言 ロードマップ(実行計画と進捗状況)
市長マニフェストを行政計画として具体化された事業の実施状況に関する説明資料で、6月1日に公表。http://www.city.kusatsu.shiga.jp/www/contents/1306285682177/index.html

2.「橋川わたる」マニフェストの自己評価
市長が3年間の成果と任期内での見込みについて自己評価の結果をまとめた資料として7月21日に公表。http://hashikawa-w.net/

3.「もっと草津」宣言 ロードマップに関する市民意識調査の実施および報告
無作為抽出により3000人を対象として調査をされたアンケート結果をまとめた資料で、8月10日に公開。 http://www.city.kusatsu.shiga.jp/www/contents/1308040457770/index.html

 

次に、これらの資料の内容や問題点の抽出、更には検証会に向けて整理していく上での大まかな考え方について意見交換を行いました。

例えば、第一回目の検証会(2009年8月21日開催)の中で、事業の進捗状況や成果を確認できなかった項目が多くありましたが、現時点でそれらが確認できるようになったのか、また第二回目の検証会(2010年9月20日開催)の中でPDCAサイクル構築のための条件整備の必要性や市長と行政および検証チームとの間にあった評価のズレが今回どのように克服されたのか、といった視点での整理が必要との意見がありました。

次回は、ロードマップや市民意識調査の担当部局である市企画調整課の方から詳しいお話をお聞きし勉強する機会を設けることが確認されました。

 前回、草津川跡地利用基本構想(案)に関するパブリック・コメントの実施結果をホームページから探し当てることができないと書きました。
そこで、情報公開室に確認したところ2011年6月8日付けで公表されていることが分かりました。
ホームページでは、トップページの左メニューから「パブリック・コメント」をクリックすると掲載場所が表示されます。

 

さて、次はこうして収集した資料や情報を元に内容を分析する段階に移ります。

その際、どのような基準や尺度で分析するのかということを考えなければなりません。

例えば、科学実験だと液体がアルカリ性か酸性かを調べる場合にはリトマス試験紙を液体に浸して、赤色に変色すれば酸性、青色に変色すればアルカリ性だと判定します。

マニフェストの場合は、基本的要件として達成目標や期限・財源などが示されていることが条件であるから、第一段階として単純にその指標で合否を判断することになります。

この方法で「学童保育の延長(小学6年生までの実施))」というマニフェスト事業について分析を試みてみました。

この事業では、平成21年4月より毎年5,000万円の運営費を拠出して実施することが約束されています。
公表されている「ロードマップ進捗状況」(行政の自己評価)によると、平成20年度は21,230万 円、平成21年度は22,260万円、平成23年度は33,440万円が支出されていることから、この数字を見る限りでは期限や財源は約束どおり(予算はそれ以上に)実行されているようです。
しかし、これだけでは肝心の達成目標である小学6年生まで学童保育を延長されているのかどうかは分りません。そこで「ロードマップ進捗状況」の平成23年度の欄を見ると「学童保育の小学6年生までの延長~」と記述されていることから、一見4年目にして目標が達成されているように見えます。

一方で、ロードマップの自己評価は【△】で市長自己評価では【B】となっていることから、こうした場合はその内容についてより詳しく分析する必要があります。
次回は、ベンチマークや「アウトプット」と「アウトカム」、総合的な評価基準などについて考えていきます。(つづく)

 検証や評価を行う上で、第一段階として資料の収集が必要です。

一般市民として資料を収集する際にできることとして、まずホームページ等で公開されているデータを集めることが考えられます。

マニフェストでは「もっと透明 草津の市政・財政」という項目が掲げられホームページの改修などが行われていることから、基本的なデータはサイトから入手できるはずです。

そこで、試しにマニフェストの事業「保育士巡回による家庭・育児相談の実施」について、草津市ホームページに設置されている「サイト内検索」機能で検索してみました。

するとロードマップ進捗状況が表示され、平成22年度には次のように実施されたことが分かります。

すこやか訪問事業
①赤ちゃん訪問実施内容は同様。
訪問拒否や窓口に来られない方の状況が把握できていないケースに対して、4か月健診等による状況を把握し、必要時、関係機関への情報提供を行った。
訪問件数 1,204件(96%)

②育児支援等家庭訪問
前年度同様に実施した他、ブックスタート事業を開始し、ヘルパー派遣事業(就学前まで)を拡大して実施した。
訪問件数 1,143件(92%)
ヘルパー派遣回数 154回

ちなみに、この事業は市長の自己評価では【A】とされ、行政のロードマップの取組結果は平成20年度時点ですでに【○】となっています。
経過を見ると、着任後すぐに実施されていることから事業は期限も内容も概ね約束どおり実施されているであろうことが確認できました。
次にマニフェストの事業「旧草津川の跡地の有効利用(自然と調和した市民の憩いの場としての整備)」について検索してみました。

すると、現在「旧草津川思い出調査」が行われていることが分かります。
また、2009年9月に市長が自転車で旧草津川の左岸堤防を走り、現地の状況の確認や利用方法について検討されている様子が公表されています。
更に、平成22年度に草津未来研究所が「草津川廃川敷地基本構想策定連携業務調査研究報告書」を公表し全文を公開していました。

更に今年6月、学識経験者や市民の代表者などで組織された「草津市草津川廃川敷地土地活用検討委員会」によって「草津川跡地利用基本構想」が策定され、アンケート結果やパブリックコメントも含めて公表されています。

しかし、パブリックコメントに対する回答がどのようになされているのかについては、今年3月25日時点では「現在、検討委員会において、最終意見のとりまとめを行っております。つきましては、検討委員会で回答(考え方)が決定されました後、別途ホームページ等で公表させていただきます。」と書かれているのを最後に、最終の公表結果までは探し当てることができませんでした。

パブリックコメントに対してどのように回答されるかが今後の事業の方向づけを見る際には重要となりますので気になるところです。

そこでこういう場合には、行政の担当原課や情報公開窓口に資料の提供をお願いしたり現状について聞き取りを行ったりするなど、調査を行うことになります。(これから着手する予定です)

2009年8月に実施した第一回目の検証会実施に際しても行政窓口で資料の提供をお願いしたり状況についてお聞きしたりしてきましたが、市民が窓口に直接行って「資料をください」「マニフェストの○○○の状況について教えてください」とお聞きすると、課や担当者によって随分対応の温度差もありましたが相対的にはものすごく警戒された様子で詳しいことをお教えいただくことはできませんでした。
その時に感じたのは、資料や情報の提供をしていただけない場合の理由として議会との関係や守秘義務との兼ね合いなどが障害になっていることが多かったように思います。

しかし、こうした窓口対応については、最近は徐々に双方ともに理解が進んで比較的良好に行うことができるようになってきています。こうした変化は、毎年継続して検証会を開催してきたことによる成果の一つとして考えて良いのではないでしょうか。

次回は、資料収集の次の段階である調査や測定・比較検討の方法について考えてみたいと思います。 (つづく)

 ローカルマニフェストは、自分達が暮らしている地域をどのようにしていくのかを具体的に示すものであり、その実現のために自治体(行政)の施策やその体質をどのように変えていくのかを問うものとなります。
市長が掲げる計画だからすべて市長(政治家としての)個人の問題だけに留める訳には行かないのであって、市民にとっては行政のトップとして行政をどのようにコントロールするのかという意味での期待が大きいはずです。

 ところで、従来は地方自治体のことをローカル・ガバメント(local government=地方政府)と表現されてきました。しかし、この概念には国という中央集権的な構造のもとでの資源の集中管理および配分という統治のあり方が色濃く残っていることから、近年になってローカル・ガバナンス(local governance=自治にもとづく統治、意思決定、合意形成システム)という表現が使われるようになっています。
 ガバナンスの意味が組織や社会に関与するメンバー(市民)が主体的に関与を行なう、意思決定や合意形成のシステムであるとすると、ローカル・ガバナンスを機能させていくためには、行政の持つ資源や事業、更には意思決定の権限を地域の様々なアクターに移譲し、また上意下達の組織ではなく「上意」を民意やマニフェストに置き換え、「下達」を自らが汗をかき市民と協働することに変えていくことが必要です。
では、どのようにして地方自治体の体質を従来型のものから自治にもとづく統治、意思決定、合意形成システムへと変えていくことができるのでしょうか。
この課題を解決する上で、ローカルマニフェストおよびその検証プロセス(PDCAサイクル)には大きな意味があります。
そもそも、公益団体や非営利組織は企業のように収益や数値等で経営状況を表し市場原理によって淘汰されにくいものです。そこで、市民主権の原則に基づき、政治システムとしての民主的手続きによって正当に選ばれた地域経営計画を市民が評価することを通じて、民主主義という市場(競争・緊張関係)によって組織のイノベーションや健全性を保つことができるのです。
また、行政がこれまでの前例主義や責任回避に奔走するのではなく、地域のため市民のために何をなすべきかを学習する組織としていくためにマニフェストとその市民評価は有効な手段です。
 同時にこの一連のプロセスは、市民が自ら学び主権者市民を醸成することにもつながります。
 市民による検証・評価を通じて、より良い政策の選択・プランづくりや実現のための手法の改善につなげ、これらを通じて行政が市民自治に基づく政治システムの一部として機能するようガバナンス改革を進めていきましょう。
 次回は、検証の手法や指標について考えてみたいと思います。(つづく)

 PDCA(plan-do-check-act)サイクルは、第二次世界大戦後、品質管理のための手法として提唱されたマネジメントシステムです。

このうち検証・評価はC(=check)に該当します。

まず計画を策定して、それに基づき実行しその経過や結果を点検・評価を行うことで問題点を洗い出し改善・処置するという一連の流れは、今や一般企業や各種プロジェクトにおいて有効な手法として定着しています。

ところで、候補者がローカルマニフェスト(プラン)を作成する場合、地域社会や自治体(行政・財政)、教育などに関する現状の把握とこれまでの取組み状況などをしっかりと分析し問題点を炙り出すことをしなければ、信頼性の高い計画をつくることはできません。例えば今までに全く無かったものを新発想で開発するプロジェクトや、単なる思いつきやポピュリズムに基づくプランづくりを行うならそうした分析は必要無いかもしれませんが、地域経営や教育・文化・環境などの計画づくりを行う上で、歴史的・社会的な検証・評価の作業は前提条件となります。

そういう意味において、(ローカルマニフェストにおける)PDCAサイクルは、本来「C」からスタートしてCAPDという順番に並べなければならないと考えることもできます。

卵が先か鶏が先かというような論議はともかくとしても、現状分析や問題の抽出、批判、検証・評価の結果から次の目標や課題を設定することができるという意味においては、検証・評価はプランづくりや次期公開討論会を行う上で非常に重要なものであることは確かです。

とりわけ任期最終となる今回の検証大会では、ローカルマニフェストの要件となっている具体的な施策、実施期限、数値目標、財源、手法などの結果を客観的かつ多面的に検証すると同時に、マニフェストの基本スタンスや戦略、目標がどのように実現されたのか、あるいは実現されなかったのかを分析できればと考えています。このことによって、より質の高い次期マニフェストづくりに資すと共により賢明な市民の選択を可能にします。

以上のことから、来年の市長選挙(2月頃?)にあたってローカルマニフェストの作成過程へ参画する、公開討論会を行う、選挙の際にはどれを選択するのかを考える、とった様々なシーンで市民の共有財産となるような検証大会の準備を進めていきたいと思います。

次回は、別の側面から検証・評価の重要性やその意義について考えていきます。(つづく)

 ローカルマニフェストは、候補者が地方自治体の政策や経営をどのようにしていくのかを具体的に示し、それを市民が選択する共に実行や検証に関与・参画し、結果の責任を負うという一連のプロセスを通じて、これまでの依存と分配(国に対する財政・政策決定の依存、公共工事や補助金を通じての分配など)から脱却し自治分権を確立していくための道具として必要不可欠なものとなりました。

マニフェストをイノベーションの力に変え、合意形成や市民参画のツールとすることができるのか、それとも単にブームに乗り票集めのために利用し、それを足かせのように考え義務(約束)を反故にして実現できない言い訳に終始するのか・・・・・。
検証可能な政権公約としてのマニフェストは、作成する際の着眼点や状況分析力、見識や政治的判断、市民参加やニーズの把握努力などが結果(事実)として現れると同時に、リーダーシップや実行力、責任感の有無が明らかになります。

そして、市民による自治体ガバナンス確立のための重要な手段・手法となったローカルマニフェストを定着させるのは、主権者市民の役割であり成熟の糧ではないでしょうか。

そこで、任期最終となる検証大会を開催するにあたり、その意義や具体的方法について何度かに分けて問題提起させていただこうと思います。 (次回に続く)

検証大会に向けての状況

カテゴリ : 
マニフェスト
執筆 : 
まちづくり本舗 2011-7-25 21:12

  草津市長の橋川渉氏のホームページで、同氏のマニフェスト「もっと草津宣言」の3年間の成果と任期内の見込み(第2回自己評価結果)が公表されました。

また、市民によるマニフェスト検証大会の開催日時についても記載していただいてます。

一方で草津市役所からは、マニフェストを行政計画としてまとめた「ロードマップ」の平成22年度までの実績内容と平成23年度の事業計画を公表されています。

更に、ロードマップに関する市民アンケートを実施されて、現在集計作業を行われているそうです。

今回は、市長任期内では最終の検証大会となりますが、昨年の検証大会で当実行委員会から問題提起させていただいた課題を克服していただき実質的な検証ができる態勢が整いつつあるように思います。

当委員会では、マニフェストに関する皆さまからのご意見を賜りたく草津市長マニフェスト検証【電子投票】」を実施しておりますので、是非ご協力をお願いいたします。

検証会の日程決まる!

カテゴリ : 
マニフェスト
執筆 : 
まちづくり本舗 2011-7-4 23:23

 草津市長マニフェストの4年目検証大会の日程が決まりました。

9月22日(木)の夜に草津アミカホールで開催予定です。

開催にあたり、市民によるマニフェスト検証大会実行委員会を以下のとおり実施いたしますのでご参加いただきますようお願いします。(詳しくは、当HPのニュースのコーナーをご覧ください。)

【実行委員会の開催日】

7月14日(金)19時~  場所:草津アミカホール 文化教室(2)

2011年度検証大会開催趣意書

開催趣意書が出来ました。

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マニフェスト
執筆 : 
まちづくり本舗 2011-9-7 23:30

開 催 趣 意 書

 市民によるマニフェスト検証大会実行委員会
委 員 長  西 村 忠 浩
 2003年、我が国にはじめてマニフェストが登場して以来、今や全国の自治体首長選挙においてローカル・マニフェストは標準装備と言われるようになりました。
 まちづくりの理念、具体的な数値目標、達成期限、財源、手法などが書き込まれ、検証可能な公約であるローカル・マニフェストは、首長選挙においてどの候補者に現在の草津市、そして未来の草津市を託すべきなのかを市民が選択し信託する意思決定の指標となるものです。
 そして、自分たちが選択した首長のローカル・マニフェストが約束どおり実行されているかどうかを市民の手で検証することは、民主主義のあり方を変えると共により良い地域づくりや市民主体の自治を確立していく上で大変重要な意味を持つと考えています。
 草津市においては、出直し市長選となった際に開催されたマニフェスト型公開討論会(2004年3月12日)に続き2008年2月6日の公開討論会、そして2009年8月21日には第一回目の検証大会が行われました。
 昨年度、できるだけ多くの市民の方々に参画いただくため、市民によるマニフェスト検証大会実行委員会を立ち上げ、2010年9月20日に第二回目となる検証大会を開催しました。
 今年度は市長マニフェスト「『もっと草津』宣言」の最終年度となることから、残りの期間における施策実現を促すと共に、来年2月頃に予定されている市長選挙において次なる候補者のマニフェストがより良いものとなり、また市民による確かな選択の一助となることを願って、来る9月22日に第三回目の検証大会を開催いたします。
こうした取り組みに、私たち市民が連携・協働することによってこそ草津市が未来に輝くすばらしいまちになると存じますので、積極的な参加とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
平成23年9月吉日

自治体基本条例のパブリックコメント

 パブリックコメントは1月11日で締め切りとなりました。
昨日は想定外のことが起こったので、パブリックコメントとして正式に提出する機会を逃してしまいました。
是非、当方の意見についてもご検討いただくことを願いながら残る条項および全体について、コメントを書きたいと思います。
【市政運営の執行体制について】

第15条から23条までは、市政運営の執行体制についての条項となっています。

まず第15条の「~総合計画と連動させ」は「マニフェストと連動させ」に替えてほしいと思います。総合計画の正当性やその時々の状況にける妥当性よりも、首長の任期ごとに市民が直接選択するマニフェストの方が、民主的手続きの正当性やその時々の社会・経済状況の反映という点で妥当だと考えるからです。
一方で、マニフェストがポピュリズム(ポピュリズム)に陥らず、また財政規律から逸脱しないような手立てと、市民の関与ならびに妥当性評価のための条件づくりが不可欠です。

例えば多治見市では、全国に先駆けてマニフェスト作成の支援に関する要綱が策定されています。また、小諸市でも同様の、マニフェスト作成の支援に関する要綱がありますので、これらも参考にマニフェストによる行政ガバナンスの改革を図っていただきたいと思います。 参考論文

18条ですが、同じようなことも書いてはありますが表現として「最小の経費で最大の効果を挙げるよう努力める」とか「市民満足度の向上に努めなければならない」「行政の縦割りを排して、総合的な行政サービスを提供する」といったような文言も入っていた方が良いと思います。また、職員の義務や役割に関する文言も必要ではないでしょうか。

第21条の公益通報は、次の大東市自治基本条例が良くできています。特に「通報者が通報により不利益を受けないよう適切な措置を講じなければならない」という文面は必須です。

あと、オンブズパーソンの条項も入れるべきだと思います。
この条項が入っている例として、三鷹市自治基本条例があります。

三鷹市自治基本条例より
(オンブズマン)
第19条 市長は、市民の市政に関する苦情を公正かつ中立な立場で迅速に処理することにより、市民の権利利益を擁護し、市政に対する市民の信頼性を高め、公正かつ透明な市政の推進を図るため、三鷹市総合オンブズマン(以下「オンブズマン」という。)を設置する。
2 オンブズマンは、市民の申立てに係る苦情又は自己の発意に基づき取り上げた事案について、市長等に対して意見を述べ、若しくは是正等の措置を講ずるよう勧告し、又は苦情等の原因が制度そのものに起因するときは当該制度の改善に関する提言を行うことができる。
3 市長等は、オンブズマンの職務の遂行に関しその独立性を尊重し、積極的な協力援助を行うとともに、オンブズマンから勧告又は提言を受けたときは、これを尊重し、誠実かつ適切に処理しなければならない。
【市民参画・協働等について】

少し戻りますが、第9条で「市民参加に関して必要な事項は、別に条例を定める」とされてはいますが、名張市自治基本条例のようにコミュニティや市民公益活動についても記載しておくべきかと思います。
また、草加市みんなでまちづくり自治基本条例も非常に参考になります。

関川村むらづくり基本条例では、第10条「むらづくり活動への支援」で生涯学習の推進についても言及しています。
せっかく名張市自治基本条例や伊賀市自治基本条例の策定に携わってこられた帝塚山大学大学院 法政策研究科教授の中川幾郎さんをお招きして「草津市自治体基本条例公開セミナー」(平成21年2月)を開催されたにもかかわらず、そのコンセプトが全く活かされていないのは非常に残念です。

また「(仮称)草津市自治体基本条例」策定方針」にも「条例の内容および位置づけ」として「~更には、市民参画・協働などのあり方などについて示すものであります。」と書いてある訳ですから、もっと丁寧かつ詳細に記載すべきではないでしょうか。
【最後に】
提言書案には議論を重ねるべき条項が多く残されています。
また全体として後進的な印象を持ちました。
是非、策定プロセスや手法、メンバー(例えば行政のまちづくり担当部局やまちづくりのしくみづくりに熱心に関与して来られた草津青年会議所も入っていない)も含めて検証し、ゼロベースで議論が重ねられていくことを望みます。
取り急ぎ書いたので大雑把な文章になりましたが、一旦このシリーズを修了させていただきます。

 パブリックコメントの締切日が近づいてきましたので先を急ぎます。
少し条を飛ばして今回は第14条から始めます。
提言書案より

(総合計画)
第14条 市は、市政運営の最上位の計画として市民の参加を得て総合計画を策定し、総合的かつ計画的に市政を運営しなければならない。
2 総合計画は、目指すべき将来像を定めた長期の基本構想と、基本構想の実現のための中期の基本計画によって構成する。
3 基本構想は、議会の議決を経て策定する。
4 基本計画は、財政推計を踏まえ、事業によって構成される施策の体系をもつものとする。
5 市は、市長の任期ごとに基本計画を策定する。
6 市長が自ら行う政策は、緊急を要するもののほかは、総合計画によるものとする。
7 市長は、総合計画の進捗を管理し、その評価を市民等に公表するものとする。
8 市は、総合計画を見直すことができる。

総合計画については、これまでの条項と比較してすごく詳細に記述されていますが、慎重に検討しなければならないと思います。

基本構想は、地方自治法2条4項で「市町村は、その事務を処理するに当たっては、議会の議決を経てその地域における総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想を定め、これに即して行なうようにしなければならない」と定めていることを根拠にしています。

しかし、平成22年3月29日に第174回通常国会に提出されて現在継続審議中となっている地方自治法の一部を改正する法律案では、地方分権改革推進計画に基づく義務付けの廃止項目の中で基本構想の策定義務の撤廃が盛り込まれています。

また、総務大臣の片山善博氏は月刊ガバナンスの2010年4月号(当時は慶応義塾大学教授)で次のように述べています。

「総合計画」に頼らない「計画」 /慶應義塾大学教授 片山善博

片山教授「従来のお役所中心の総合計画の策定過程は、品のいい言い方をすれば「演繹的」といえる。それに対して総合計画に頼らなかった鳥取県の政策形成過程は「帰納的」と呼べる。議論と説得、それを通じて合意形成に至るという民主主義のプロセスを重視する限り、「帰納的」なやり方の方がはるかに賢明だと確信している。」

演繹的とは、「一般的・普遍的な前提から、より個別的・特殊的な結論を得る推論方法」であるのに対して帰納的とは「個別的・特殊的な事例から一般的・普遍的な規則・法則を見出そうとする推論方法」のことをいいます。
演繹法の欠点は、適切ではない前提を用いてしまったり、前提条件そのものが変化してしまったりした場合にまちがった結論となることです。

現在のように社会・経済状況が大きく変化している時代の中で、またマニフェストによる首長選挙が基本要件となっている中で、適切な結論を充分に保証されない策定過程で作られる基本構想(総合計画)については自治基本条例の中にここまで詳しく記述する必要は無いと思います。

例えば、八戸市協働のまちづくり基本条例のように「市は、基本計画(市の基本的な政策等の内容を定める各種の計画をいう。)の策定に当たっては、市民の主体的な意思に即して地域の特色が生かされるよう、市民参加の機会の確保に努めなければならない。」というようなざっくりした記述で充分ではないでしょうか。

提言書案では「市は、総合計画を見直すことができる。」としていますが、もしどうしても総合計画の条項を入れたいというのであれば、伊賀市自治基本条例のように「市は、総合計画について、評価に基づいた進行管理に努め、市民参加のもと、柔軟に見直さなければならない。」というような表現で、変化への対応を柔軟にできるように位置づけるべきです。

また、三春町町民自治基本条例のように「町は、長期総合計画その他重要課題に関わる事業の計画の策定にあたっては、その立案から実施、評価の各段階において、町民が参画できるよう努めなければならない。」という内容を入れることも必須です。

ところで、私たちはマニフェストおよびその検証へのコミットが市民自治の成熟を促す上で非常に大切なことであると考え活動していますが、その観点から自治基本条例には提言書案の「総合計画」に替えて「マニフェスト」に関する条項を入れることを提案します。

内容は、市長候補者が選挙前にマニフェストを策定・公表すると共に、進捗状況を検証することを義務づける、もしくは努力目標とするというものです。

例えば、鳥取県にある総人口 3,387人の日吉津村では、自治基本条例の中に次の項目が入っています。

(村長のローカル・マニフェスト)
第14条 村長選挙の立候補予定者は、政策の理念と目標を明確にして、達成度について具体的で検証可能な公約(以下「ローカル・マニフェスト」といいます。)を作成するよう努めなければなりません。
2 村は、立候補予定者がローカル・マニフェストを作成できるよう、その求めに応じて必要な情報提供に努めなければなりません。
3 村長は、村民の信託を受けたローカル・マニフェストを村政に反映させるよう努めなければなりません。

日吉津村の自治基本条例は、マニフェスト以外でも全体として非常に良くできています。
ご一読いただき、当市でも参考にしてほしいと思います。
なお、マニフェストに関する項目は、2006年に我孫子市が作成した自治基本条例案の中にも記載されています。(残念ながら議会で否決され廃案となった)
(つづく)

第6条 市長等の役割

提言書案の第6条では、市長等の役割が次のようにまとめられています。

提言書案より

(市長等の役割)

第6条 市長は、市民の信託に基づく市の代表として、この条例の理念および制度を尊重し、誠実に職務を遂行しなければならない。
2 市長は、毎年度の市政運営の方針を定め、これを市民等および議会に説明するとともに、その達成状況を報告しなければならない。
3 執行機関の構成員および職員は、市民の信託に応えるため、この条例の理念および制度を尊重し、誠実に職務を遂行しなければならない。
4 執行機関は、市民の信託に応えるため、市政の課題を解決する組織力を高め、市政を担う職員の人材育成に取り組まなければならない。
5 職員は、職務の遂行に必要な能力の向上に努めなければならない。

まず、タイトルが「市長等の役割」となっている点についてですが、市長と執行機関である行政を一絡げにするのはいかがなものか?と感じました。
首長と執行機関はきちんと分けて、それぞれの責務を明らかにすべきだと思います。
また、首長と行政以外の行政委員会(教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会又は公平委員会、監査委員)や出資団体についても、それぞれの責務を明記することが望ましいと思います。

「市長は、市民の信託に基づく市の代表として~」とうい書き方については、本シリーズの第一回目で書いた内容と同様の理由で「この条例に基づき、市民の信託に対する自らの責任を誠実に果たさなければならない」というような文にできないでしょうか。

更に第5条の議会のところで指摘したように「役割」ではなく「義務」として責務を明らかにすることが必要な箇所だと思います。
また、この条項が自治「体」基本条例の最も大切な部分であると思いますが、全体的に表現が軽いように感じました。

仮に原案どおり市長等という表現で執行機関である行政等も含めて一絡げにするならば、次の事項にも言及すべきです。
1.情報公開と説明責任・情報共有
2.市民参加の推進
3.意志決定の明確化
4.オンブズパーソン・公益通報の制度・法令遵守
5.政策評価・行政改革・職務能力の向上・財務原則など
6.組織原則・公平公正の確保

 

第7条 市政への市民参加

提言書案より

(市政への市民参加)

第7条 市は、主権者である市民の市政への参加の権利を保障する。
2 市民は、市政に参加しないことを理由として、不当な扱いを受けることはない。
3 市は、市民生活に影響を与える重要な条例、計画等を策定する場合においては、課題の発見、立案、実施、評価等(以下「政策過程」という。)にかかる意思決定過程での早い段階から市民参加の機会を設け、市民の意見が適切に反映されるよう努めなければならない。

冒頭の「市は、主権者である市民の市政への参加の権利を保障する。」という表現は非常にまずいです。

何故なら、この権利は行政から与えられるのではなく主権者たる市民固有の権利だからです。

従って「すべての市民は、主権者として市政に参加する権利を有する」というような表現が適切ではないでしょうか。

 

 第8条  審議会等の設置

提言書案より

(審議会等の設置)

第8条 市は、審議会その他これに類する機関(以下「審議会等」という。)について、その設置の目的等に応じ、委員の一部を公募することなどにより、幅広い市民が参加できるよう努めなければならない。

2 審議会等においては、委員の意見が積極的に示され、議論によって意見が集約されるものとし、市にその過程と結果が伝わるよう、時間の確保と運営に努めなければならない。
この項目の名称については、例えば「政策形成過程への市民参加の保証(または権利)」という項目名が良いと思うのですが、もし審議会等について記載するのであれば、審議会が特定の人たちによる偏ったものにならないようにする制限事項や行政主導ではなくアドボカシーも含めた審議会の独自性が確保されるような措置、更には一番大切な審議会の協議内容等の完全公開および一般市民の意見の反映機会を保証することなどを入れるべきだと思います。

 

第9条 (市民参加の確立)


 提言書案より

(市民参加の確立)

第9条 前2条に規定する市民参加に関して必要な事項は、別に条例を定める。
前々回で、草津市自治体基本条例公開セミナーの市長挨拶のことを書きましたが、その中で「まちづくりの場に実際の仕組みとして機能させていこうとする」ことが自治体基本条例制定の目的であると発言されています。
その意味では、この部分がこの基本条例の最も大切な部分であると思いますので、別立てでは無くこの基本条例内で定めるべきです。
しかも、第6章で「まちづくりにおける協働」という項目があるのに、この条で「別に条例を定める」ということそのものが不自然な感じを持ちました。
なお、本条例内で具体的に書く場合のタイトルは前条で書いたとおり「市民参加の保証(または権利)」が適切だと思います。

 

第10条 (知る権利)
提言書案より

(知る権利)

第10条 市民は、市政に関する情報について知る権利を有する。

2 市は、市政に関する情報について、市民等に説明する責任を負う。

この項目で書いてあること自身は間違いでは無いと思いますが、もう少し丁寧に記述してはどうでしょうか。

例えば、「行政が保有する情報は、市民の共有財産であり、行政はこれを秘匿もしくは独占的に使用してはならない」というような文言を入れるとか、不当に秘匿されたり不服がある時には異議申し立てができるようにすることが考えられます。
更に、この後の条項で出てくるのかも分かりませんが、「行政は積極的に情報を発信し、市民に分かりやすく伝える努力をしなければならない」というような意味のことも入れてはどうかと思います。

(つづく)

 事情により2日間空いてしまいましたので、先を急がなければなりません。、
・・・・と言いながら、今回は最初に戻って名称問題を考えてみたいと思います。
当市の骨子案では自治体基本条例という名称が付けられていますが、何故わざわざ「」を入れるのか疑問が沸いてきたからです。

現在、自治基本条例やこれに類するものも含めて全国180以上の自治体で制定されているそうですが、その名称について稚内市自治基本条例のページ(リンク先へ)に策定順に一覧表が掲載されています。

この一覧表では、当初は箕面市のまちづくり理念条例から始まり、全国初の本格的な自治基本条例として知られるニセコ町の「まちづくり基本条例」という名称が5件続いています。
その後、「市政運営基本条例」や「自治基本条例」「市民参加条例」「行政基本条例」という名称が付けられています。
例えば、北海道の「行政基本条例」という名称は、議会改革まで一挙に到達することが困難であるとの状況から、まずは行政からはじめようという趣旨で名づけられたそうです。
また、多治見市では、当初「自治体基本条例」という名称で検討されていましたが、議会で審議未了廃案となった後、議会における議論の論点整理や行政内部での検討、パブリックコメントなどを通じて条例案を検討され、最終的には「市政基本条例」という名称が付けられました。

名称の一覧表を見ていると、平成18年10月頃からは「自治基本条例」の割合が多くなっているようです。

ところで、当市が当初からこだわっている「自治基本条例」という名称は、法政大学名誉教授の松下圭一氏が1994年頃から使っている名称だと言われています。

私は総称としては、自治体基本条例が学術的に合致しているようにも思いますが、各市で具体的に策定される名称には、まず自治体名が入る訳ですから(自治体名)+基本条例が正しいと思います。

要するに、草津市というタイトルで自治体を表しているのですから、わざわざその後に自治基本条例とする必要は無ありません。むしろこれでは言葉が被っていると思います。

だから、素直に草津市自治基本条例にしませんか?

総称としての自治基本条例は、要するに情報公開や政策形成過程への関与、住民投票など市民主権に基づく市政を実現し、質の高い自治体運営を行おうという共通した思いが込められていると思いますので、その観点からこの先を急いで検証してきたいと思います。

 感想を書きながら思うのですが、問題提起する立場としては正確を期すためにはもっとじっくりと多角的に検討しないといけないですね。というのも、ブログにUPした後で気づくことも多いので・・・・

この骨子案を作成されるまでに、検討委員会のみなさんが29回もの会議と8回の学習会を重ねて来られた訳ですから、本来はそのすべての記録を辿っていく必要があります。

とはいえ、パブリックコメントの締め切りも近づいているので、「間違っていたらごめんなさい」ということで、先にお詫びさせていただいて続けていきたいと思います。
※ご意見があれば、当HPの上部メニューにある「問い合わせ」からお願いします。
さて前回の続きを書く前に、自治体基本条例策定について市長はどのような考えをお持ちなのか知りたくなりました。
そこで、見つけたのが平成21年2月25日に市役所で開催された草津市自治体基本条例公開セミナーの市長挨拶です。

(セミナー挨拶より転載)

本日は、「自治体基本条例公開セミナー」を開催いたしましたところ、多くの皆さまに御参加いただきまして、本当にありがとうございます。
只今、司会も申しましたように、現在、自治体基本条例については、全国的に制定の動きが拡がっているところでありまして、草津市でも制定に向けた検討を始めたところです。
自治体基本条例は、多様化する市民ニーズに応えるために、市民の皆さまとともに自治体運営を進めるために基本理念や原則などを定めるものであり、この条例を、市の最高規範的な共通の指針として位置付けることにより、市政運営をより民主的なものにする、また、まちづくりの場に実際の仕組みとして機能させていこうとするものです。
本市では、自治会活動やボランティア活動など、様々な団体の活動を通して、市民同士の大きな輪が広がっているなと喜んでおります。これらの活動を通して、市民同士のより良き関係がさらに広がり、また市民の皆さまと行政と議会とのより良き関係を築いていかなければならないと考えております。
こうした中、これからの草津をどうしたらより良くできるのか、そのためには市民の英知をどう結集していったら良いのか、それらのまちづくりを推進するための手法、活動などについて、本日のセミナーをきっかけとして、みなさまとともに考えていきたいと思っています。
私は、自治基本条例を制定することが目標ではなく、制定する過程が大切であり、制定した後に市民や議会、そして行政がどのような行動をしていくかが大変重要であり、この条例が多くの方々に理解され、自分たちのルールであると共感を持って受け入れられ、そして草津市のまちづくりを進める上での仕組みとして定着することが大切であると思います。本日のセミナーが私も含めまして、会場にお越しいただきました皆さんに取りまして、有意義なものとなりますよう期待しております。
なるほど、という感じです。
自治体基本条例を「市の最高規範的な共通の指針として位置付けることにより、市政運営をより民主的なものにする、また、まちづくりの場に実際の仕組みとして機能させてい(く)」ということが主眼なんですね。

前文に、こういうことを書いたら分かりやすいんじゃないかなぁ~・・・。

また、「制定する過程が大切であり、制定した後に市民や議会、そして行政がどのような行動をしていくかが大変重要であり、この条例が多くの方々に理解され、自分たちのルールであると共感を持って受け入れられ、そして草津市のまちづくりを進める上での仕組みとして定着することが大切である」ということも大納得です。

「市民に共感を持って受け入れられ(る)」ためにも、積極的にコミットしていきたいと思います。
【第4条】 市民の役割

本題に入って、提言書案の第4条(市民の役割)について考えてみたいと思います。

「市民は、市の主権者であり、互いにその権利を尊重するよう努めるものとする。
2 市民等は、草津のまちづくりが自らの主体的な活動によって支えられていることを認識し、これを尊重するものとする。」

これを見て直感的に感じたのは、条項の順番としては市政の基本理念に関する条項が最初にもってきて、この条はもっと後に来たほうが良いのではないかということです。
その上で、市民については、「役割」だけでなくて次の権利を明記すべきだと思います。

1.市民の知る権利(説明責任を求める権利)
2.個人情報の保護
3.市民参加の権利(意志決定への関与)
【第5条】 議会の役割
提言書案の第5条(議会の役割)について次のように記述されています。

議会は、市民の信託に基づく立法機関として市民の代表によって構成され、法令および条例の定めるところにより議決の権限を行使し、もって市の意思決定を担うものとする。
2 議会は、開かれた討議を基本とし、その意思決定の過程をわかりやすく速やかに市民等に明らかにするものとする。
3 議会は、市政の課題を提起し、政策の立案または提言を行うものとする。
4 議会は、執行機関の活動を監視および評価し、適正な行政運営の確保に努めるものとする。 5 議会は、前各項に規定する内容の充実を図るための法務および調査研究活動に努めるものとする。

多治見市の例では「議会の議員は、この条例の理念や原則と制度を遵守し、市民の信託に対する自らの責任を誠実に果たさなければなりません。」としています。
また。札幌市の例では「議会は、市民自治によるまちづくりを推進するため、市民の意思を把握し、政策の形成に反映させるものとする。」「議会は、議会の活動内容に関する情報を積極的に市民に提供するとともに、広く市民の声を聴く機会を設けるものとする。」と明記されています。

これらと見比べると、当市の案ではこうした議会の責務の全体を明らかにされていないのではないかと感じましたが、どうなんでしょうか?
(つづく)

 みさなん、ご存知ですか?
現在、草津市自治体基本条例の提言書案に関するパブリック・コメントが実施中です。
募集期限は1月11日まで。
詳しい情報は、草津市のホームページ「パブリック・コメント」のコーナーに掲載されていますので、是非とも多くのみなさまのご意見が寄せられることを期待しています。

ところで自治基本条例の制定については、橋川市長のマニフェストで次のように記載されています。
市民と橋川わたるの「もっと草津」宣言より引用

政策4 もっと透明
施策20 市民と協働・協創のまちづくりの基本ルールを定めます!
○市民参加、住民投票制度、NPO支援などを盛り込んだ【自治基本条例】の制定

平成21年3月までに制定
このように、橋川市長が就任後1年で作成するとされていたことに対して、前回の市長選に際して出された前市長のマニフェストでは以下のとおり2年間をかけて作成するとされていたことから、1年でつくるという意気込みに大きな期待を寄せられていた方もいらっしゃるのではないかと思います。
伊庭かへえのマニフェストより引用

政策34 自治基本条例の制定

[目標]自治体運営の基本を議会と協議のうえ、条例で市民に明らかにし、約束します。
[方法]市の重要課題について、あらかじめ市民の意見を聞く仕組みや、特別の案件について市民投票制度などを設けることなどを内容とした自治基本条例を制定します。
[期限]2年
[財源]1,000千円(検討会議経費など)

しかし、結果的にはまもなく3年目を迎えようとする時期にようやく原案が出てきたという状況となっています。

この件に関して、橋川市長自身の2年目の自己評価で「市民が真に自分たちのものと認識できる条例となるよう、当初1年で制定することとしていたのを3年かけて制定する」とのコメントが出されています。

「市民が真に自分たちのものと認識できる条例となる」ためには、もっと私たち市民の中で議論を深めていかなければなりません。
そこで、問題提起の意味も兼ねて提言書案を読んでの感想(私見)を書いていきたいと思います。

 

【前文について】

提言書案より

(前文)
草津市は、街道にゆきかう先人の営みがつないだ歴史と文化あふれるまちです。
いま、さまざまな個性ある市民が、互いの存在と権利を尊重しあい、暮らしや活動の中で力を合わせて連携し、「いてよかった」と実感できるまちをつくること、それがわたしたちの課題です。
そのために、わたしたちはまちづくりの主体として、自ら必要と考えるまちづくりに自由にとりくみ、また主権者として草津市全体にとって必要なとりくみを、政府である草津市に信託します。
地方分権をふまえ、市民の信託に応えうる、自律し自立する「自治体」をつくり、次の世代に継いでいくことは、市民にとって重要な責任と考えるからです。
したがって、わたしたちは、ここに、草津市民のめざすまちづくりに応える政府としての市の役割を明らかにし、市のしくみと運営の原則を規定した最も基本となる条例を制定します。
まず、提言書案の「草津市は、街道にゆきかう先人の営みがつないだ歴史と文化あふれるまちです。」という文章について。
「ゆきかう」という意味は行き来をするとか往来するということだと思いますが、往来した人たちの営みが歴史と文化をつないできたのか、それを迎え入れる地域の人たちが歴史と文化をつくってきたのか・・・・多分相互作用があっての歴史と文化なのかなぁ~とちょっと考え込んでしまいました。
こんなことで時間をとっていると次に進めないのですが、要するにこの文章では草津市の地域性を打ち出して、そこから自治体基本条例策定の意味付与をしようとアプローチされていると推察しました。
そうだとすると、内容的にはその歴史や文化をどう活かすのかというようなまちづくり(自治のありよう)の理念にまで言及していないので、ちょっと取って付けたような印象を持ちました。

次に「いま、さまざまな個性ある市民が、互いの存在と権利を尊重しあい、暮らしや活動の中で力を合わせて連携し、「いてよかった」と実感できるまちをつくること、それがわたしたちの課題です。」と続いていますが、「いてよかった」と実感できるまちをつくることが課題かと言われると、そうなのかなぁ~? もう少し幅に広い概念が課題なのではないかなぁ?とも思います。

もしこれが自治基本条例を作る目的だとしたらポイントが違います。この文章では、何故今、自治基本条例が必要なのか、ということに対して真摯に応えていないように感じました。

そして次の文章も、ちょっと引っかかります。

「そのために、わたしたちはまちづくりの主体として、自ら必要と考えるまちづくりに自由にとりくみ、また主権者として草津市全体にとって必要なとりくみを、政府である草津市に信託します。」
あくまでも印象ですが、この文章を読んでいると地方政府が元々あってそこに信託することが自治基本条例の趣旨のように受け止めてしまいました。
地方政府は、基本的に国から権限を委譲された存在というのではなく、自ら作る自治の姿をより鮮明に明記すべきなのではないでしょうか。

例えば、多治見市市政基本条例では次のように記述されている。

【多治見市市政基本条例より】
私たちは、基本的人権が尊重され、平和のうちに安心して心豊かに暮らせるまちを目指します。
私たちは、まちづくりの主体として、一人ひとりが自由な意思でまちづくりにかかわるとともに、まちづくりの一部を信託するため、市民自治の主権に基づき、市民生活とその基盤である地域社会に最も身近な地域政府として多治見市を設置します。
市は、市民の信託に基づき政策を定め、市政を運営しなければなりません。また、その保有する情報を市民と共有し、市民が市政に参加するための制度を整え、まちづくりを担う多様な主体と連携協力しなければなりません。
私たち市民は、地域政府としての多治見市の成立が市民の信託に基づくものであることを明らかにし、市政の基本的な原則と制度やその運用の指針や市民と市の役割を定める多治見市の最高規範として、ここにこの条例を制定します。
同じ信託という言葉を使っているとしても、その使い方が全く逆に感じてしまうのは何故でしょうか?
特に「まちづくりの一部を信託するため、市民自治の主権に基づき、市民生活とその基盤である地域社会に最も身近な地域政府として多治見市を設置します。」という部分を見ると、当市の原案と比べてその先進性は明らかです。

多治見市の例では、信託するのが先ではなく「信託に基づき政策を定め、市政を運営しなければならない」と市民主権の立場から行政のありようを規定しています。

多治見市の「私たち市民は、地域政府としての多治見市の成立が市民の信託に基づくものであることを明らかにし~」という文章と、当市の原案「地方分権をふまえ、市民の信託に応えうる、自律し自立する「自治体」をつくり、次の世代に継いでいくことは、市民にとって重要な責任と考えるからです。 したがって、わたしたちは、ここに、草津市民のめざすまちづくりに応える政府としての市の役割を明らかにし~」というのでは天と地程の違いがあるように思いました。

今回、自治基本条例では無く、あえて自治基本条例としている点から言えば、まちづくり全般というのでは無く、自治体のありようを市民主権の原則の下で明確化することが目的であるのではないかと推察します。しかし原案では、行政が「自律し自立する」という独立した存在であり市民から信託されるべき絶対的存在のように描かれているように感じます。
自治体は市民から信託されているという前提ではなく、信託されるための自治体のありようや基本原則を明らかにすることこそが必要なのであって、信託に応え、また逸脱しないための具体的方策を決めるのが自治基本条例の役割ではないでしょうか?
繰り返しになりますが「市民の信託に応えるための~」というような信託が前提では無く、多治見市の例で「市民の信託に基づき政策を定め、運営しなければなりません。」としているように、どのような信託の条件が課せられているのかが肝心だと思います。

 

【第1条】 目的について

続いて、提言書案の第1条で条例の目的を次のように記述しています。

「この条例は、草津市の市政における市民、議会および市長のあり方を明らかにするとともに、市民の信託に応えるための基本原則を定めることにより、自治の確立を図ることを目的とする。」
これを読んで、記述の順番に違和感を覚えました。
というのは、基本条例の目的の第一は、市政運営の基本理念や原則、実現のための方策を明らかにすることであるはずだからです。
また、まちづくり条例や自治基本条例ではなく、あえて自治基本条例とするならば、市民のあり方を第一番目に明らかにする必要は無いのではないでしょうか。
市民について書くのであれば権利と責務であり、議会や市長は役割と責務が適切だと思います。
例えば、ニセコ町の例では目的として「町民の権利と責任を明らかにし、自治の実現を図ることを目的とする。」とされています。

このように、何によって行政のありようが規定されるのかという関係性を明確に示すべきなのではないでしょうか。要するに、市民も議会も市長も同じ次元で語ることは国民主権や自治という原則からするとちょっとまずいんじゃないかなぁ~と思います。

 

【第2条】 条例の位置づけについて


 次に条例の位置付けについて、提言書案の第2条で次のように記述されています。

「市は、市政運営ならびに条例の制定、改廃、解釈および運用にあたっては、この条例を基本としなければならない。
2 市は、法令の解釈および運用にあたっては、この条例に照らして判断しなければならない。
この文章は、もう少し「最高規範性」を強調すべきだと思います。
例えば、「この条例は市政運営の最高規範であり、この条例に反する条例の制定や運用を行ってはならない」としてはどうでしょうか。
何故なら、検討委員会での論点と本条例の思いの中で「基本的には後からできた条例が優先される」という見解があったと書かれていますが、これは本末転倒ではないかと思うからです。

 

【第3条】 用語の定義について
提言書案では、用語の定義について次のとおり書かれています。

第3条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 市民 市内に在住する者または草津のまちづくりに関わる者をいう。
(2) 市民等 市民および草津のまちづくりに関わる法人および団体をいう。
(3) 市 議会および市長その他の執行機関をいう。

(1)と(2)を見て思うことは、市民と市民等は統合すべきではないかということです。
これは、間違いとは思いませんがバランスから言って市民を細かく分ける必要が無いと思うからです。

(2)については、企業や団体であれば法人所在地でも良いのですが、草津市に住所を有していることが市民等の条件でなのではないかと思います。
選挙権が無ければ市民では無くビジターや応援団という位置づけではないでしょうか。

市民を細かく分類している一方で、自治基本条例であるのに、自治体の用語が明らかにされていないように思います。

例えば、「市は市長を代表者とする自治体としての行政」としてはどうでしょうか。また、市政についても「自治体としての行為の総体」などと位置づけると分かりやすいと思います。

(つづく)

マニフェストに関する学習ノート

この文章は、当ブログで過去に掲載した記事です。


 草津市長のマニフェストを市民の手で検証・評価するための冊子および評価シートを作成いたしました。
冊子は、次のファイルをダウンロードしてご覧ください。冊子(PDF)
評価シートは、次のファイル(ここをクリック)をダウンロードしてFAXで送付してください。
なお、ホームページから送付することもできます。 市長マニフェスト検証【電子投票】
 ※前回までの記事のとおり、残念ながら冊子や評価シートを市民センター等の公共施設に設置する許可を得ることができませんでした。お手数ですが、冊子をダウンロードしてご覧いただきながら、電子投票等を活用して市民によるマニフェスト検証にご協力いただきますようお願いいたします。

 本日(7月28日)、草津市のホームページで市長マニフェストを行政の事業計画としてまとめた「ロードマップ」の進捗状況が公開されました。京都新聞の記事へ
「ロードマップ」について、市長マニフェスでは「当選後、すぐ(3ヵ月以内)に、マニフェスト実現のロードマップ(実行計画)をつくります」と書かれています。
当ブログの前回、前々回の記事で問題としているのは、市長マニフェストで公約として掲げている「2年後、4年後に、市民のみなさまにマニフェストの進行状況を検証していただき、結果を公表します。」という約束について、市長マニフェスト本体を検証するのか、それとも行政計画となっているロードマップを検証するのかということに関することです。
例えば、次のホームページをご覧ください。 草津市の公式サイトへ
草津市の公式サイトをご覧いただくと、市長マニフェストの取り扱いが次のとおりになっています。  橋川わたるマニフェスト「もっと草津」宣言(草津市の公式ホームページではありません)
お分かりいただけたでしょうか?  要するに、草津市役所としては橋川わたるマニフェスト「もっと草津」宣言については、橋川渉氏の個人的な政治活動であって、行政としては関与していませんよということが言いたい訳です。
でも、ちょっと理解しにくいのは、同じページに次のとおり書かれていることです。  草津市においては、橋川わたるマニフェスト「もっと草津」宣言にもとづき、4年間の工程表としてのロードマップを作成し、これまで全力を傾注してまいりました。
・・・何故、政治家個人の主張している政策集がロードマップになっているのか・・・何故、政治家個人の主張を実現するために行政が全力で傾注しているのか・・・  あまり表現力が豊かではないので上手く書けませんが、どうも論理的にすっきりしないんですよね。
そして問題は、市長マニフェストについては市民による検証の対象とされていますが、ロードマップは市民による検証の対象とはなっていない点です。だから、もし市民による検証が想定されていないロードマップを検証しようとしたころで、「ご勝手にどうぞ」ということになります。 まぁ、それでもいいんですけど。
また、ロードマップは市長だけの権限で公表したり評価したりできるものではなくて、必ず議会の承認(報告?)が必要なのだそうです。だから、市長が勝手に自己評価や市民評価の対象とすることはできないということかなぁ。  ちなみに、市長マニフェストの自己評価はA~Eの5段階ですが、ロードマップは○×△です。  もし仮にロードマップを検証するとしたら、マニフェストがロードマップにきちんと反映しているかどうか確認する作業を行い、市長の自己評価とロードマップ進捗状況を数値換算し、それとの対比で市民検証する必要があるのかも。
実は、9月20日に開催を予定している「市民によるマニフェスト検証大会」については、随分前から準備をして5月末には市長とも直接協議・調整しながら進めてきたものです。何の解決策も示さずに、市長自らが「市民による検証・評価シートを市民センター等に置くことは難しい」と言われても本当に困ってしまいます。  また、これとの関係で市民センターへの開催ポスター掲示についても、すぐに返事がいただけない状態になっています。なお、市役所職員に対するアンケートについては、職員課から「前例が無いからできない」と迷惑そうに断られました。
じゃ、一般市民の立場でどうやって広報したりアンケート(評価シート)を回収したりすれば良いのでしょうか。
行政としてはロードマップの検証の方がやりやすいということであるならば、方法はいくらでもあります。 例えば、市民による検証を尼崎市のように市民会議で行ったり、パブリックコメントとして実施したりしても良かったのではないでしょうか。
まぁ、いづれにしても他市の例(八戸市や静岡市など)ではそんな不毛な論理ではなく、公約として掲げて当選した市長マニフェストは、当然、行政として全力で取り組んでいくという素直で一般市民に分かりやすい方法でなされているところもありますので、要はマニフェストに対する市長の考え方次第ということなのかも知れません。


 前回の記事の続きです。
行政として市長マニフェストを検証している八戸市の市政評価委員会事務局と静岡市の市経営企画課に電話で確認したところ、やはりこちらが思っていたとおりでした。
草津市では、市長マニフェストは政治家個人のものであって行政は関与できないそうです。  だから、市民センター等の公共施設にマニフェストの検証・評価シートを置くことはできないのだとか。
でも、八戸市と静岡市は市長マニフェスト実現のために行政・市民が一体となって取り組まれています。  しかも、電話で対応いただいた職員さんから「マニフェストを市民の方々に行政と対等な関係で評価いただくためには、行政が情報をしっかりお出しする責任があります」というコメントをいただきました。


 市長マニフェストは、誰がどのように検証すれば良いのでしょうか?
当まちづくり本舗もメンバーとなっている「市民によるマニフェスト検証大会実行委員会」では、全市民の1パーセントを目標に、検証・評価シートを集める準備を進めています。

しかし、検証・評価シート等の公共施設(市民センター等)への設置について、草津市から許可をいただくことができません。    この件について、選挙管理委員会に問い合わせたところ、設置については法的には問題無いとの回答をいただいています。 理由は、選挙の時期では無いことと、選挙前に候補者が出すマニフェストとは違い当選後に公職となってそのマニフェストが市民との契約として成立しているからです。 マニフェストは市民への約束(契約)であり、市長選が終われば公的性格を帯びるものであり、選挙前のマニフェストと市長就任後のマニフェストは性格や意味が違います。
では、何故草津市(市長)は検証・評価シート等の公共施設への設置を拒否されるのでしょうか?  また、市長マニフェストには「2年後、4年後に、市民のみなさまにマニフェストの進行状況を検証していただき、結果を公表します。」と明記されていますが、市長はどのような形で市民評価をされるおつもりなのでしょうか?  行政(市長)が非協力的な状況では、公明正大に市長マニフェストを検証・評価することは困難です。
市長マニフェストより     ↓ 
そこで、他市ではどのような方法でマニフェストの第三者評価をされているのかについて、参考となる事例を探してみました。※一部の除き実際に視察・聞き取り調査をした訳ではありませんので、ご留意ください。
(事例その1)八戸市→パブリックコメント
八戸市HPへ
八戸市では、小林まこと市長が平成17年の市長選挙でマニフェストを掲げて当選されました。  その4年目となった平成21年4月に八戸市市政評価委員会(学識経験者2名、産業界1名、金融界1名、労働団体1名、市民1名の合計6名で構成)が設置されて評価書(案)を作成されました。  この評価書(案)を市庁本館・別館案内、南郷区役所、各公民館・支所、八戸駅市民サービスセンター、政策推進課などに設置し、市民に広く意見が求められました。
   この時の記事が、市ホームページに次のとおり掲載されています。  
評価書およびそれに対する意見は、公共施設で閲覧・貸出が可能となっています。  なお、小林まこと市長は2期目も市長選に立候補し再選を果たされています。また、2期目のマニフェストについては、市の公式サイトから閲覧することもできます。 市公式での市長マニフェスト掲載(事例その2)尼崎市→市民会議方式 尼崎市HP
尼崎市では、2期目となる白井市長が平成20年6月に「マニフェスト点検市民会議」を設置。マニフェストの取り組み状況について平成22年12月まで点検や意見交換をされています。
中間報告書(PDF)(事例その3)仙北市 →市民会議+行政規則での位置づけ    仙北市の門脇光浩市長の手法です。  まず、次の月刊地域づくりの記事で、マニフェストの達成に向けて市民とともに協働作業として取り組んでいくことが表明されています。 月刊地域づくりの記事へ
そして、尼崎市と同様にマニフェスト検証市民委員会を設置し、その募集を市広報に掲載されています。
さらに、次の仙北市処務規則において、重点プロジェクト推進室では「マニフェストの実現に関すること。」を業務として位置付けています。 市の規則へ
なお、市長の40項目のマニフェストは次のとおりです。 市長マニフェスト(PDF)
参考までに、市長の個人ブログはこちら。ブログ

(事例その4)静岡市 → 政策合意と市民評価委員会    静岡市のHP
静岡市では、平成19年度から、小嶋善吉市長のマニフェストに基づいた市政運営を始めました。  行政内では、「静岡マニフェスト2007」推進に関する政策合意を庁内の担当局長と交わしています。 静岡マニフェスト2007(PDF)  更に、学識経験者(2人)と公募市民(8人)の10人で構成された市民評価委員会が評価を行い、その結果を市ホームページへの掲載、報道機関への資料提供等、広く公表し、来年度実施予定の最終評価につなげていくとしています。

(事例その5)千葉市→調査中
千葉市のHPへ
千葉市では、市長のマニフェストへの取組みの推進にあたり、総合調整及び進捗状況の管理等を行うために、庁内プロジェクトチームを設置されて、全庁的な取組みを進められています。
市長の熊谷俊人氏は、昨年6月に全国最年少の31歳で市長となったことでご存知の方も多いと思います。
千葉市は、市長マニフェストを具現化するために工程表を行政内で取りまとめられている点では、草津市でのロードマップと手法は同じだと思います。  ただ、少し違うように思うのは、草津市では市長マニフェストは政治家個人のものであって、行政はそれに関与すべきでないと主張されていますが、千葉市はあくまでも「市長マニフェストプロジェクトチーム事務局(総合政策局総合政策部政策企画課 企画班)」という名称からも分かるように、市長マニフェストを具現化するための位置づけだという点です。微妙なんですが、意味が随分違うように思います。  この点については、現在、千葉市の「市長マニフェストプロジェクトチーム事務局」にメールにて問い合わせをしています。

以上の事例を見る限りにおいて、行政が市長マニフェスト検証に直接関わることができないということや、市民センター等の公共施設に検証・評価のためのシートを設置できないというのは、どうも腑に落ちません。
 ところで、パブリックアクセス権というのをご存知でしょうか? 参考HP  一般的な定義(ケーブルテレビの発達と共に確立されたアメリカの場合)としては、「市民が誰もが、公共財である電波を利用し、情報発信できる権利」のことを言います。広義では「公的な資源を活用して情報発信できる権利」のことを指します。また、公的な資源には、テレビやラジオといったメディアだけでなく、公共施設でのチラシ等による情報発信のことも含まれます。  私は、市民がまちづくり(アドボカシーも含めて)に関して情報発信する権利は最大限保障されるべきであると考えています。
まちづくりの中で一番大切なマニフェストに関して、市民センター等に置く事を拒否されるというのであれば、市民センターというのは一体どういう目的で設置され、何のために運営されているのでしょうか。
市長マニフェストでは、「市民センター(公民館)の施設改善と機能拡充(専従職員の配置)」が明記されています。  検証大会では、市長に対して「市民センターの機能や役割とは何か」ということについて詳しくお聞きしてみたいと思います。
(つづく)


 7月18日付けの「滋賀県議会だより」が新聞折込で届きました。
議会質問の中で知事のマニフェスト自己評価に関して「第三者評価があって初めて県民の判断材料になる」との質問があり、これに対して知事は、次のように回答されています。
「自身のマニフェストの自己評価に対してマニフェストの評価に確立された方法はないと理解していますが、まずは、知事選挙の際に県民にマニフェストを提示し、多くの支持を得た当事者である私自身が自己評価を行い、県民に説明責任を果たすことが重要と考えます。  その上で、客観的な評価を行うという観点から、第三者による評価がされれば、より望ましいと考えます。  第三者評価は、第三者自身が主体的にかかわっていただくべきことであり、私自身が呼びかけることではないと理解しています。」


全くそのとおりだと思います。
来る9月20日にアミカホールで開催する「市民によるマニフェスト検証大会」は、草津市長のマニフェスト自己評価に対して、市民のみなさまに評価いただく機会とするために実施するものです。  まもなく、評価シートを配布する予定ですので、是非ご協力をお願いします。
 市民によるマニフェスト評価のための取り組みに対して、行政側は情報の提供やチラシ・評価シートの配布等に協力していただけるのか、それとも非協力的なのか・・・。  これもマニフェスト評価の大きなポイントになります。

 前回からの続きです。
地方自治体は、区域内の全ての住民が構成員となり、地方公共団体がその自治権を行使するものとして存在しています。  ここで問題となるのが、自治体の構成員である市民と、地方公共団体(地方政府)との関係です。    この2つの主体の関係は、同列に並べられるものではありません。何故なら、地方公共団体は、市民がいわばオーナーであり執行権者でもあり、かつ最も重要なステークホルダーでもあるからです。
その制度としては、地方公共団体を市民の意志に基づき(個人ではなく総意に基づき)適正に執行するために、首長や議員の直接選挙によって選出すると共に、条例の制定・改廃の請求、事務監査の請求、議会の解散請求、長や議員等の解職請求(リコール)といった直接請求権が保証されています。
「主権者市民」は自然人である個人のことを指しますが、地方公共団体の執行権は市民から選ばれた首長が地方自治体を統括・代表し、また、事務を管理し執行します。  具体的には、予算案の策定や執行、条例の制定・改廃の提案及等の議案提出、更には一定の範囲で専決処分の権限が与えられています。
また、最近では試行錯誤の状態ではありますがマニフェストを通じて首長がどのように執行権を行使するか市民が選択し決めることができるようになってきました。更に当まちづくり本舗の活動では、マニフェストのPDCAサイクルを形成しそのすべてのプロセスに市民が直接関与するしくみをつくろうとしています。
では、このような制度的な保証や動きがある中で、今、何故自治基本条例が必要なのでしょうか?     これまで地方自治の原則は謳われていたものの、事実上「官治・集権」で三割自治と言われる状態が続きました。参考HP  しかし、90年のバブル経済の崩壊とともに高度経済成長の神話が崩れ、また東西冷戦の世界構造が変化し新たなガバナンスが求められるようになりました。  こうした中で、国と地方のこれまでの上下関係を対等・協力の関係に改め,地方自治の活性化を図ることを目的として2000年4月に地方分権一括法が施行されました。これを契機に分権改革は市民参加を重視した総合計画の策定や独自のローカルルール、自治基本条例策定の動きが活発になってきました。
一方で、2004年年度からの三位一体改革では、地方の財政的自立にはほど遠い結果になっています。また、鳩山前内閣では地域主権改革が「一丁目一番地の改革」と位置づけられましたが、具体的な取り組みはこれからという段階です。  現状の市民が直接関与するしくみについても、行政が主体となって実施するアンケートやパブリックコメント、市民会議などといった手法はありますが、実際上は形式的で帳面を消すためのものになりがちです。更に、複雑化する社会状況や少子高齢化をはじめとした課題に対応するために「新たな公共」を誰がどのように担うのかが課題となってきました。
そこで、自治基本条例は主権者たる市民が様々な方法で関与することを通じて、間接民主主義の限界や官僚的で非効率的なものを是正しより良い市政運営に資することを目的として制定されるものです。
別の言い方をすれば、自治基本条例(策定過程も含めて)を通じて住民自治の仕組みやその質を変え、ローカルガバナンスのイノベーションを促進することが最も大切な意義だといえるのではないでしょうか。
だからこそ、自治基本条例では市民が行政に関与するしくみやそれを保証する制度(情報公開等)を明記し、実際に機能させていく方法がしっかりと示されるべきだと思います。
そうしたことをイメージ図で示すとなると、どういうふうになるのかなぁ?   この件と、前回課題として掲げた「協働」については、もう少し考えてみたいと思います。
【追記】  マニフェストでは21年3月までに制定することになっていましたが、より良いものとするためとの理由?で期限が延びています。  だとすると、延期となっている説明責任を果たすためにも、策定スケジュールや進捗状況をしっかりと公開することが求められます。  またより良いものとするためには、広く市民に意見を求める工夫も必要ではないでしょうか。  具体的には、自治基本条例の専用サイト(コーナー)をつくって、議事の公開や解説、事例紹介、更には、市民とのコラボレーションシステムの構築や大和市のようなキャラバン隊やワークショップ実施など・・・。
(つづく)


 金融広報中央委員会ってご存知ですか?  実は「信託」という言葉の意味を知るために調べていて初めて知ったのですが、都道府県金融広報委員会、政府、日本銀行、地方公共団体、民間団体等と協力して、中立・公正な立場から、暮らしに身近な金融に関する幅広い広報活動を行っているところです。
この金融広報中央委員会のホームーページに「信託」の意味について説明されています。参考HPへ
信託とは、委託者が信託行為(例えば、信託契約、遺言)によってその信頼できる人(受託者)に対してお金や土地、建物などの財産を移転し、受託者は委託者が設定した信託目的に従って受益者のためにその財産(信託財産)の管理・処分などをする制度だそうです。
「信託」の意味を調べた理由は、7月15日付けの草津市広報に自治体基本条例の記事が掲載されていて、条例のイメージを示した図でこの言葉が出てきたからです。

先ほどの「信託」に関する説明と対比して考えると、委託者(=市民)が信頼できる受託者(=行政や議会)に対してお金や土地、建物などの財産(=税金や資産)を移転し、受託者(=行政や議会)は、委託者(=市民)が設定した信託目的に従って受益者(=市民など)のためにその財産を管理・処分するということを示していると思うのですが、どうも腑に落ちません。

国政の場合は、憲法前文で「国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する」と書かれていますので、同じような使われ方をしているのかもしれません。  しかし、地方自治の場合は憲法92条で「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める」と書いてあり、この「地方自治の本旨」とは「団体自治」と「住民自治」のふたつの原理を意味します。  (「団体自治」は、国から独立した法人格をもつ地域的統治団体がその地域社会の公的事務を自己の責任において処理することで、「住民自治」は、一定の地域社会の公的事務を住民みずからの意思に基づいて自主的に処理することです。)
特に「住民自治」という自治基本条例で最も大切な要素を、「信託」という言葉から連想することは容易ではありません。
「信託」は要するに「信用して託す」ことですので、「選挙で選んだらあとは任せる」というふうに理解されると困ります。また「常にチェックして確認し、口を出して修正を求める」ということをしていこうとすると、この言葉では限界がでてきます。(「信託」を監視・監督権まで含めて理解している場合は別ですが・・・)    しかも「ちゃんとやるからあとはまかせてね」という行政の思いがこめられていると邪推する人がいると、きっと本意ではないと思います。
また、「行政」は憲法でいう「国政」=国家の行う政治のことと対比されている言葉だと思いますが、別の角度から見ると行政とは自治権を行使する地方自治体という法人のことを指しています。  もし、地方自治体のことを指しているとすると、市民が直接選挙で選出しているのは法人としての自治体の執行権を持った首長と議員(議会)ですから、拡大解釈で行政機関の従業員である行政職員も含めて市民が直接信託しているというイメージとして理解されてしまうと、ちょっとおかしくなってしまう気がします。
他市の自治基本条例の中で「信託に基づく市政」が原則であることが明記されているものも多いので「信託」という言葉そのものを否定することはできませんが、たとえば「協働」という言葉が理解のされ方によって全く違ったものになってしまうのと同じようなパターンではないかと思います。参考HPへ
※次の機会に、「協働」について考えてみたいと思います。
以上、自治基本条例の議論を深めていくための問題提起とさせていただきます。(つづく)
草津市の自治基本条例に関する参考記事

  政権交代とは「民主主義制度が確立した先進国において、政権をもつ与党とそれをもたない野党の地位の交代」のことです。  このあたりまえのことが、日本では何故か数十年も起こりませんでした。  今から思うと、たぶん今の中国とかと同じ位の民主主義の成熟度だったのではないでしょうか?
ちなみに1993年に誕生した細川連立政権は、衆議院第一党にあったにも関わらず、野党の衆議院多数派工作によって非自民の7党が結集したことによって成立したことから、民意による政権交代とは少し違った意味を持っていたようです。    昨年の9月に民主党が政権与党となった際にはその年の新語・流行語大賞として「政権交代」が選ばれ鳩山由紀夫内閣総理大臣が受賞するなど、「これで成熟した民主主義に向けて政治が変わる」というような期待感をもって迎えられました。・・・・にもかかわらず、わずか10ヶ月後の選挙でこれほど惨敗することを予想できた人はいたでしょうか?    新聞各紙などで分析が進んでいますが、「政治と金」の問題については、選挙の少し前に鳩山さんと小沢さんが退陣されたことで争点にはならなかったように思います。  (もし、当時の体制が続いていたら、もっと大敗していたかも知れません。)
では、消費税増税が争点になったのでしょうか?
この点に関しては世論調査の結果を見ても、今の財政赤字や社会保障費増大、またギリシャの事例もあって、これ以上子や孫にツケを回すわけにはいかないという感覚を持った人の方が圧倒的に多い現状を見ると、消費税増税の言及したことが原因とするのもなんだか不自然で腑に落ちません。
一方で仕分け人として超有名になった民主党の蓮舫議員が171万票という史上空前の得票で当選し、また大阪選挙区の尾立議員も2人目候補として擁立されたタレント候補の出現によって自ら「大変苦しい選挙戦」としていましたが、仕分け人としての功績や訴えが評価され当選されました。  また、民主党や自民党が減らした票が脱官僚や徹底した行財政改革を訴えるみんなの党に流れた状況を見ると、こうした取り組みには高い評価が与えられていることは間違いありません。
更に、政党を問わず業界や労働組合などの組織票をバックにしていた候補者は票を減らしていることから、相互依存と利益分配の政治は終焉を迎えつつあると考えられます。
これらを総合的に考え合わせると、民主党は国の財政を健全化させるために「あれか、これか」を公開した場で問い、その合意形成を図る取り組みは評価が高かったけれども、真正面から日本が今どのような状況になっていて今後、どのようにしていかなければならないかという明確なメッセージが届けられず、したがって国民の共感が得られず、また政権に対する満足度が低かったことから政権をこのままの状態でまかせても良いという信頼を得ることができなかったことが惨敗の原因だったのではないでしょうか。
今後、ねじれ国会をどう乗り切るのか非常に難しい選択が迫られると思います。  しかし、これを議員の数や打算ではなく、日本の現状(危機的な財政状況、少子高齢化および社会保障費の増大、国際的な経済状況など)において、今なすべき事をそれぞれの政党が全力で取り組むこと、またこの競争や協働の中で信頼や評価を勝ち取り、国民の共感を得て誰もが腑に落ちる政策を実現することによって新たな展望を見出してほしいと思います。

 今日は、第18回自治体基本条例検討委員会の傍聴をさせていただきました。
実は前回も参加しましたが、当初は「いづらいんじゃないかなぁ~」と心配していました。  でも、居心地は案外いいです。  冷静な目で客観的に議論を見つめることができるからです。
当然かも知れませんが、傍聴人は議論に関わることはできません。  また、資料の閲覧はできますが持ち帰りは禁じられていて、賛成や反対の意志を表示すると、退場を命じられる場合もあるようです。  議長の裁量で時間があれば発言を認められる場合もあります。もちろん、リアルタイムに意見を述べることはできませんが、全体の感想や問題提起はできます。しかし、傍聴人の立場としては内容に踏み込んだ発言は「遠慮すべきかなぁ~」という感じになってしまいます。
さて、肝心の内容については次のとおりです。
まず、前々回は「市民参加」について、参画とか協働とか言い方は色々あって、参加から参画、参画から協働という発展レベルで論じられることもありますが、広義でとらえて「市民参加」という言葉を使うことや、前回は情報の共有に関して、「情報公開」や「知る権利」等の議論が交わされたことが説明されました。
その上で、今回は全体の項目立てやその順序、更には総合計画との関係等について議論されました。
自治体基本条例の骨子案は、すでにホームページにも公開されており、いよいよ最終の仕上げに入りつつあるのかな、という感じです。

ところで、項目立ての議論の中で、少し気になることがありました。  感覚やイメージの問題として「どれを先に書くのか」というような意見が交わされていました。  しかし、基本条例は制定の趣旨を明確にして、その趣旨を実現するための基本となる重要事項を先ず示した上で、個別的な項目を合理的に列挙していくべきであると思います。
たとえば、配布されていた資料の中にニセコ町のまちづくり基本条例の全体構成図がありました。http://www.town.niseko.hokkaido.jp/kihon/
それを見ると、当たり前のことかも知れませんが、基本条例の目的については明確に「自治を実現すること」と書かれています。  このことが基本となって、自治の実現のために重要な「情報共有」と「住民参加」が上位に位置づけられているのです。
これまでの議論で、その当たり前の議論が見えにくいように感じました。  何故、自治(体)基本条例を策定するのか、という基本的な立脚点です。
ちなみに日本国憲法では、前文にこのことが次のように示されています。
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものてあつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
ここでは、主権が国民に在ることを宣言し、その行使を選挙によって選ばれた代表を通じて行うというようなことが書かれています。
自治体の憲法が自治(体)基本条例とするならば、まずこうした基本をしっかり論議し位置づけることが必要なのではないでしょうか。
自治の主体(権)者は市民であり、二元代表制のもとで、一方で首長を選出してそこに予算編成権や各種執行権を与えると共に、一方で議員を選出し、議会との関係で合議制を形成するというのが基本ベースにあるはずです。また、このことから首長や議員にどのような権限を委譲し、またどのような義務(例えば議会での議論を市民に分かりやすく伝えることなど)を課すのかを示すことも必要だと思います。    一方で、国政とは違って市民の直接関与を想定してこの二元代表制を補完し自治実現を図るという趣旨から考えると、直接関与のための情報(情報公開や知る権利等)や意志決定過程・執行段階での市民の直接参加、更には住民投票などといったことが住民自治を保障するための基本条件とし上位に位置づけられるべきではないでしょうか。
個別的事項について更に踏み込んで言えば、「情報公開」や「知る権利」といったことに止まらず、公開されたことに対して意見を述べる権利、その意見に対して回答を求める権利、あるいは別の施策を策定し対峙させることができるいわゆる「アドボカシー」に関すること、更には市民が公共的手段や場所を使って情報を発信することができる「パブリックアクセス権」などについても、是非とも議論いただければと思いました。
また、行政をチェックし機能させるためのしくみとしての市民オンブズマン制度や公益通報(内部告発)制度の確立や市民会議等の設置義務なども必要ではないでしょうか。
こうしたことについては、次の機会に詳しく書きたいと思います。 (つづく)

 昨年9月の政権交代によって、「コンクリートから人へ」という「あれか、これか」を問い、何をやめるのかを明確にする“凌ぎの時代”の政治スローガンと、「国民の生活が第一」という分配政治のスローガンが共存し、政治理念も水と油の関係にある政党による連立政権がスタートしました。
あれから10ヶ月が経過し、菅直人代表が6月17日に発表した「民主党の政権政策Manifesto2010」では、「コンクリートから人へ」の文字は消えて「国民の生活が第一」スローガンだけが残されています。
無駄を徹底して無くすことによって財政再建を目指す取り組みが道半ばで、また子ども手当てや高速道路無料化の財源問題が課題とされ、一方で消費税増税が持ち出された状況下で参議院選挙が行われました。
そして、その結果は?
今、TV各局が報道番組で開票状況を伝えているところですが、国民の審判は厳しいものになりそうです。
これを踏まえて、きっと連立政権が組まれると思いますが、どういう主張をしている政党と組んで今後の政治のイノベーションに向けて再スタートするのかを注視していきたいと思います。

 今日は知事選挙です。  もう投票はお済みですか?
各候補者のマニフェストについては、是非ご一読ください。  http://kadayukiko.net/  http://www.ueno-k.net/  http://akaruishiganokai.net/plan.html
ところで、マニフェストの中には施策全体を網羅しているものや、特に重点的に実施すべき施策だけをピックアップしたものなど、さまざまなタイプがあります。  また、施策の中で「これは是非とも実現してほしい!」という項目もあれば、「分からないけど、間違いではなさそうだ」というもの、さらには「ちょっと違和感を感じる」という項目などが見つかる場合もあると思います。
こうした場合は、自分にとって是非とも実現してもらいたい施策を提示している候補者を選ぶのか、平均点数を頭の中で計算して高い点数のマニフェストを選ぶのか、あるいは基本理念やもっとも本質的な課題に切り込んでいる候補者を選ぶのか・・・みなさんは、どういう判断をされるのでしょうか?
いづれにしても、選挙による投票ですべてを全権委任し「信用するので、どうなってもあとは何も口を出さない」ということにはなりません。これは、自分が選択した候補者が当選しても、そうでは無い人が当選しても同じことだと思います。
マニフェストを検証する立場からすると、ローカル・マニフェストには地域や行政の課題、その解決の方向性が正しく反映されていること、また重要度の順に施策が提示され、かつその施策を実現するための具体的数値目標や期限・財源・工程表が示されていることが望ましいということは間違いありません。


 最近、いろいろなマニフェストを見ていて気がついたことがあります。
それは、候補者がマニフェストで「あれか、これか」を問い、やるべきことや逆にやめるべきことを確実に実行しようとする意思がはっきりしている場合は、基本的な目標や理念、実現する期限、そのための財源、更には実行計画となる工程表が明記されているということです。更に、市民自治を基本として行政の現状を変えようとする意志を持った候補者は、徹底した情報公開や市民によるマニフェストの検証、PDCAサイクルといったことを書き込んでいます。
逆に言うと、マニフェストに「あれも、これも」というお手盛りで良いことづくめで書かれている場合は、その実現や検証のための具体的施策や実施期限などの具体的数値が示されておらず、改革に向けての候補者の志が感じられないものが多いのではないでしょうか。
このことを踏まえて、ローカルマニフェストの検証に際しては、まず対象となるものがどういう性格のマニフェストなのかを見極めることも重要な気がします。
また検証の際に判断が難しいだろうと思うことは、形式的・表面的には実行されてはいるけれども、実質的な効果が表れていないものや、熱意や努力が不足している場合のマニフェストの評価です。  この場合、形式上は帳面が消されていても本来の目的が達成されていないのであれば、それに費やした経費や人的労力(労働賃金)が無駄であることから考えると厳しい評価にならざるを得ません。
次に、着実に実行され効果はあるようだけれども、市民への情報提供が十分でなかったり説明責任が果たされていない場合については、本来マニフェストは政治や行政の領域において品質管理や経営管理を徹底するためにPDCAサイクルを確立すると共に、これによって市民自治や国民主権に基づく健全な民主主義を形成しようとするものであることから考えると、たとえそれが効果をあげたとしても行政主導(トップダウン)方式であり、市民の評価においてはマイナス要因となるでしょう。
マニフェストに何らかの不備があり実行されると地域にとってマイナスとなるようなものは、実行しない旨をきちんと説明し断念した方が良いと認められる場合は、その決断や説明責任の様子をしっかり検証すべきです。  逆に、重要な施策が抜け落ちているマニフェストを検証する場合、マニフェストには直接的に書いていなくとも、趣旨や理念上の修正ではなく積極的に実施すべきことがあれば、その実行を求めることも必要でしょうし、またそのこをと市民に説明し説得責任を果たした上で実行することをに対しては歓迎すべきではないかと思います。


 私どもローカル・マニフェスト検証会実行委員会(事務局:社団法人草津青年会議所)では、草津市長のマニフェストを市民で検証・評価する大会を実施するための準備を進めております。  そこで、去る5月21日に第1回実行委員会を開催し各地での事例を参考としながら市民アンケートの実施方法やマニフェストの評価の基準等について検討いたしました。  今回、下記のとおり第2回目の実行委員会を開催いたしますので、是非ともご参加いただきますようご案内申し上げます。
-記-
開催日時:2010年6月25日(金)18時30分~ 開催場所:草津市立まちづくりセンター 2階 202会議室 内  容: 1.市民によるマニフェストの評価・検証シートの内容について 2.評価・検証大会に向けての市民への呼びかけについて 3.今後の日程について
【連絡先】  まちづくり本舗 ohmi@kaikaku21.com

かだ由紀子マニフェスト“もったいない!!”を活かす滋賀県政を! から もったいないプラス+へ
6月12日に公開された嘉田知事の新しいマニフェストは、「もったいないプラス+」と題されています。    内容は、「住み心地日本一」を目指して次の「プラス」が提案されています。
 雇用・経済には  力強さをプラス+   子ども・若者・高齢者・障がい者には 楽しさをプラス+   住まい・生活環境には 安らぎをプラス+   琵琶湖・地球環境には 美しさをプラス+   文化・芸術・歴史には 誇りをプラス+    また、未来成長戦略として3つのニューディール(=アメリカ合衆国大統領フランクリン・ルーズベルトが世界恐慌を克服するために行った一連の経済政策)が示されています。

 グリーンニューディール →自然の力を活かす   ヒューマンニューディール→人の力を活かす   ふるさとニューディール →地と知と力を活かす
更に、政策を「人生版」「地域社会版」「県政経営版」に分かりやすく分類して、その体系ごとに150項目の政策提言を行っています。
このマニフェストの特徴は、2期目ということもあって4年間の成果と課題として前回の選挙公約として掲げたマニフェストの事後評価を掲載した上で、新しいマニフェストは、県内各地での茶話会での対話によって県民とともにつくっているという点です。   また、今回は第1版として出されていますが、選挙の公示前には更にバージョンアップされるそうです。
ところで、この新マニフェストと、4年目の自己評価 更には滋賀県のホームページで公開されている財政事情 平成22年5月『滋賀県基本構想~未来を拓く共生社会へ~』の実現に向けて  等を見ていて、何点か気になることがありました。
一つ目は、全般的にマニフェストの基本的要素である事後評価が可能となるように期限・予算・方法等が明確に示されていないという点です。    参考までに言論NPOの評価では次のような基準が決められています。
形式要件 :明確で測定可能な公約になっているか判断する  ①その課題になぜ取り組みたいのかの理念や目的が書かれている 10点 ②個別の政策に明確な目標設定がある 10点  ③達成時期が明記されている 8点  ④財源の裏付けが記述されている 7点  ⑤目標実現のための工程や政策手段が具体的に書かれている 5点     合計 40点
二つ目は、4年間の事後評価でC(目標達成に向けて取り組んでいるが、課題等もあり、引き続き努力する必要があるもの)が最も多い財政再建について、あまり論及されていないように感じました。    「もったいない」という意味が、単に財政を切り詰めるというだけではなく、「本来の価値がうまく発揮されず、損なわれている状態のこと」であるのは理解できます。しかし、「あれもこれも」実現する、あるいは逆に削減すのでのでは無く「あれかこれか」の選択を問うのがローカルマニフェストを通じた自治分権のアプローチだとするならば、4年間の経験から行政の無駄や本来行政がやるべきでない事業があるのか無いのかを示し、また、あるとするなら何をどのように削減していくのかを具体的に施策として問うべきではないでしょうか。
三つ目は、私たち自身の課題ではありますが、自己評価だけでなく第三者機関や市民による検証についてもなされるべきであったように思います。
更に、欲を言えば新しいマニフェストが茶話会での論議を通じて形成されているという形式を取られてはいますが、更なる市民参画とその後の検証、Act(処置・改善)といったPDCAサイクルを形成していくとったことについて実態化し明記されることが望まれるのではないでしょうか。


 6月12日、草津市立サンサンホールで社団法人日本青年会議所近畿地区滋賀ブロック協議会主催の公開討論会が開催されました。  前半は、参議院選挙に関連するもので後半は知事選の候補予定者の方々が出席されました。
知事選候補予定者3名からは、琵琶湖ルネッサンス(上野賢一郎氏)、滋賀の再生プラン(丸岡英明氏)、もったいないプラス+(嘉田由紀子さん)というマニフェストが配布されました。


 橋川市政となり2年を経過した本年度、市民目線から「もっと草津」宣言(橋川渉マニフェスト)を検証する事でマニフェストサイクルを確立し、より一層の市民自治を促進していきたいと考えています。  そこで、NPOや各種諸団体をはじめ、市民の皆様と共に実行委員会形式でローカル・マニフェスト市民検証会を実施いたしたく、ご参加・ご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
- 記 -
【実行委員会の目的】  ローカル・マニフェスト市民検証会の実施(8月下旬~9月頃の予定)
【第1回実行委員会の開催について】   開催日時:2010年5月21日(金)18時30分~   開催場所:草津市立まちづくりセンター 2階 202会議室   内  容:①市民検証会の趣旨説明 ②今後の進め方について ③その他
【連絡先】   まちづくり本舗 yamamoto@kaikaku21.com

 8月21日 橋川市政ローカルマニフェスト検証会を開催しました。

 6月12日に草津市立まちづくりセンターにて草津青年会議所の公開例会が開催されました。  当まちづくり本舗は、この例会の講師として招かれマニフェスト勉強会&ワークショップの進行役をさせていただきました。  当日の説明用に作成したプレゼン資料を公開しましたので、是非ご覧ください。  (解説無しだと分かりにくいと思いますが・・・)
プレゼン資料へ


 今年の6月~8月に、草津市青年会議所と当委員会が共催して橋川マニフェスト検証大会を実施することが決まりました。  そこで、しばらくの間休止していた当ブログを再開したいと思います。

 明日開催する橋川マニフェスト検証の意見交換会の資料として、チェックシートを作成しました。  この一覧表と照らし合わせながら、進捗状況等について確認していきたいと思います。
橋川マニフェストチェックシート
なお、橋川マニフェストには冒頭で「橋川わたるは、強い気持ちで約束を守ります。市民のみなさまも、このマニフェストがしっかりと守られているか、私の仕事ぶりに目を光らせていただき、少しでも守られていないと感じたら、どうぞ厳しいご意見をお聞かせください」と記述されています。
マニフェストは、任期が終了する4年後に「守られていなかった」と分かってもあまり意味がありません。  日常的に進捗状況を監視・検証し、もし守られていなければ厳しい意見を申し上げるという姿勢で臨むと共に、その状況をできるだけ多くの方々にお伝えしていきたいと思います。
( ↓ 以下、橋川マニフェストより )

 今年の2月24日に当選された橋川渉市長のマニフェスには「当選後3ヶ月以内にマニフェスト実現のロードマップをつくる」と示されています。 橋川マニフェスト
そこで、現段階でのロードマップの策定状況を橋川市長ご本人から報告いただき、進捗状況を公開することによりマニフェストサイクルの定着を図ることを目的として、第一回目の意見交換会を下記のとおり開催いたします。
1.主催 チーム草津(マニフェスト検証プロジェクト)
2.日時 7月23日(水) 19時~21時
3.場所 草津公民館 1階和室
4.参加申し込み
参加を希望される方は、事前に kaikaku21@goo.jp 又は FAX 077-562-1153 まで
《検証内容(案)》
1.ロードマップは約束どおり作成されたか? 2.まだ作成途中だとするならば、何時ごろ公表されるのか? 3.遅延している場合、その理由およびその背景は? 4.具体的に決まっている項目は? 議論の分かれている項目は? 5.作成途中のロードマップはマニフェストの趣旨や目的に合致しているか? 6.それは具体的かつ実現可能な内容か? 7.実行に向けて、何時から着手する予定か? 8.橋川市長誕生後、草津市政はどのように変わったか? 9.職員の意識や市民との関係に変化はあったか? 10.マニフェスト実現のために、当会に求めるものは? 11.マニフェスト実現や政策立案・実施の過程において   市民との協働をどのように進めようとしているのか? 12.マニフェストを実現する上で、障害となっているものは? 13.マニフェストに関する今後の日程は? 14.その他


【主 催】 社団法人草津青年会議所、まちづくり本舗
【日 時】 2008年 2月 13日(水) 19:00~20:30
【場 所】 草津アミカホール 草津市3丁目13番30号(市役所北隣)       電話:077-561-2345       車で来られる方は草津市役所駐車場をご利用下さい。
【定 員】 300名
【参加費】 無料 (事前の申し込みは必要ありません)
草津アミカホール 朝日新聞の記事 毎日新聞の記事 産経新聞の記事 読売新聞の記事


 草津市議会議員で市民派の宇野房子さんがホームページを開設されました。  まだ、暫定公開の段階ですが、後援会だよりに掲載されているマニフェストも 見ることができます。
http://www.unofusako.net/

 このブログを再開したついで?に、旧「嘉田マニフェストを検証・実践し、完全実施を求める会」のHPも、そろそろ更新していこうと思います。    会の名称については、3月より「嘉田マニフェストを検証・実践する会」に改めました。
「完全実施を求める」という状況には無いと判断したからです。
詳しくは、後日嘉田マニフェストを検証・実践する会のHPへ記載します。


 今日(12/8)の京都新聞「県民の利益・かいつぶり」と題したコラムは、次の書き出しで始まっています。    「栗東市の新幹線新駅ってまだ凍結していないの」。先日、京都市内に住む友人にそう言われた。    「かだ由紀子マニフェスト」では、緊急提言(3つの事業凍結)の中で次のように明記されています。
新幹線栗東新駅について  240億円(県負担額は120億円)ものお金をかけて、ほんとうに新幹線新駅は必要なのでしょうか。いったん立ち止まり、かだ由紀子が知事在任中は、凍結します。    「知事在任中は、凍結します」とはどういう意味なのか・・・そんなに幅広い解釈があるとはと思えません。  知事選直後、嘉田知事は「新幹線新駅は不要。県民が判断した」「凍結は政治生命」との立場を示していましたが、どうもあやしい雰囲気になってきているように思います。
更に、ダム建設の問題についても、なんだか微妙な感じになってきました。  マニフェストでは「丹生、大戸川、永源寺第2ダムの県支出金合計200億円以上が、県営の芹谷ダム、北川第一、第二ダム建設についても今後数百億円以上の県支出金が必要です。この6つのダム建設計画について凍結します。」と明記しています。  しかし、6日の定例県議会で芹谷ダムについて「治水対策としてダムによる方向が一定程度有効であると認識している」と発言し、建設容認の立場に変わっています。    また知事は定例県議会で、マニフェストについて「マニフェストサイクルにより事後検証されるもの」としていますが、マニフェストは「気づきの道具である」という側面にこそ重要性があり、事後の評価というのではなく実行過程への関与こそが大切だと思います。・・・約束を果たされなかった場合、その結果を検証しても既に手遅れであり、あまり意味を持ちませんので。    知事の発言・動向を注視していきたいと思います。  なお、滋賀県議会中継(録画)は、次のサイトで見ることができます。  http://www.shiga-kengikai.jp/12teireikai.html


 「嘉田マニフェストを検証・実践し、完全実施を求める会」の第一回意見交換会を11月23日開催いたしました。
当日のプレゼン資料(討議用)は、以下方法で閲覧することができますのでご参照ください。
(討議資料の閲覧方法)  ▲討議資料▲をクリックすると画面右下に「スライドショー」と書いたロゴが表示されますので、そこをクリックしてください。  その後、画面上で左クリックすると、順番に画像が表示されていきます。(パソコンにパワーポイントがインストールされている場合に限ります。)  ちなみに、右クリックするとメニューが出てきます。

「嘉田マニフェストを検証・実践し、完全実施を求める会」のご案内 【転載歓迎】
当まちづくり本舗(地域通貨おうみ委員会)では、去る5月21日に「滋賀県政について語り合おう!~地方分権・財政危機状況におけるローカルマニフェスト」と題したミニ公開討論会を開催し、知事選候補者の方々(國松前知事は公務のため欠席)とローカルマニフェスト等について意見交換をいたしました。  その後、6月4日に野洲文化ホールで開催された「滋賀県知事選挙立候補予定者マニフェスト型公開討論会」(滋賀県知事選挙立候補予定者マニフェスト型公開討論会実行委員会主催)で「くにまつマニフェスト」と「かだ由紀子マニフェスト」が配布され、2003年の統一地方選挙とその後の総選挙から始まったマニフェスト型選挙がようやく滋賀でも展開される運びとなりました。  そして、この結果嘉田氏が当選され「もったいない」をキーワードに新幹線新駅凍結や最終処分場・ダム建設問題、財政・環境・教育・雇用・地域経営問題などローカルマニフェストを軸として議会や市・関連団体との協議が行われているところです。    こうした中で、私達は嘉田知事誕生を願い支えて来た方々と共に、ローカル・マニフェストによって自治体のリーダーを選び、評価・検証するマニフェストサイクルを形成すると同時に自らも実践し参画することを基本コンセプトに掲げた「嘉田マニフェストを検証・実践し、完全実施を求める会」を結成いたしました。     つきましては、下記のとおり第1回意見交換会を開催いたしますので、ご案内申し上げます。    なお、当会のホームページ(http://www.kaikaku21.com/kada/)では、嘉田マニフェストに関する意見交換の場「嘉田マニフェスト討論会場」を設けていますので、ご活用いただきますよう併せてご案内申し上げます。             - 記 ー     嘉田マニフェストを検証・実践し、完全実施を求める会    第1回 意見交換会
日 時:11月23日(勤労感謝の日)    時 間:14時~16時30分   場 所:淡海陶芸研究所(草津市岡本町686-1)   参加費:1,000円     ※ なお参加対象者は、当会への入会希望者のみとします。    参加ご希望の方は、必ず事前にご連絡ください。


 「嘉田マニフェストを検証・実践し、完全実施を求める会」のHPに嘉田マニフェスト討論会場を設置し、試験運用を開始しました。    このコーナーには、許可を得て嘉田マニフェストを全文転載させていただきました。  また、閲覧するだけでなくマニフェストに対する意見や、実際に自分たちで取り組んでいる活動などを各テーマごとに投稿(今のところ試験運用ですが)できるようになっていますので、よろしければお試しください。      ▲嘉田マニフェストを検証・実践し、完全実施を求める会▲
また、随分停滞してしまいましたが、▲草津市版マニフェストを検証コーナー▲ も再起動できればと思いますのでご協力をお願いします。


世の中、無責任連鎖が続いています。先ほどまで、大阪で開催されたある会合に参加していましたが、その議論の中で「田中角栄時代から世の中全体が『依存と分配』を軸として動いてしまっている」ことがその要因としてあげられていました。そういうことなんだろうなぁ。
また、三位一体改革という言葉を最近良く聞きます。三位一体の意味を調べると、次のように書かれています。
三位一体とは、キリスト教の奥義の一つで、神には、父・子・聖霊という異なった三つの位格があるが、神は実体としては同一であるという考え   「政治の不作為・行政の先送り・国民の白紙委任」はきっと三位一体ということばがピッタリ当てはまると思います。
行政 ・ 官僚(役人)は公僕なので、そこに「問題の先送り体質」「問題解決能力の無さ」「当事者意識の欠如」などと言った言葉を並べてみても、あまり意味が無いのかも・・・。それにしても、もう少しマシにならないと。

 今月12日に「嘉田マニフェストを検証・実践し、完全実施を求める会」が結成され、当まちづくり本舗が事務局団体として参加しています。
この会のHPは下記アドレスにて試験運用中です。
▲嘉田マニフェストを検証・実践し、完全実施を求める会▲

新人の嘉田氏が当選 滋賀、現職3選果たせず (共同通信) – goo ニュース
▲かだ由紀子後援会HP▲
予想外ではありますが、真っ当な結果になりました。  滋賀県初の女性知事、そして滋賀県政初のマニフェスト型自治体運営が今後どのように展開されるのか、県民の責務として注視していきたいと思います。

 最近、「もったいない」という言葉を良く耳にします。 ▲語源由来辞典 ▲
環境保護活動家のワンガリ・マータイさんが、2005年に京都議定書関連行事のため日本を訪問したときにこの言葉を知り、日本人が昔持っていた「もったいない」の考え方こそ、環境問題を考えるにふさわしい精神として感銘し各地で紹介されているんだそうです。    滋賀県で「もったない」の代表は、誓願駅として栗東に建設予定の新幹線新駅かな。
新幹線新駅は、240億円をJR東海に寄付するという形で建設されるそうです。  ただ(無料)で作ってくれるのなら、無いより有る方がなんとなく得したような感じになりますが、全額寄付(これ税金で公金なんですけど)してまで設置してもらう必要があるのか、疑問に感じます。
また、ダム問題についても「費用」対「効果」対「環境破壊」などから考えると、別の方法に切り替えていくというのが時代の流れのような気がしますが、どうなんでしょうか。
国政で「もったいない」と感じたのは、永田メール問題。 「4点セット」という形で小泉改革の光と陰・・・「罪」の部分が社会現状として如実に表れ、2大政党=政権交代の流れを作る絶好のチャンスだったのに、本質問題とは関係の無いで台無しにしなってしまいました。  ▲21世紀臨調 幹事会声明 政党は政治をどう守るのか~マニフェスト「以前」問題を問う~▲
民主党と言えば、岡田マニフェストというのは選挙に負けたからすべてチャラになったんでしょうか?▲民主党:総合・公約▲
そうだとしたら「もったいない」けど、多分これから更にバージョンアップされていくんでしょうね、きっと。・・・というか、そうであってほしい。
ところで、岡田マニフェストには「ムダづかい一掃!」「コンクリートからヒト、ヒト、ヒトへ」「公共事業のムダを止め、生活・環境重視の経済政策に転換します。」といった言葉が並んでいますが、滋賀県には別の世界が拡がっているようです。
同じ政党でも、基本的政策や価値観が国政と地方とでは違うとなると、私たちの選択は本当に難しい。   ▲朝日新聞:政党推薦固まる/決断の裏、揺れた民主▲

 2005年の7月31日に行われた仙台市長選は、ローカル・マニフェスト推進ネットワーク(代表・北川正恭早大大学院教授)がマニフェスト型選挙のモデルケースとして取り組んだとされています。  その様子が、▲京河北新報社▲のHPに詳しく報道されています。
例えば、 ▲マニフェスト 公選法の怪 仙台市長選各陣営混乱▲と題された記事には、公選法とマニフェストの関係について興味深い指摘をしています。    あと、民主党滋賀県連が今度の知事選で現職を推薦することを決定していますが、その際に結んだ政策協定が滋賀県議会議員の▲出原いつみ氏▲のHPに掲載されています。


 2003年の統一地方選挙とその後の総選挙から始まったマニフェスト型選挙の波がようやく滋賀にも打ち寄せました。
4日に開催された「滋賀県知事選挙立候補予定者マニフェスト型公開討論会」では、討論会資料としてローカルマニフェストが配布されました。

「くにまつマニフェスト」(発行:國松善次後援会)と「かだ由紀子マニフェスト」(発行:かだ由紀子後援会)は、いずれもA4版で25~29ページに渡る本格的な仕立てで、総選挙での政党マニフェストを彷彿させるものです。
「くにまつマニフェスト」の表紙には「あなたとつくる将来有望社会」と記され、7つの政策、3つのプロジェクト、5つの行政財政改革と50の施策、マニフェストを実現するために、という項目に分類されています。
▲「かだ由紀子マニフェスト」▲は、表紙に「”もったいない!!”を活かす滋賀県政を!」と記し、滋賀県の未来をつくる3つの”もったいない”、かだ由紀子の緊急提言、滋賀県の未来をつくる5つの基本目標、かだ由紀子からの7つの政策提案、という項目に分類され、それぞれ目標-方法-期限-予算-財源が示されています。
選挙に際してマニフェストが示されることによって、基本的な考え方や具体的な政策およびその実現性を評価し判断することが可能になると同時に、選挙後にはその政策実現を民意として後押し、また在任中はマニフェストに基づき政策を行い、評価・検証し政治責任を明らかにしていくことが可能となります。    知事選では県民がどちらのマニフェストと契約するのか、本当に興味深いところです。
(公開討論会新聞記事)
▲朝日新聞 知事選/3氏公開討論7テーマ議論▲
▲毎日新聞 選挙:知事選 立候補表明3氏招き、政権公約示し討論会--野洲文化ホール /滋賀▲
▲読売新聞 7/2なつの陣知事選 新駅問題で応酬▲
▲京都新聞 新幹線新駅計画など3氏が見解 滋賀県知事選前に公開討論 ▲
(参考) ▲選挙情報サイトElection▲

 「公開討論会」を通じて政治家を選ぶというルールを日本に根づかせる実践運動とネットワーク創りを行っている▲リンカーン・フォーラム▲では、マニフェスト型公開討論マニュアルを公開しています。  その中のマニフェストの配布という項で、「べからず集」である公職選挙法の条文をクリアし、合法的にローカル・マニフェストを配布できる方法が示されています。
以下、▲マニフェストの配布▲を要約して紹介します。
まず告示前の公開討論会などでの配布方法としては、複数の候補予定者のマニフェストと一緒にしれば配布することができます。その場合、選挙名を掲載することはできませんが、自治体名の掲載は可能であり、候補予定者への投票依頼を掲載することは違法になりますが氏名を掲載することは問題ないようです。
また、告示後に配布する場合には候補者の氏名やそれを類推できものを掲載することはできませんが、候補者の確認団体(後援会などや「・・・県政をつくる会」など)の名称は掲載できます。ただし、公営施設で配布する場合は必ず合同個人演説会の企画・運営団体が配布するようにしなければなりません。    これらの方法による配布が合法的である根拠は、公選法で規制対象となっている「文書図面」とは、あくまでも選挙運動に使用するという目的で出すものであって、選挙運動性がなく、純粋に政治活動が目的のローカル・マニフェストは規制の対象外であるからです。  現に2003年に神奈川県で松沢成文氏、2005年に千葉県で堂本暁子氏が作成したローカル・マニュフェストに対しては、選挙運動性が無いため配布可能だとの判断が下されています。  ちなみに、選挙運動というのは「選挙を特定している」「候補者を特定している」「投票を依頼している」ということが要件となり、一般的な「政治活動」とは区別されています。
本来なら、選挙に対する関心を高め、正しい選択を誘発するためにはローカル・マニフェストの配布を義務化しても良い位のものだと思いますが、現状では選挙運動と切り離して配布するという、なんだか中途半端な感じになってしまいます。
なお、以上の内容や配布に際しては事前に選挙管理委員会に確認しておくことをお勧めしますが、選管では法的な一般解釈を示すだけであり明確な回答を得ることは期待できません。  何故なら、実際は警察や検察、最終的には裁判所が決めることだからです。
今国会では、重要法案が次々と可決・成立していますが、公職選挙法こそ早急に見直すべきだと思います。


 滋賀県知事選が6月15日に告示されます。
これに先駆けて、6月4日(日)13時30分より野洲文化ホールにて「滋賀県知事選挙立候補予定者マニフェスト型公開討論会」が開催されるそうなのでメンバー何人かで参加させていただきたいと考えています。
ところで、世の中にはおかしな法律が沢山ありますが、なかでも公職選挙法というのは有権者の全うな政治活動や選択を阻害していると思いませんか?
特に、ローカルマニュフェストは候補者の主張や実現のための具体的なプロセスを示し、その後の検証を行う上で非常に大切なものであり、地方の時代を迎えているなかで不可欠なものとなりつつありますが、どういう訳だか自由に配布することができません。(公選法第142条の2)
これでは、何のための選挙だか分かりません。  また、より詳細の政策情報を伝え、また費用の掛からない選挙にするためにもインターネットの活用も積極的に推進すべきです。  さらに、外国では日本のように選挙運動期間を設けている国は無いそうですが、この点についても再整理していく必要があるのではないでしょうか。
▲毎日フォーラム▲ ▲公選法に限界/ネットで開かれた選挙を▲    この問題に関連して、去る5月29日、21世紀臨調は自民、民主、公明の国会議員有志との合同で「国民主役の新しい公職選挙法を考える会」を発足させました。

国民主役の新しい公職選挙法を考える会
「国民主役の新しい公職選挙法を考える会」発足趣意書
選挙は国民が主権者としての権利と責任を行使する最大の機会である。近年一連の政治改革の流れの中で、国、地方を問わずマニフェスト選挙が定着し、政策本位の選挙の実現を求める国民の声はかつてないほどの高まりを見せている。 しかしながら、1950 年(昭和25 年)に制定された現行公職選挙法はその法制度の発想や構造からして今日の経済社会の変化や国民意識の成熟、政党政治の進歩を十分反映することができず、いまや制度疲労の様相を呈し、部分的な手直しの繰り返しでは対応できない段階を迎えている。  このような認識を踏まえ、下記視点から現行公職選挙法体系そのものを根本から再検討し、国民の視点から新しい法制度をゼロベースで構想するための研究会を、21世紀臨調と超党派の国会議員とによる合同組織として立ち上げるものである。
1. 主権者である国民の視点に立って、国民にも、政治家にも分かりにくく複雑な現行公職選挙法を平易かつ分かりやすくする観点から全面的に再検討する。
2. 選挙の公正を担保する観点から管理する側の発想に過度に傾斜し「べからず法」と言われて久しい現行法の実態を見直し、国民にとっても、政党、政治家にとっても、「政策本位の選挙」をさらに実現していくために必要な条件を整備する。
3. 政党の政治活動と選挙活動の関係を整理し、政党の日常活動こそが本来的な意味での選挙活動であるとの観点から、形式化した「選挙運動期間」のあり方を再検討し、政党の日常的な政治活動が国政選挙における国民の政権選択、政策選択と結びつくような新しい法制度を検討する。
4. 議院内閣制を採用する国政、大統領制を採用する自治体とでは政治システムが異なること等を踏まえ、国政選挙と地方選挙を一本の法律で束ねてきた現行法のあり方を再検討し、これからの地方分権時代にあった新しい法制度のあり方を検討する。
5. IT 化や少子・高齢化など経済社会の変化を踏まえ、新しい時代にあった国民の政治参加のあり方や政党や政治家の活動と国民とをつなぐ新しいコミュニケーション手段のあり方を検討し、その内容を法制度に反映させる(選挙権年齢、投票方法等を含む)。
6. 以上の諸点を踏まえつつ、公職選挙法のみならず、政治資金規正法等を含め政党や政治家の活動に関わる関係法制度全般をトータルに見直し、政党、政治家の政治活動や国民の政治参加のあり方全体を視野に入れつつ、国民と政治とを結びつける法制度のあるべき姿を検討し、再設計する。

また、ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟でも、以下のような提言を出しています。

ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟
ローカル・マニフェスト型選挙推進のための公職選挙法改正に関する提言      ローカル・マニフェスト型政治の確立のため、ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟は、自ら率先し、公職選挙法改正運動、情報公開制度の創設、任期中の中間評価に取り組んできた。しかしながら、公職選挙法の改正は、いまだ不十分であり、マニフェスト型政治実現には多くの障壁が残されている。ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟は、2007年4月の統一地方選挙までに、以下に取り組むことを提言する。

1.有権者がマニフェストを入手しやすくなるよう、告示前後を問わず、選挙事務所、演説会場、街頭演説の場所、公開討論会会場、政党本部及び支部等でのローカル・マニフェストの頒布を可能にすること。
2.ローカル・マニフェストに、候補者名及び会派名、候補者の写真、選挙名の掲載を可能にすること。
3.地方議会議員選挙においても、公職選挙法第142条に規定されている法定ビラを候補者が頒布できるようにすること。法定ビラには、候補者名、候補者の顔写真、選挙名、マニフェストの掲載を可能にすること。
4.ローカル・マニフェストのHPでの公開、メールでの配信を可能にすること。また、告示後も候補者のHPの更新を可能とすること。
2006年4月22日 ローカル・マニフェスト推進地方議員連盟

以下、今ちょっと注目している記事を紹介します。   ▲21世紀臨調 幹事会声明 政党は政治をどう守るのか~マニフェスト「以前」問題を問う~▲
首長選「与党と相乗りはしない」 統一選向け民主方針 (朝日新聞) – goo ニュース


 昨日は、多くの方々にご参加いただきありがとうございました。
当日の様子は後日報告しますので、もう少しお待ちください。

朝日新聞 2006年5月22日
2006知事選 立候補予定の2氏財政など公開討論/草津
6月15日告示の知事選に立候補を予定している県労働組合総連合議長の辻義則氏(59)と京都精華大教授の嘉田由紀子氏(56)を招いた公開討論会が21日、草津市の草津アミカホールで開かれた。県の課題について議論を交わし、約50人の市民がメモをとりながら熱心に聴き入った。
「政策を比較できる機会を市民に提供したい」と市民団体「まちづくり本舗」(金澤恵美代表)が開催。現職の国松善次氏(68)は公務のため欠席だった。
財政問題では、嘉田氏が「大きな公共工事を残し、福祉など県民に広くかかわる歳出を削るのはおかしい」と指摘。辻氏は、国の三位一体改革が問題とし、「国に対してはっきりもの申さないといけない」と主張した。
27日に着工式典がある新幹線新駅については、「不便なだけだ。今中止しても問題は生じない」(辻氏)、「なぜ選挙まで待てないのか。既成事実を重ねるのが現県政のやり方だ」(嘉田氏)と批判。また、環境問題を問われて、嘉田氏は「ダムは本当に必要か見直すべきだ」、辻氏は「旧志賀町の大型産廃施設は白紙に」などと持論を述べた。

 今回実施する第3回まちづくりトーク「滋賀県政について語り合おう!」については、県政に詳しい次の方々に参加を呼びかけました。
《参加依頼した方々と出欠予定》
辻  義則さん  出席  嘉田由紀子さん 出席  國松善次さん  公務のため欠席(資料を提供いただきました)
また、当日は次の質問内容でご意見を伺いたいと考えています。  (國松さんにも、以下の質問に関するコメントをお願いしました。)

  討論内容(予定)
1.財政問題について
①滋賀県の財政状況について、どうお考えですか。 ②その根拠をお示しください。 ③今後、どのような財政運営が必要だとお考えですか。
2.新幹線栗東新駅について
①新幹線新駅は必要だとお考えですか? ②その根拠をお示しください。
(必要だとお考えの場合) ○今後のビジョンを(説明責任や県民の合意形成なども含めて)お聞かせください。 ○廃止となった場合の問題点(例えば、協定違反とか議会の混乱など)についてお教えください。
(必要でない、または見直しの必要があるとお考えの場合) ○必要ではない(見直す必要がある)とする理由をお聞かせください。 ○廃止(見直し)する場合のプロセスについて、お示しください。
3.環境問題等について
①環境問題全般(琵琶湖も含めて)の基本的な考え方についてお聞かせください。 ②ゴミ問題(最終処分場も含めて)やダム問題についてコメントをお願いします。
4.ローカルマニフェストについて
①首長選挙におけるローカルマニュフェストの必要性や位置づけなどについてご意見をお願いします。 ②ローカルマニフェストが必要とお考えの場合、その骨子としてどのような論点が不可欠かお示しください。 (ローカルマニフェストがある場合は、文書でお示しください。)
5.その他
滋賀県政に関することや教育問題、その他今後取り組むべき重要課題等についてお聞かせください。

滋賀県政に関する上記の問題について、みなさまからのコメントおよび当日の参加をお待ちしています。
(参考資料)  ▲構想日本▲  ▲マニフェスト型公開討論会マニュアル(PDF)▲


 政府は、18年度の一般会で30兆円弱の新規国債を発行しています。その内、これまでの債務(800兆円程度)を返済するために20兆円弱を使い、その約半分は利子返済分だそうです。
債務を返済するために、新たに債務を積み増し、その返済や利子負担のために財政運営がさらに逼迫していくという悪循環を断ち切るためには、その年に必要は経費は、税収など債務以外で賄われるようにしなければなりません。
このことを示す指標のことをプライマリーバランスと言います。

毎日新聞 2006年5月4日
基礎的財政収支(プライマリーバランス)
公債発行による借り入れを除いた税収などの歳入から、過去の借り入れへの元利払いを除いた歳出を差し引いた収支。黒字なら借金に頼らず行政サービスをまかなえていることになる。赤字の場合、借金残高がどんどん増えていく。借金残高を減らすには、プライマリーバランスで利払い費を上回る黒字を確保する必要がある。

「政府は、歳出・歳入両面からバランスのとれた財政構造改革を進め、2010年代初頭の国・地方を合わせた基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を目指しています。」(財務省HP)とのことですが、予算の作り方そのものを変えない限り難しいように思います。

さて、滋賀県ではこのプライマリーバランスはどうなっているんでしょうか?
平成18年度当初予算案の概要によると、「当初予算ベースでは6年ぶりにプラスになりました。」とあります。  しかし、財源不足のため183億円の基金を取り崩し、県有地を10億円分売却している状況で何故プライマリーバランスがプラスと言えるのか、不思議でなりません。    このことについては引き続き勉強していきたいと思います。  また、ストックの財政状況を一覧にして財政事情をわかりやすく表した貸借対照表や特別会計などを含めた連結決算等についても検証していく必要がありそうです。


1.国と地方の財政状況
今、国も地方も大変な財政危機に陥っています。
国の平成18年度一般会計予算における歳出は約80兆円。そのうち、社会保障関係費が4割以上を占め、約4分の1が国債の元利払いにあてられます。

また、一般会計約80兆円のうち、税収で賄われるのは約50兆円にすぎず、残り約30兆円は新たな債務の積み増しで帳尻を合わせている状態です。

これを一般家庭の家計に例えると、月収40万円のうち生活に必要な経費が37万円で仕送り(国の場合は地方への交付税など)に12万円が必要であり、さらにローンの元利払が15万となるため、毎月24万円の借金を重ねてきた結果、5200万円ものローンを抱え込んでいるという状態なのだそうです。  唯一の救いは、この借金が消費者金融からのものではないということぐらいか・・・。
次に、滋賀県の財政状況について調べてみました。
滋賀県は、景気低迷による法人税を中心とした税収の落ち込みや人口増加に伴う行政需要の拡大、大規模な経済対策実施による県債残高の増加、三位一体改革による国庫補助負担金および地方交付税の削減などの影響で、「これまでと同様の行財政運営を行っていけば、財政再建団体に転落しかねないという危機的な状況」(滋賀県HP~財政事情 平成17年11月より)です。
具体的には、平成18年度の一般会計の予算額5,049億円のうち、人件費や公債費などの義務的経費が272億8,100万円(54%)を占めています。  また、歳入のうち県税などの自主財源が49.9%で、全体として490億円の財源不足となっているため、県債を50億円積み増し、基金183億円を取り崩したりして捻出した243億円で財源不足を補い、かつ▲改革プログラム▲などによる245億円の削減を行ってようやく帳尻を合わせています。

また、基金残高は枯渇寸前となっている一方、債務残高は約9,000億円にもなり県民一人あたりに換算すると611,521円の借金となっています。

2.選択・決断
こういう状況において、国や行政に「あれもこれも」というふうに求めることはできません。  国がやるべきこと、地方がやるべきこと(地方においては、県がやるべきこと市町村のやべきこと)を明らかにし、「あれかこれか」の選択肢を明確に示すマニフェストとそのことに対する主権者としての参加・選択が必要不可欠ではないでしょうか。
国の役割とは何か。  自治体の役割とは何か。  そして、ますます増大するパブリックの領域を誰がどのように担っていくのか。
例えば、地方分権推進法では次の通り定義されています。

地方分権推進法
国と地方公共団体との役割分担)第4条 地方分権の推進は、国においては国際社会における国家としての存立にかかわる事務、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動若しくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務又は全国的な規模で若しくは全国的な視点に立つて行わなければならない施策及び事業の実施その他の国が本来果たすべき役割を重点的に担い、地方公共団体においては住民に身近な行政は住民に身近な地方公共団体において処理するとの観点から地域における行政の自主的かつ総合的な実施の役割を広く担うべきことを旨として、行われるものとする。

▲京都府広域地方制度検討プロジェクトチーム(役割分担についての図式)PDF▲
つづく。


 来る7月2日、滋賀県知事選が行われます。
滋賀県の借金(県債残高)は、9,000億円▲4月17日のブログ▲と大変厳しい財政状況である一方、▲東海道新幹線(仮称)びわこ栗東駅▲など賛否が分かれる大型プロジェクトが進められようとしています。
そうした中で、これからの滋賀県をどのようにしていくのかが問われる大切な選挙となりますが、私たち「まちづくり本舗」ではその選択肢が各候補者からローカルマニュフェストという形で明確に示され、またその形成のプロセスに県民が参加できるしくみづくりに寄与できればと考えています。
そこで、5月21日にまちづくりトークを開催したいと思っています。
ご協力いただける方は、ohmi@kaikaku21.com (まちづくり本舗)までご連絡ください。

京都新聞 2006年4月30日(日)
 国松、嘉田両氏に聞く   滋賀県知事選 民主県連、6項目
国松氏の政策に耳を傾ける民主党議員ら(大津市梅林1丁目・滋賀ビル)
7月2日投票の滋賀県知事選で、民主党県連は29日、大津市内で、立候補を表明している国松善次知事(68)と京都精華大教授の嘉田由紀子氏(55)との意見交換会を開き、2人から個別に懸案の新幹線新駅やダム計画などに対する考え方や政策を聞いた。
この日は、2人がそれぞれ立候補する動機などを20分間訴えたあと、県連が新駅やダム計画をはじめ、大津市(旧志賀町)の廃棄物焼却施設計画▽約9000億円の県債残高を抱える県の行財政改革▽子育て支援策▽経済活性化策-の計6項目について質問した。
国松氏は「知事の経験を生かし、滋賀に住んでよかったと思える地域づくりを目指したい」と三選への決意を述べた。新駅や廃棄物焼却施設、丹生などのダムについて建設推進の立場を示し、新駅に関しては「滋賀の発展につながる」、ダムについては「県民の命と財産を守る」と述べた。
嘉田氏は「孫子につけを残さない健全財政を目指す。県の事業を徹底的に見直す」など7つの政策を訴えた。新駅や廃棄物焼却施設、ダムについて見直す立場を示し、新駅に関しては「新たな借金をつくってはいけない」と述べ、ダムの代替案として堤防強化や川底の掘削などを挙げた。
この日の意見交換会は、2人から推薦依頼を受けたために開いた。川端達夫代表ら国会議員や県議、連合滋賀のメンバーら約70人が参加した。県連は5月中旬に幹事会を開いた上で、推薦の対応を決める。

一方、立候補を表明している県労働組合総連合議長の辻義則氏(59)は連日のように県内各地の街頭に立ち「私は街頭で県民1人1人の面接を受けている。県民とスクラムを組んでいきたい」と演説している。「新幹線新駅は税金の無駄遣い。建設にストップをかけたいと立候補を決意した」と語る一方、ダム建設の中止や廃棄物焼却施設の白紙化などを訴えている。

 どこの自治体でも深刻な財政難が喘いでいるようです。  滋賀県でも、「三位一体改革」の影響で、国庫支出金が約330億円減、地方交付税が約570億円減となり、うち税源移譲されたものが約240億円しかなく、全体として490億円の赤字財政だそうです。
また県の借金(県債残高)も、9,000億円を超える勢いとなっている中で、▲財政危機回避のための改革プログラム▲に沿った事業が行われています。
今や、行政が「あれもこれも」やれる時代ではなく「あれかこれか」を選択していかなければならない時代となっているのです。
でも、例えば昨年度まで毎週実施無料で実施されてきた県民法律相談が廃止されるなど、本当に助けを必要としている人にとって頼るものが無くなってしまうという状況も出てきているようです。 ▲(参考)司法の利用相談窓口の拡充等に関する国に対する意見・要望▲PDF
今年は、7月に任期満了を迎える滋賀県知事選挙が行われますが、県民が「あれかこれか」を選択する機会となることを期待しています。


 国や行政は、公共=パブリックの担い手だと思っていましたが、「依存と分配」の構造や「官製談合」、「無駄遣い」「職員厚遇」、「国会議員の逮捕」「警察・学校教師の不祥事」という言葉ばかりが踊る現状を見ると、実際にはパブリックという実態は無かったと考える方が妥当な気がしてきました。
一方で、国や行政の肥大化を抑え、非効率的なやり方を改めるために民営化の手法が急速に広まっていますが、構造設計偽装問題における民間による検査体制やJRの収益第一主義で安全をおろそかにした結果起こった大事故などをこれだけ見せつけられると、激化の一途を辿る市場競争の中で、民間企業にパブリックを期待することそのものが問題のように思えます。民営化のすべてを否定するつもりは毛頭ありませんが、パブリック無き「官から民」では官の私物化や不正・ごまかしが肥大化するだけです。
また、法治国家としての最後の砦であるはずの裁判制度についても、東京都市川市の防衛庁宿舎における市民団体のビラ配りに対して高裁が一審判決で無罪となった根拠を無視して有罪判決としたとの新聞記事を見ていると、どうやら裁判所にすらパブリックや正義というものが無いと考えた方が良さそうです。▲京都新聞社説▲
 身近な問題では、先日当ブログへ草津市職員の方々からの内部告発文書について投稿いただきました。▲みのりっ子パパからの投稿文▲  私もさっそく内部告発文書を入手させていただきましたが、その内容を見ていると非常に克明かつ具体的に書かれていることから、かなり信憑性が高いのではないかと思えます。もしこれが事実であるならば、パブリックの私物化によって草津市役所が今も蝕まれているということになります。  こうした構造を一刻も早く一掃することが必要であり、もし事実でないとするならば疑惑を払拭するための説明責任を果たしていただかなければなりません。  12月の市議会で、この問題がどのように正されていくのかを注目していきたいと思います。    以上のような世の中の現状から考えると、国・行政の縮小や民営化というような対症療法だけでは無く、問題意識の共有化を図り新しい公共やパブリックをどのように創造していくのかを真剣に考えると同時に、様々な立場や社会的機能を持った個人・組織がその特性を活かして実際にパブリックを再構築していくことが求められているのではないでしょうか。
郵政民営化関連法、参院本会議で可決・成立 (朝日新聞) – goo ニュース
先の総選挙で最大の争点とされた郵政民営化について、参議院で前回は反対、棄権・欠席した30人のうち27人が賛成に転じ、賛成134票対反対100票で可決・成立しました。  これは良くも悪くも、民意が政治を動かした結果です。
総選挙では、ポピュリズムやメディアの偏った報道など様々な問題点、さらには3分2以上の議席数を持った巨大与党に対する危惧などといった観点から否定的に評価することもできます。しかし、選挙制度が中選挙区制から小選挙区制に移行して以降、今回ほど国民が政権選択を行うということが総選挙の本質でありその結果がいかに大きく、またその選択に対して国民も政党も重大な責任を負うことだということが実感できた選挙は無かったのではないでしょうか。  総選挙は政権をどの政党が担うのか、またその政権(政党)は国民からどのような負託を負っているのかが問われるものであり、政権のあり方は選挙によって有権者が決めるものだということがようやく定着して来たというふうに考え、今後の展望を考えていくことが大切だと思います。  そういう意味では、今回の選挙結果は政権選択選挙を定着させると共に、政権選択を可能にする政党の成熟を促すためには非常に良い結果だったということができます。  圧勝した自民党は郵政民営化法案を成立させましたが、国民の期待は郵政民営化が構造改革の入り口であり、その後は改革断行が加速していくということへの期待です。自民党は、郵政法案を踏み絵にして抵抗勢力を徹底して叩きつぶした訳ですから、改革が十分進まないことをこれまでのように抵抗勢力のせいにすることはできません。また、本来の筋道としては、政権交代によって下野した後に本格的な党改革がなされて生まれ変わるということだと思いますが、予想を越える圧勝はかえって自民党にとっては深刻な事態を招きかねません。
一方で、民主党は中途半端な負け方よりも今回完敗したことによって、抜本的な党改革を行う以外に再生の余地の無いことが党内外ともに共通認識されたことで、前原体制という新たなスタートを切ることができるようになりました。民主党は政権準備政党として自民党とは違った改革メニューを国民に示し、自民党をその立場で監視・抑制すると同時にグローバル競争時代の国の機能や役割について国民的論議を深めて合意形成していくプロセスをどうのようにつくっていくのかが問われているのではないかと思います。
つまり、圧勝した自民党は構造改革の断行を求める国民的期待に応えられなければ次回の選挙ではNOを突きつけられることになり、惨敗した民主党は前原代表を先頭に党改革を徹底して推し進め、国民が求める第2の国民政党として成熟していくならば次のチャンスは十分にあるという状況が生まれたということです。  これは、「選挙で自分の1票を投じても何も変わらない」という今までの状況から考えると画期的なことではないでしょうか。

自民やや上げ、民主は昨年並み 経団連の政党別政策評価 (朝日新聞) – goo ニュース
昨夜の選挙分析に関する福山哲郎氏(民主党参議院議員)の講演で、選挙の公示の前の日に経団連が自民党支持を表明したことが日本経済新聞のTOP記事に出たことによって、スポンサーの大半を経団連加盟企業に依存するマスメディアの報道や選挙結果に非常に大きな影響を与えたと発言されていました。  そのことに関連して、11日に日本経団連は政党の政策評価を発表し、自民党への評価を高めると共に、奥田碩経団連会長が記者会見で「政策評価を受けて、会員企業にはさらに増額をお願いしたい」と語ったそうです。  これじゃ、数の力だけではなくお金の力(政党助成金と企業献金のダブルで!)が自民党に集中しすぎて健全な「改革競争」のバランスが崩れてしまうと思うのですが・・・

 最近のマスコミの報道は公示前のワイドシーのような異常さは陰を潜め、まともな論調が多くなってきています。これも公職選挙法のお陰かな?

公職選挙法より
 (新聞紙、雑誌の報道及び評論等の自由)  第148条 この法律に定めるところの選挙運動の制限に関する規定(第138条の3(人気投票の公表の禁止)の規定を除く。)は、新聞紙(これに類する通信類を含む。以下同じ。)又は雑誌が、選挙に関し、報道及び評論を掲載するの自由を妨げるものではない。但し、虚偽の事項を記載し又は事実を歪曲して記載する等表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならない。  2 新聞紙又は雑誌の販売を業とする者は、前項に規定する新聞紙又は雑誌を、通常の方法(選挙運動の期間中及び選挙の当日において、定期購読者以外の者に対して頒布する新聞紙又は雑誌については、有償でする場合に限る。)で頒布し又は都道府県の選挙管理委員会の指定する場所に掲示することができる。  3 前2項の規定の適用について新聞紙又は雑誌とは、選挙運動の期間中及び選挙の当日に限り、次に掲げるものをいう。ただし、点字新聞紙については、第1号ロの規定(同号ハ及び第2号中第1号ロに係る部分を含む。)は、適用しない
1.次の条件を具備する新聞紙又は雑誌 イ 新聞紙にあつては毎月3回以上、雑誌にあつては毎月1回以上、号を逐つて定期に有償頒布するものであること。 ロ 第3種郵便物の承認のあるものであること。 ハ 当該選挙の選挙期日の公示又は告示の日前1年(時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙にあつては、6月)以来、イ及びロに該当し、引き続き発行するものであること。
2.前号に該当する新聞紙又は雑誌を発行する者が発行する新聞紙又は雑誌で同号イ及びロの条件を具備するもの

それにしても、この法律で発刊後6ヶ月を経過していない日刊新聞は選挙に関して報道及び評論等の自由が認められていないとは、なんと理不尽な・・・  この項目があることから、▲みんなの滋賀新聞▲は、選挙期間中、選挙に関する報道は一切されないそうです。何のための新聞なの?との疑問を抱く人も多いでしょうね。 ▲朝日新聞記事▲
インターネット(ブログ)にも、公職選挙法が適用され選挙期間中の評論等の自由が認められていないとすれば、本末転倒のような気がします。


 財務省が6月24日に公表した国債及び借入金並びに政府保証債務現在高は、約840兆円となっています。▲国債及び借入金並びに政府保証債務現在高(財務省)▲  地方自治体の債務は、約205兆円と言われていますので、国と地方の借金を合計すると1045兆円という途方もない数字になります。  ▲総務省統計局▲のデータによると、日本の人口は8月1日現在で1億2千760万人なので、赤ちゃんも含めて一人当たり約819万円もの借金を背負っていることになります。  最近になって国債及び借入金並びに政府保証債務現在高はどのように推移してきたかを見るため、グラフを作ってきました。

上のグラフのとおり、4年間で国の借金が244兆円増えています。


 本丸とは、守城戦において最終拠点となる、城の中でも最も重要な場所のことです。  そして、今回の選挙が「改革の本丸である郵政民営化に賛成か反対か」と問われているかのような雰囲気になっています。  ここで言う「改革」とはどういう意味なのでしょうか?  小泉総裁が言うように「自民党をぶっ潰す」ことが改革というのであれば、それも結構かと思います。    でも、30兆円の新規国債発行枠の公約を自ら破棄して国の財政を破綻させたり、多額のODAによる支援をはじめこれまでの営々とした努力を台無しにして外交を八方塞がりにしてしまったり、官製談合や天下り問題に積み残した道路公団民営化、問題だらけの社会保険庁には手を付けず負担増と給付減に加えて前提となる数値を誤魔化して「100年安心」と偽る年金改革▲読売新聞「年金改革Q&A」▲などのことを「改革」というのであれば、その本丸とはなんと恐ろしい改革なのでしょうか・・・。    今求められている「改革」とは、政・官・財の癒着構造を解体し、無駄の無いスリムで効率的は政府を作ることによって右肩下がりの時代に相応しい行財政構造にすると同時に、グローバル時代に相応しい国益とグローバルな課題の解決を結びつける国家戦略、アジア共存の外交、厳しい競争社会におけるセフティネットの構築、中央集権型社会から地方分権・市民自治の社会づくりなどのことです。    郵政民営化の是非を問うというだけで、何をどのように改革しようとしているのかが語られない白紙委任のポピュリズム型政治スタイルからは、本当の意味の改革は断じてできません。    本丸を攻め落として、天下を取るというのは下克上の時代の話し。  日本は、民主主義を選択し情報公開や説明責任を果たし、また今やマニフェストで国民との契約により政策を行い、後にはその検証を受け審判を仰ぐことが求められています。    自民党の支持率が高い理由は、強いリーダーシップと分かりやすさだと言われていますが、今求められているのは強権発令的なリーダーシップではなくて、民主主義というルールの中できちんと説明し、議論を尽くして説得し、すべてを公開していくということを主導していくリーダーシップなのではないでしょうか。    明日は、いよいよ総選挙の公示日です。  天下分け目の決戦と言われた関が原の合戦は、もう400年以上前の話し。  これからの日本の将来は、国民が賢明に選択権を行使できるかどうかにかかっています。


 本日、まちづくり本舗の座談会を開催しました。  討論のテーマは、総選挙に向けての現状分析や自民・民主両党のマニフェストの比較検討などです。    現状分析に関しては、4年間の小泉政権の中で国の債務は増え続け、道路公団の中途半端な民営化や公約の不履行(8月15日の靖国参拝や国債発行の30兆円枠など)、八方塞がりの外交、さらには年金改革が中途半端になっているのに首相の人気が異常に高いのは何故かということを中心に議論しました。
また、両党のマニフェストについては昨日開催された▲21世紀臨調「政権公約検証緊急大会」▲での採点結果も含めて、議論を交わしました。
特に、自民党は今回の「選挙が郵政民営化に是か否か」と問うているにも関わらず、マニフェストには「『郵政民営化』をかならず実現する。郵政民営化に再挑戦する」としか書いていないことに対して、「民営化の内容が具体的ではなく内容が全く分からない」「国会で一旦否決された法案をどのように成立させようとしているのか」「国会での議論の結果が反映されていない」「参議院で反対していた人が賛成に回るとしたら、その方が政治(家)への信頼が失墜する」といった意見が出されました。  また、郵政民営化より大事な年金問題については、「国民年金の未納問題や議員年金の廃止も含めて抜本的に改革して、すべてを一元化すべきではないか」「自民党のマニフェストにはそのことが触れられていない点が問題ではないか」といった意見がありました。さらに、「郵政民営化が改革のスタートではなく、小泉さんにとっては最終目的ではないか」「郵政の是非ではなく、自らの議員年金廃止もできないのに、改革はできないのではないか」との意見も出ました。    ところで、まちづくり本舗では昨年の市長選に際してローカルマニフェストを作成しそれに基づき公開討論会等を実施しました。本来であればその検証や更なるバージョンアップを行い、政党マニフェストと比較・連携しながら賢明な選択ができるように地域に向けて発信していくことが必要です。そこで、ローカルマニフェストに関する取り組みに積極的に参加いただける方を募っていますので、興味のある方はご一報ください。 ohmi@kaikaku21.com

 民主党の「日本刷新8つの約束」(マニフェストト重点項目)によると、「衆議院定数80の削減、議員年金廃止、国家公務員人件費2割削減等、3年間で10兆円のムダづかいを一掃します。」と示されていますが、今日の記者会見で岡田代表は国家公務員人件費の2割に当たる1兆円を3年間で削減するための具体策を発表しました。▲asahi.com▲  業務の効率化や各省庁を超えた効率的な人員配置を進めることによって、国家公務員の新規採用を退職者の3分の1に抑えて5000億円程度削減すると共に、給与・諸手当等の見直しによる5000億円程度の人件費削減を図るのだそうです。    一方、1972年に田中角栄氏が総裁選挙において発表した国土開発構想「日本列島改造論」以降、公共事業の拡大路線とその利権構造を作り出した自民党は、小泉改革によって「官から民へ」を掲げ、小さな政府を目指す政策へと転換しています。    「小さな政府」は時代の潮流となっており両党とも「小さな政府」を目指しているようですが、総選挙では国民がどちらの「小さな政府」を求めるのかということが一番大きな選択肢ではないかと思います。ところが、テレビや新聞紙上では自民党が掲げる「郵政民営化に賛成か反対か」ということが最大の争点であるかのように誤解を与える報道が目立ちます。  「民営化」は、「小さな政府」を推進していくための手法の一つではありますが、民営化そのものは政策の目的ではないし、特効薬でもありません。第一、自民党の郵政民営化法案によると、当初は国が持ち株会社の株式を100%保有し、2017年に最終的な民営化が実現したとしても政府が3分に1超の株式を保有することになっています。これだと民営化という名において、時の政権政府が経営権を持つ世界最大規模の国有株式会社が出現するということになるのではないでしょうか?そうなれば、国会のチェックが効かない巨大な独占となって利権や政治的思惑の温床になることは目に見えています。 (郵政民営化法案は2007年の民営化開始から10年以内に、持株会社=郵便会社が、郵貯銀行と郵便保険会社の株式を完全処分するよう義務付ける一方で、持株会社がこれらの会社の株式を買い戻すことができるとしている。)
また、「郵政民営化」に賛成する人は小さな政府を実現させる改革派であり、反対する人は大きな政府の既得権益に群がる改革の反対勢力だと位置づけることは、「マジック」とか「トリック」とかいう言葉で表現するにはあまりにも政治的で意図的な背信行為です。    結局、両党とも小さな政府を目指すという共通項を持ちながらも、小さな政府で小さな公共を目指すという言わば「夜警国家」(自由主義の元で、国家の機能を安全保障や治安維持など最小限にとどめた自由主義国家を目指すべきとする考え方。)に近い政策を推進しているのが自民党であり、小さな政府で大きな公共を支えていこうとしているのが民主党ではないでしょうか。そういう観点から、マニフェストを読み比べて賢明な選択をしていきたいと思います。


やり過ぎ注意!?
ようやく、解散・総選挙に関するメディアの報道の中で妥当なコメントが散見されるようになってきた気がします。   ▲毎日新聞社説▲  ▲朝日新聞社説▲
でも、「ちょっと待てよ」とも思います。 というのは、公示前の制約を受けない報道期間であることを悪用して政治をワイドショーと同列に視聴率を稼ぐ道具として使ってきたメディアの指向性から言えば、ホリエモン問題をおもしろおかしく報道するとか、「平成の水戸黄門集団がアコギな代官を裁く!」というようなタイトルを付けて特集を組むとか・・・そういうやり口で突き進んだ方が、有権者が醒めた目で見るようになるような気もするからです。 案外、メディアもしたたかなので、やり過ぎないように計算づくなのかも知れませんね。
似た者同士!?
政治をワイドショーにして視聴率を稼ぐというやり口は、ホリエモンもメディアも考え方は同じようです。 ホリエモンに関しては、社会や組織の古い体質を暴きそれに立ち向かうという側面で共感を覚えていた人たちも、業績や利益を上げるためには手段を選ばないという側面が目立つ今回の動きには「何かが違うぞ」と感じているのではないでしょうか。
すり替え上手!?
マジック(手品)は、目の錯覚や意外性から観客を喜ばせるというエンターテイメントです。  小泉マジックも、国民の「錯覚」を利用したり言動の意外性から根強い人気が続いています。  しかし、自分でオリジナリティのあるシナリオを書いて自作自演をしている演劇を観て歓喜しているかのような状況は、そろそろ終わりにしなければなりません。政治は韓流ドラマでは無いし、小泉さんはヨンさんと同列では無いのですから・・・


 総選挙では、700億円の公費が使われるそうです。  民主主義というのは、時間もお金もかかるものですから惜しいは言いませんが、もし多額の税金を使って「小泉三文オペラ」を観戦したり、「平成の水戸黄門」(黄門さんばかりの集団で、助さん・格さん・疾風のお娟というキャストがいないのが気になる・・・)の登場に涙したりというだけに終始し、賢明で日本の将来にとって有益な選択がされなかったとしたら、これほどの無駄遣いはありません。    700億円を有効に使うためには、「”小泉”郵政民営化に賛成か反対か」という特殊な課題設定は相応しくありません。国民が重視している政策課題は、第1に「年金・医療・介護」などの社会保障問題(36%)であり、第2に「景気」対策(22%)、第3に「税制改革」(17%)、そして第4番目の課題としてやっと「郵政」(14%)が続いているのです。(カッコ内の数字は、毎日新聞の世論調査の結果)    もし、”小泉”郵政民営化法案の是非だけを問うということであるなら、他のもっと重要な課題は「白紙委任」という形にならざるをえません。    このことについて、▲総選挙に向けての緊急提言(新しい日本をつくる国民会議)▲では、「諸課題が山積している現状を考えると事実上の『白紙委任』につながり、後に新たな混乱状態を残すことになる。」と指摘し、小選挙区制導入以来4回目となる今回の総選挙を、日本の政党政治史上初の本格的な「政権選択選挙」とすべきであると主張しています。  また、郵政民営化の是非を問うとするならば、その実現方法を具体的に示すべきだとし「郵政民営化法案の成立を目指す連立与党は、今回の総選挙で再議決に必要な3分の2以上の議席獲得を目指すのか、そうでないならば、総選挙後の参議院でどのようにして法案を可決させるのか、その具体的な見通しを示すべきである。」と指摘しています。    さらに、緊急提言ではマニフェストについて「すべての公認候補者に対して、政権公約の実現に関し『連帯して責任を負うこと』を誓約させるべきである。」としています。  マニフェストが政党と国民との契約書であるとするならば、政党一丸となって実現させるということは前提条件のはずです。  これが、”小泉”郵政民営化に賛成することだけが公認の条件であるならば、あとは国民同様に国会議員自身も「白紙委任」ということなのでしょうか?    とにかく、小泉郵政民営化では税金の無駄遣いはなくなりませんし、政官業の癒着もなくなりません。  特殊法人や特別会計に徹底的にメスを入れなければ、結局、国民のお金を官がかき集めて、官がそれを配分するという全体の仕組みは何一つ変わらないのです。
最後に、報道機関の取り上げ方がどう考えてもおかしいです。  民法は、話題の取り上げ方が片寄っているし、NHKは例の政治介入による放送改変問題が尾を引いているのかもしれませんが、総選挙に関する詳しい報道は避けているようです。(これでは、受信料は払えない。)
このことについて緊急提言では、「報道関係者は、議院内閣制における総選挙は政権選択を本質とする選挙であるという認識に立って報道すべきである。」と記していますが、このような観点からブログなどのマスメディアではない情報手段の積極的な活用が求められているように思います。
 改革を本当に成功させようとするならば、郵政民営化(その方法の一部)というシングルイシューではなくパッケージ(セット)を提示し、その選択を求める総選挙で多数を獲得した政権が改革を担うということでないと困ります。
それを、「郵政民営化が構造改革の本丸だ!」と言われ、その是非を問うとの問題設定をされても、正しい選択はできません。  これはちょうど、レストランでの食事の際にメニューも見せられず日本食か中華料理かフランス料理か分からない客に対して、いきなり食前酒は老酒かワインかどちらかを選んでくださいと言われるのと同じようなものです。    まず、メニューを見せていただいて料理の内容(コース)を決めさせていただかないと、食前酒が日本酒かワインのどちらが良いか、あるいは同じワインでも赤が良いか白が良いか、あるいは同じ白でもどの銘柄の何年ものが良いのかということを注文することはできません。    そのメニューこそが政党のマニフェストです。  マニフェストには、改革の理念や方向性、将来の日本社会のイメージ、具体的政策やその実現のプロセス、さらには改革のための負担や痛みは誰がどのように負うのかということなどが明瞭に示されていなければなりません。例えば、ものすごく小さな文字で書かれた規約や契約書を何の説明もせずに交付したとしても、それはあきらかに錯誤に基づく契約として無効とされるか、告知義務違反になりますが、マニフェストにも同じことが当てはまります。 ▲(参考)消費者契約法による悪徳商法対策▲
本日、民主党より▲2005年 衆議院選挙マニフェスト 政策各論▲が公表されました。  同じ食前酒に選ぶなら、”小泉”郵政民営化法案ではなく、「社会保険庁の廃止」の方がどんな料理にでも合うような気がしますが、いかがでしょうか?


 従来のように、公共をすべて官(行政)が担うべきだと考える時代は終わりました。官僚機構は、肥大化し硬直化した組織となっていると同時に、財政的に破綻状態となっていることから「大きな政府」から「小さな政府」への転換が求められているのです。また、多様化し益々増大するパブリックな要請に対して、すべて官が支えていくことはできないため、NPOも含めて多様な主体がその特性を活かして公共を支えるしくみが模索されています。
そこで、官が行ってきた事業(施策)に競争原理を導入して効率的・効果的なものとしていくために、官の仕事を民間にまかせるという方向での改革が進んでいます。   しかし・・・だからといって、政府の郵政民営化法案が「官から民へ」の最善の策という訳ではありませんし、構造改革の本丸に位置づけられるような代物ではありません。    政府が郵便貯金の限度額を増やしつづけてきたことから、現在の日本郵政公社は個人資産の1/4を抱える世界最大の金融機関となり340兆円ものお金を集めました。政府案では、この郵貯・簡保事業を民営化することが掲げられていましたが、民間企業となった際にこの膨大な資産を有効活用することができるのかどうかが不確実であり、もし失敗した場合には政府に莫大な損失が生じるといったことや、他の金融機関への影響はどうか、あるいは過疎地では唯一の身近な金融機関として存在していることから経営合理化で廃止された場合の影響はどうなるかなど、「民営化」の中身に問題が多い法案だったのではないかと思います。また、分社化された郵貯会社・保険会社が外資に買収されることも懸念されます。      このような巨大化した金融機関を「官から民へ」というのではなく、郵便貯金の限度額引き下げや簡易保険の縮小などにより金融部門を縮小して巨大化そのものを是正していく現実的かつ確実な「官から民」の方針が民主党から出されたと報じられました。   民主マニフェスト、郵貯限度額を段階的に引き下げ (読売新聞) – goo ニュース  民主、マニフェストに郵政改革案 公社は維持、郵貯縮小 (朝日新聞) – goo ニュース    今まで、郵便貯金に1千万円に貯金していた人が700万→500万というように縮小されていけばその差額分が民間金融機関等に流れていきます。こうした政策によってお金の流れを「官から民へ」変えていくことも非常に有効な改革の方向です。
構造改革を進める上で、「官から民へ」ということが唯一の方法ではありません。また同時に「官から民へ」の中身そのものも多様な方法・選択肢があることを理解していくことが必要だと思います。


 今日の京都新聞の社説には、内閣の4年間を振り返って「光と影が交差する」としたうえで影の部分を次のように指摘しています。 ▲京都新聞社説▲

京都新聞社説(8月9日)
道路公団の民営化は中途半端に終わり、三位一体改革なども当初の理念と比べれば大きく後退した印象が強い。国民の多くが求める年金はじめ社会保障制度の抜本的改革が、ほとんど手つかずになっているのは残念だ。構造改革の狙いに賛同するとしても、具体的な改革の実りはあまりにも少ない。郵政民営化は重要問題であっても最優先課題とはいえないだろう。

小泉首相は、今回の解散総選挙を郵政民営化の是非について審判を求めるものだと言っていますが、実際は構造改革の具体的中身や結果が問われ、郵政民営化法案不成立をもって報復的解散にまで至った政治手法そのものに対する審判が問われるという視点でとらえる必要があるのではないでしょうか。  しかし、これまでの郵政民営化に関する各メディアの報道や解散総選挙をめぐる論説が、片寄ったものとなっているのは非常に気になります。
例えば、メディアには次のような視点で報道特集を組んでほしいと思います。
●郵政民営化という単一課題だけに終始してきた小泉政権は、結果として何をもたらしたのか? ●年金をはじめとした社会保障や税制はどうなったのか? ●財政健全化の方向は見えてきたのか? ●「右肩下がり」の時代に対応した経済社会の方向性はつけられたのか? ●グローバル化・東アジアとの共存と競合の時代にふさわしい日本の進路は見えてきたのか? ●税金の無駄遣いを止めて、限られた税金を多様な市民ニーズに対して最適に配分しうる分権の仕組みは見えてきたのか? 三位一体改革はどうなった?
高度成長=「右肩上がり」から「右肩下がり」となった現在、抜本的な政策転換や発想のパラダイムチェンジが不可欠です。しかし、これらがことごとく先送りされたり、中途半端に投げ出されたり、いい加減により過ごされている結果そのツケが増税に向かっているというのが現実です。
これらの問題を解決するために、日本の国家像をどう描き具体的改革のプロセスを明示するマニフェストの進化を示すことができるかどうかが重要です。また、国民主権・地方分権(住民自治)という観点から、ローカルマニフェストをどのようにリンクしていくのかという視点も必要でしょう。  そして、「あれも、これも」ではなく「あれか、これか」の選択を有権者に問い、約束するのが政権交代を競うマニフェストの本来の姿ではないでしょうか。  おりしも、戦後60年を迎えたなかで、国際社会の中で日本の果たすべき役割とは何か、またそれを国益とどうリンクさせていくのかについてもマニフェストに明記してほしいと思います。    ちなみに、今回の選挙の争点は郵政民営化の是非を問うというものではありませんが、念のため何故小泉流郵政民営化法案が駄目なのかについて調べてみました。  各党の見解は下記のとおり明確に示されています。
▲郵政改革に関する考え方(民主党)▲
▲郵政民営化関連法案の委員会通過について(社民党幹事長談話)▲
▲郵政民営化したらサービス低下(共産党)▲
以上の内容についても、整理して理解しやすいように示すことも必要かと思います。(メディアでは、あまり取り上げられていないので・・・)


その1  日本道路公団の民営化について話し合う道路関係4公団民営化推進委員会に「名誉を侵害された」として副総裁の内田道雄容疑者が出席拒否した事態は異様でしたが、今日の会合には公団側から誰も出席しなかったというのは、驚きです。  ▲読売新聞▲     その2    スペースシャトルの機体底部で見つかったセラミック材のはみ出し部分を、船外作業で修復する方針を急遽固めたのは異例の処置ですね。NASAの超優秀な人たちがあれだけ万全の安全対策をとってきたはずなのに、こんな事態になるとは・・・。 ▲CNNニュース▲
その3  羽田空港での官制トラブルにも閉口してしまいます。  非常電源に切り替わったことに気がつかず、非常バッテリーを使い果たしてダウンさせてしまうなんて・・・  非常用の電源装置故障が原因か 羽田管制塔電源ダウン (朝日新聞) – goo ニュース


 昨日掲載した電子自治体事例の追加です。
大阪府池田市 ANSINネット  大阪教育大学附属池田小学校で起こった児童殺傷事件を契機として、平成16年6月から子どもの安全にかかわる情報を携帯電話やパソコンなどに電子メール届ける「ANSINメール」サービスが開始されました。  地域ぐるみで子どもの安全確保や迅速で確実な情報配信・共有を図るためのシステムとして参考になります。   ▲ANSINメール▲
滋賀県河瀬中学校 河瀬あんしんネット  河瀬中・高校の周辺地域や通学区域における治安情報を、学校から保護者の方の携帯電話に電子メールで一斉配信するサービスです。  ▲河瀬安心ネット▲
名古屋 ユリナビ  名古屋市バス・地下鉄・あおなみ線を組み合わせた最適な乗り換え経路を案内するサービスの実証実験システムで、愛知万博終了までの間稼働しています。 ▲ユリナビ▲
京都市 市バスの接近情報  京都市の市バスの接近情報が携帯電話で知ることができるサービスです。  ▲ポケロケ▲   ▲全国バスロケーションサイト リンク集▲
鳥取県 電子会議室  インターネット上で、いつでも、どこでも、自由に意見交換し、議論できる場を設定して情報入手の機会と県民の輪を広げることを目的として鳥取県が解説している電子会議室です。県レベルではめずらしいのでは?  ▲鳥取県 電子会議室▲   ICカード標準システムの活用  財団法人 地方自治情報センターが無償で提供しているICカード標準システムを活用して、公共施設の施設予約システムや成人保険サービスなどを実施している自治体として、静岡県の掛川市や岩手県水沢市などがあります。 ▲掛川市▲ ▲水沢市▲
電子自治体シリーズは、これで一旦終了です。


 今回は、自治基本条例(自治憲章・まちづくり条例といったものも含めて)が本当に必要なのか? ということをテーマにしたいと思います。
自治基本条例制定への否定的意見
自治基本条例は、その性格から抽象的で形式的なものになりがちであることから「すでに憲法や地方自治法で定められていることが多いのでわざわざ制定しても実効性が乏しい」と指摘をする人たちがいます。また、一般の法律のように具体的な罰則規定などが明記されず努力義務や宣言的なものに止まるものになりがちであるため、それが逆に「法の権威や遵法精神を失わせるのではないか」との意見、さらに「憲法第94条は自治体に条例制定権を付与してはいるが、本来は憲法で定めるべきものを自治体が独自に制定するのは問題だ」と指摘する人たちもいるようです。
「市民が主役」を明確にする意味がある
しかし、国民が選挙によって国政に対する信託を行う際、その基本的契約としての憲法の存在意義と同様に、住民自治・団体自治を基本精神として運営される自治体に地方選挙などによって信託する際に、国の憲法にあたる自治体の憲法たる自治基本条例が存在することによって、より市民が地方自治の主役である点が明確になり、その精神が市民の側にも行政の側にも周知されていくものという点では必要なものではないでしょうか。
憲法補完とその発展基礎として
また、憲法論議がようやく本格的に始まったとはいえ、平和主義などといった普遍的価値は別としても58年前に制定された憲法が現実社会の状況に追いついていない面もあり、そのことを補完していく役割として自治基本条例の意味は大きいと思います。こうした部類に入るものとして、例えば「知る権利」「環境権」「こどもの権利」「プライバシー権」といったものの他、「市民がまちづくりに参加する権利」や「説明責任」などといったものが考えられます。  憲法で明記されていない事柄に対して、新たな原則・権利を書き入れることの位置づけについては、例えば「知る権利」については憲法では明記されていませんが、憲法で定める「表現の自由」から導かれる人権・権利であることが最高裁でも認めているように、その憲法の精神に基づくものであればむしろより積極的に明記していくべきだと思います。逆に言うと、たとえ政府がつくった法律でも、憲法に反するものは無効ですので、当然自治基本条例についても憲法に基づいて定める必要があることは言うまでもないことです。    さらには、地方自治が民主主義の学校だとするならば、より身近で具体的な存在である自治基本条例のありようを地域全体で考えることによって、憲法の本来の役割やそのありようがより深く理解されるという面での学習効果・波及効果も大いに期待されます。    加えて、「自治基本条例は、単に各自治体の自治立法の頂点にあるだけでなく、その自治体を規律する縦割りに寸断された国法をも統合し、地域において憲法に準じてこれを直接的に補完する法規として存するものと観念される。」(札幌地方自治法研究会 田中孝男)と位置づけられているとおり、憲法を自治体の中で実際に活用し活かしていく上でも有効なものだと思います。
制定プロセスにも大きな意味がある
次に自治基本条例を語る上で重要な点は、それをどういう方法でつくるのかということです。  これを、普通の条例のように行政の官僚が起案し、議会で承認を得るというような方法で作られるとするならば、市民が自治体を統制するという役割としての自治基本条例にとっては本末転倒のような気がします。自治基本条例の制定プロセスは、まさしくそれ自体が最重要な要件であり、市民参加や情報の共有化などを最大限行うことによって生み出すからこそ本来の意味を持つし、また内容も充実したものとなるのではないでしょうか。また、そうした取り組みを行う上で、広範な市民参加と行政の意識改革を伴う手法を編み出していくことも必要かと思います。具体的には、ワークショップの手法、ITを活用した意見交換(電子会議室など)、条例案の公募や集約作業等での市民主導と行政の横断的プロジェクトの協働作業、自主学習会などへの積極的支援や広報、アンケート・住民投票の活用とったことです。
まとめ
こうして見てくると、自治基本条例は「地域の自治立法(条例、規則等)を体系的・総合的に編成し直す」ということに止まらず、自治(体)経営を市民自身の手で行うという本来の住民自治・団体自治のありようを捉え直し、地方分権の本来の機能を芽生えさせる第1歩として条例制定への動きをつくっていくことそものものにも意味があり、本当の地方自治を実現していく上で非常に大切なことだと言えるのではないでしょうか。        ところで、今日の夕刊にパソコン等の安値情報サイト「価格.com」が不正アクセスとプログラム改ざんを原因としたサイトの一時閉鎖されたとの記事が掲載されていました。  私は、このサイトをよく利用するのですが、悪意の第三者がこのサイトを媒介としてウィルスソフトを無差別に送りつけたため、サイトを閲覧しただけでウィルスファイルを取込んでしまった可能性があるとのこと。もしかして、当方のパソコンもやられてしまっているかも?(とは言っても、このサイトは安全ですのでご安心を!)   このブログが書き終わったら、早速ウイルスソフトでシステム完全スキャンをします。   明日は、「ローカル・デモクラシー」(著者:藪野祐三)を紹介する予定です。


 今日の話題は、自治基本条例についてです。
日本国憲法では、「国政は、国民の厳粛な信託によるもの」(前文)と記述されています。「信託」とは、信頼してまかせることを意味しますが、信頼してまかせる範囲は憲法の枠組みの中での話です。そういう意味で、政治家は選挙で当選したら何をやっても良いという訳ではありません。同時に、国民主権という原則から地方自治制度が設けられていますが、これは国が地方に権限の一部を委任しているという意味でありません。憲法第92条では、地方自治に関する事項は「地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める」と定められていますが、ここで言う地方自治の本旨(地方自治の基本)とは、「住民自治」と「団体自治」であり、そのよりどころは主権者である国民(市民)が「信託」やその他の方法によって治めるべきものだということです。ちなみに、「住民自治」とは、住民自らが自らの地域のことを考え、自らの手で治めていくことで、「団体自治」とは、地域のことは地方公共団体が自主性・自立性をもって、自らの判断と責任の下に地域の実情に沿った行政を行っていくことを意味します。
昨今の地方分権の進展は、「明治維新、戦後改革に次ぐ『第三の改革』」とも言われています。そして、地方分権の推進によって「地域の行政は、地域の住民が自分たちで決定し(自己決定)、その責任も自分たちが負う(自己責任)という行政システムを構築」することや「全国的な統一性や公平性を重視する『画一と集積』の行政システムから住民や地域の視点に立った『多様と分権』の行政システムに変革」することが求められているのです。
そうした中で、住民自治機構としての自治体政府に「信託」する際、地方自治版の憲法に該当するものが必要ではないかとの考えが出てきました。これが、自治基本条例と言われるものの本質ではないかと思います。

では、自治基本条例では何を定めるべきなのでしょうか?
まず、先日紹介した「何故憲法か」で論じられていることを例にとって言うと、なぜ地方自治に自治基本条例が必要なのかを明らかにし、自治基本条例の理念を受け入れることをそれ自体に宣言すると共に、この基本条例が市民全体の合意に基づくものであることを明確にする必要があるでしょう。
その上で、地方自治の本旨に関する理念について確認すると共に、地方自治の本旨を実現するための方法や基本姿勢・理念ならびに具体的な制度を定める必要があります。
より具体的には、次のモデルが参考になりそうです。 ▲(社)北海道地方自治研究所・自治基本条例研究会作成の北海道行政基本条例▲    上記の試案について考え方などを示した自治基本条例研究会▲『北海道行政基本条例の構想』▲によると、地方自治体の運営が首長ないしは首長が統括する行政に権限が集中していることに鑑み、単に政治・行政の主権者としての権利だけにとどまらず、首長ないし首長が統括する行政に対する住民の権利を規定する必要があるとしています。それは「法律上は首長選挙のあとは、4年間のお任せ民主主義か極端な首切り民主主義しかなく、日常的な参加民主主義は全く保証されていない」という状況では、本来の住民自治ということからは不十分だからです。
そこで、市民が「白紙委任」ではなく「責任・主体的参加」へと変えるためには、住民の知る権利(情報公開)、参加の権利、政策評価などが不可欠です。
つづく      参考文献:自治基本条例はなぜ必要か(著者:辻山幸宣)


 みなさん、「構想日本」というNPOをご存じでしょうか? ▲HP▲  「構想日本」は、「**総研」といった行政等からの委託を受けてレポートを書く民間の営利法人と違って、自らの理念に基づいて政策を提言し、その実現のために行動する独立・非営利のシンクタンクで、その活動はすべて会員が支えています。
このNPOでは、様々なテーマで政策提言をしていて実際に法律として実を結んだものもあるそうですが、マニュフェストについても次の提言などを行っています。 ▲「マニフェスト」は、チェックがあって初めて『マニフェスト』になる▲
また、新しい日本を作る国民会議- 21世紀臨調 -政権公約(マニフェスト)検証・第1回大会で、代表の加藤秀樹氏がパネラーとしてコメントされている様子を映像で観ることもできます。 ▲オンデマンド映像▲
今後の活動の参考になりそうなので、後日詳しく紹介したいと思います。
 先日から風邪で体調を崩していますが、知り合いの何人かが「風邪でしんどい」と言っていたり気管支炎で点滴をされていたりしています。  気候の異常な変化についていってないんでしょうか? それとも空気が悪いのかなぁ・・・。 という訳で、今日もごく簡単にさせていただきました。


 17日に当まちづくり本舗が実施するローカル・マニフェストの検証に向けての勉強会で活用することも兼ねて、昨日に引き続き著書「ローカル・マニフェストによる地方のガバナンス改革 ~自治体が変わる、地域も変わる~」(著者:UFJ総合研究所)の内容を紹介します。
1.国政との制度の違いから・・・    地方政治では、議員内閣制である国政とは違い、二元代表制となっています。  このことから、地方では首長が意思決定しても議会が認めない時はローカル・マニフェストで掲げた公約は実現できないこともあります。また、地方においては自主財源が少なく補助金を交付を受ける場合には細かな条件が付けられたりしているため、独自性を持たせにくい面もあります。    一方で、ローカル・マニフェストによって政策目標が明確化され、それがマスタープラン等と融合することにより、自治体の計画自体が地域の実情に即した戦略性と実効性を有するようになると共に、その進捗状況や結果を検証するサイクルが形成されることによって、自治体運営や地域政策を市民主導でマネジメントしていく基本的な仕組みや住民自治の基盤確立が期待されることから、地方分権の推進力としてマニフェストを活用していくことができるという側面もあります。
同時に、ローカル・マニフェストは行政職員の意識改革にも大きな役割を果たします。  政策の最終責任を首長が負うことが明確になり、行政職員はその目標を効果的かつ着実に執行することに専念できるし、住民の監視下に置かれることにより緊張感を持った職務遂行を行うようになるのです。
このようなことによって生まれる力が基盤となって、国に対して地方分権を促進するよう求める原動力となります。 また、「地方自治は民主主義の学校」といわれるような観点から言うと、ローカル・マニフェストの政治文化が国政のありようを変える国民主権の成熟につながると考えられます。
なお、ローカル・マニフェストでは特に、①政策目標を具体的にイメージできること ② 実現可能な政策であること ③達成状況をチェックできること が重要です。
2.ローカル・マニフェストによって変わる将来像
(二元代表制による地方政治の機能回復)
日本の地方政治・行政においては、首長が替わっても政策の継続性が求められる風潮があり、又政策スタッフを自らの公約実現のために幹部として据えることが通常無いため、行政が首長の意向を離れて肥大化しやすい傾向にあります。このため、首長はリーダーシップを発揮することができず、実質的に行政(執行部)主導型になるケースが多いようです。
また、議会も予算案を否決したり独自に条例を提案することも少ないく、「オール与党体制」となってチェック&バランスの機能が充分果たされていない場合が多いようです。  しかし、ローカル・マニフェストによって監視機能の強化が求められると共に、そのプロセスへの住民参加を促す機能や政策・条例の立案機能が求まれてきます。このように、ローカル・マニフェストには、こうした閉塞状況を打破し、地方政治の機能回復を実現する可能性があります。
(計画行政の機能回復)
地方行政における政策は、都市マスタープランをはじめとした計画に基づいておこなわれる「計画行政」が基本ですが、計画そのものが総花的で抽象的なものであったり、達成状況をチェックする機能がありません。また、行政評価システムを導入しているところでも、総合計画とリンクしていないのが実情です。  さらに、長期的な構想を実現するための実施計画については、単年度の予算査定において財政セクションによって独立的になされることが多いため、実現することが困難な場合が多いようです。
しかし、ローカル・マニフェストでは工程表や財源も含めて示されているため、その実現性が高くなります。
以上の内容につきましては、執筆者であるUFJ総合研究所が次の資料をHPで公開していますので、是非ご一読くさだい。   ▲地方のガバナンス改革(PDF)▲  ▲民主政治のゲーム転換(PDF)▲  ▲評価・サイクル(PDF)▲



「公約は破られるものだ」「公約が反故にされても仕方がない」とった非常識が常識化している

これまでは、選挙での公約は選挙時に自分に投票してもらうために一般論で良いことづくめで示され、選挙が終わるとその旗は降ろされることが日常化していました。  例えば、小泉氏は2001年に行われた自民党の総裁選挙において「新規国債発行高を30兆円以下に抑える」と公約しましたが、2003年の第156回国会においてそれを破る予算編成をしたことについて「この程度の公約違反は、たいしたことではない」と言い切りました。このような公約違反をし、かつ説明責任も果たさなかったにも係わらず内閣支持率が下がらなかったことにも表れているように、国民の側も政治家を裏切るものだということを容認してしまっているようです。  これでは、真の政党政治を望むことはできません。(ちなみに、近代国家は政党政治で成り立っています。)    というか、むしろ「依存と分配」がこれまでの政治の最大の機能だったし、それでも世の中はなんとか回っていました。  しかし、これからはそういう訳にはいきません。今までのツケが高い利子が付いて雪だるま式に膨らんでいる状況となっており、早急に再建計画を立てないと破綻するのは火を見るよりも明らかというのが現実です。そうした中で、颯爽と登場したのがマニフェストです。    「果たして、このマニフェストが政治のパラダイムを再編するツールになりうるのか?」・・・というような学者や評論家の立場はどうでも良いのですが、私たちはマニフェストを「政治家と有権者双方の政治に対する責任システムを創るツール」とするために何をなすべきかを考えていかなければならないのではないでしょうか。      以下は、著書「ローカル・マニフェストによる地方のガバナンス改革 ~自治体が変わる、地域も変わる~」(著者:UFJ総合研究所)を若干手を加えて抜粋したものです。     マニフェストの意義と効果   「緊張」と「責任」による政治主導の民主主義社会の実現
政権を担当することになる政党と国民が、具体的な政策レベルでの「契約」を結ぶことによって、政策の意思決定における住民の参加度合いを高めることに真価がある。これによって、政党と国民の間に「緊張」関係が生まれ、選ばれた側だけではなく選らんだ側にも「責任」をもたらすことによって、高いレベルでの政治主導型政策運営が可能となる。    マニフェストによって政権政党として選ばれた側には、国民の「同意」や「契約」を後ろ盾にして政策を具現化していくことが容易にできる一方、有権者は選択したマニフェストの結果を甘んじて受け入れなければならない。そして、次の選挙によってその評価が反映されることによって相互の活性化につながる。  つまり、国民の側から言えばマニフェストの内容や作成のプロセスへの参画並びに選挙における選択の重みが著しく高まり、政党側の立場としてはマニフェストを作成・履行する責任も問われるという意味で、相互の間に緊張感のあるパートナーシップ関係が築かれる。    政策の情報公開、政策責任の明確化
前項の目的を達成するためには、マニフェストは数値目標・期限・財源・工程・組織・手法などを明示することが求められる。このことから、政策実現のためのプロセスも共有化されると同時に、進捗状況や結果を客観的に評価することが可能となり、政策サイクルを飛躍的に高度化することができる。  「政策の情報公開」や「政策責任の明確化」が担保されることにより、選挙時のみならず、選挙後にも国民の政治への参画が求められ、政策形成→具体的事業→実施後の評価→改善→政策の再構築といったような一連の政策サイクルを飛躍的に高度化することができる。    マニフェストの本来の意義は政治・行政における根本的なパラダイムシフトを実現しうる政治的意義にある。 (明日に続く)


 大阪市の公費乱脈の原因を突き止める調査委員長に、「世直しオンブズマン」の辻公雄弁護士が起用されました。 ▲世直しオンブズマン▲
3月に「大阪市都市経営諮問会議」の座長であった本間正明大阪大大学院教授を一方的に批判して辞めさせた大平助役が、記者会見で「私が推薦した。調査のやり方も含めて全部任せる」と発表したことに対しては、あまりにもバランス感覚の悪さに疑問を持つところでもありますが、まぁ名誉挽回といきたいということなのでしょうね。 ▲改革途上の決別▲    このことを伝える新聞記事を読んで、行政と市民のパートナーシップというのはこうした緊張関係も含めた概念だということがもっと定着すればなぁと思いました。  これまでは、「市民と行政が対等の立場」で「それぞれの特性を活かしながら」という原則を掲げながらも、実際には暗黙のうちに不可侵条約的なものが結ばれているような感じのものが大半であったように思います。    当会ですすめているローカルマニュフェストの検証作業(17日に勉強会開催)についても、行政運営や政策のありようを内部からも外部(市民)からも再構築していくものの一つとして位置づけられることを望みます。    明日からは、著書「ローカル・マニフェストによる地方のガバナンス改革 ~自治体が変わる、地域も変わる~」(著者:UFJ総合研究所)を参考にしながら、ローカル・マニフェストの意義と役割について考えていきたいと思います。


 先日、政治倫理・九州ネットワークの発行する「政治倫理条例のつくり方」(九州大学名誉教授斉藤文男著)を発注しましたが、今日の夕方自宅に届きました。
書籍と共に、3月議会で提案された草津市政治倫理条例に対する筆者のコメントが同封されていましたので、そこで指摘されている内容の要旨を紹介させていただきます。
(1)市長だけを対象としており、議員が対象になっていないのは最大の欠陥。    (議員も市長と同様の責務を負っており、現に不祥事も多いから。)
(2)政治倫理条例の3本柱である政倫基準、資産公開、問責制度のうち問責制度を欠いている。
(3)市長が実質的に経営に関与する企業による請負の辞退規定が無い。
私は、まだ条例を拝見していないのでコメントできませんが、以上の指摘事項も含めて検証作業をしていきたいと思います。
▲(参考)現市長より提出いただいたマニフェスト▲


「金権腐敗・癒着談合構造の徹底排除」
現在開催されている草津市議会は、25日の本会議で終了する予定とされていますが、その議題の一つとして「草津市長の政治倫理に関する条例案」(議第13号)があります。
2月23日付けの毎日新聞では、内容に不十分な点があると指摘されていますが、どのような議論がなされたか非常に気になります。
▲毎日新聞記事▲
市議会での議論の様子を知る一つとして、市議会議員の山本正行氏のHPに同条例案に対する質問と、それに対する回答が記載されていましたので読んでみました。
▲山本正行氏のHP▲
市長の答弁に対するコメントで、「湖南市議会で議員を含む市長・助役・収入役・教育長の特別職を対象とした政治倫理条例が上程された」「なぜ他の特別職を対象にしなかったのか」「答弁では、他の特別職は『議会の同意を得て、選任しているものであるから』とありましたが、納得のいくものではありませんでした。」と記載されています。
やはり、助役や収入役、教育長、議員は除外されたんでしょうね、きっと。  なんか、予算委員会でのNHK的だなぁ・・・。
政治倫理・九州ネットワークのHPには「後を絶たぬ自治体の不正・腐敗を防止し、公正で開かれた地方政治の運営を図るために、先進事例の最大公約数を集約した」という条例案が掲載されています。
▲市民モデル政治倫理条例案▲
これを参考に、具体的な内容の検証を進めたいと思います。  なお、政治倫理・九州ネットワークが発行している「政治倫理条例のつくり方」の本は県立図書館に置いてあるそうです。

 昨年の3月22日、毎日新聞に次の記事が掲載されました。
◇逆風、批判の声かわす   新市長は芥川市政で助役だった伊庭さん――。収賄容疑などで逮捕、起訴された前市長の芥川正次被告(45)の辞職に伴い、21日投開票された草津市長選。無所属新人の三つどもえの激戦を制し、前助役の伊庭嘉兵衛さん(61)=自民支持=が初当選した。地元出身で、市職員、助役の行政経験を訴えた伊庭さんに、市政正常化を願う市民の思いが集まったかっこう。しかし、投票率は37・66%(前回46・42%)と低迷し、有権者の関心は低かった。当日有権者数は8万7803人。(以下省略)    出直し草津市長選挙からもう1年が経過しましたが、当時現市長から提出いただいたマニフェストは、約束どおり履行されているのでしょうか?
▲伊庭現市長より提出いただいたマニフェスト▲
まちづくり本舗では、50項目に渡るマニフェストに関する検証作業を行うにあたり、来る4月17日(日)の13時30分より、JR南草津駅前の市民交流プラザ(創作室)にて、意見交換会を開催することになりました。
ご関心をお持ちの方は、是非ご参加ください。(会場が小さいので、参加ご希望の方は必ず下記メールあて事前にご連絡をお願いします。)
連絡先メール ohmi@kaikaku21.com


改革途上の決別 大阪市諮問会議“解散” (産経新聞) – goo ニュース
1.大阪市の改革
先ほど、朝日新聞夕刊を読んでいましたが、社会欄の片隅に掲載されていた「大平助役、しっかりして」(こう思うー大阪市改革)と題した投稿記事がちょっと気になりました。  大阪市在住の男性(77才)からの投稿記事には、大阪市の職員厚遇問題が表面化した時に、「待ってました! 大平助役の出番だ」と活躍を期待していたけれども諮問会議“解散”に関する記者会見での助役の発言(リンク記事参照)に落胆された様子が書かれています。   大平助役は、2003年12月に関淳一市長に政治任用で助役抜擢された人物です。
(経歴) 1965年生まれ 中学2年、いじめ受けたことをきっかけに非行に走り、自殺未遂も。 16才で組長の妻となるが、22才の時にクラブで働いていたときに転機が訪れる。翌年、宅地建物取引主任者(宅建)に合格し、司法書士にも合格。29才で最難関と言われている司法試験に一発で合格 弁護士活動をしながら、自らの波乱万丈な半生を綴った「だから、あなたも生き抜いて」(講談社)がベストセラーとなる。

本間正明氏(大阪大大学院教授)を座長とする諮問会議(都市経営諮問会議)は、外部人材の登用や徹底した情報公開などを積極的に提言してきましたが、記者会見で本間氏が跡田直澄慶大教授を改革担当補佐官にするよう市長に要望したことを「脅迫だと思った」と述べたことに対して、私も非常に違和感を持ちました。  改革するために設置した諮問会議の提案を「脅迫」と感じるというのは、改革そのものを放棄した官僚的思考そのもの。投稿記事にも「もう市役所の仲間意識や身内大事の悪弊に染まったのだろうか」との感想が述べられています。
行政は、諮問会議だとか市民会議といったものを設置して、学識者の意見を求めたり市民参加のポーズを取ったりますが、核心的な問題になると拒絶してしまうのは、大阪市に限ったことではありません。行政から依頼があった際には、そうした見せかけだけの改革(市民参加も含めて)に協力すべきかどうかも判断しなければなりません。ちなみに、私も肝心なことを受け入れようとしない行政の対応にあきれ果てて市民会議の委員を辞退した経験があります。  今後の推移に注目していきたいと思います。
2.マスメディアの改革
昨夜のニュース23で、ニュースキャスターの築地哲也氏とライブドアの堀江氏との対談がありました。  その中で、堀江氏から現在のマスメディア(=特定少数の発信者からの不特定多数の受け手に向けての情報発信手段)の弊害や、市民自身のメディアリテラシーの向上を伴う双方向性のあるメディア論などが語られていました。築地氏が具体的にどのようなものか分かりにくいとの意見に対して、「これからやろうとしていることですから」と答えたのも最もだと思いました。今あるマスメディアは現実そのものであり、説明の必要も無いくらい明らかな一方、インターネットを活用したマスメディアの機能改革については、まだ実際には目にしたことは無いのですから。
この話題の中で、新たなメディアの可能性について韓国の「オーマイニュース」を例に語られていました。盧武鉉大統領は、2002年の大統領選挙の際には対立候補の李会昌氏の比べて劣勢でメディア各紙も李会昌氏を支持していたそうですが、ブログを活用した「オーマイニュース」の影響によって当選に至ったとも言われているそうです。
(オーマイニュースとは)  ジャーナリストのオー・ヨンホ氏が2000年に創設したオンライン報道機関。正規記者は30~40人だが登録すればだれでも記事を投稿できるようになっており、登録する市民記者数は3万数千人だと言われている。▲オーマイニュース▲

関連ブログ記事▲参考HP▲
特定少数の発信者からの不特定多数の受け手に向けての情報発信は、本当に必要とされるものを取り上げなかったり、間違った方向に世論を導く危険性があったりしますが、現在のマスメディアはその弊害をかなり抱えているように感じていますので、これを期にメディアの将来像の議論が深まることを期待しています。


 本日(2月21日)の日本経済新聞に「『地方』という言葉と決別」と題したコラムが掲載されています。このコラムでは、筆者の田勢氏が「ローカル・マニフェスト推進首長連盟」 ▲HPはこちら▲ の結成大会に出席した際、将来の首相候補かと思われていた北川正恭氏が知事選に出た時に非常に驚き、更に知事を二期で辞めたことに対してその意味が今までの固定概念では推し量ることができなかったけれども、ローカル・マニフェスト活動を実際に見てその真意が理解できたと語られています。  まちづくり本舗でも、昨年3月に行われた草津市長選挙を契機にローカル・マニフェストに関する取り組みを展開してきました。 ・・・というよりも取り組もうとしてきましたが、その意義を一般的に理解されるになるには、まだまだ時間がかかりそうです。  そこで、12月19日に開催した「まちづくりトーク」でのローカル・マニフェストに関する内容を活用しつつ、私自身が勉強しながらこのコーナーで少しずつ解説していきたいと思います。  今回は、その第1回目として何故マニフェストの必要性が問われるようになってきたかについての時代背景や政策の意思決定に関する課題について考えてみたいと思います。    1月5日の日本経済新聞「経済教室」コーナーに掲載された「統治機構を再構築」と題した本間正明氏(大阪大学教授)の小論文では、公共的意思決定システムの再構築が必要であるとの観点から、現状や改革の必要性を次のように解説しています。
(以下、論文の主旨を私なりに噛み砕いたもの)   経済の成長が続きバブル経済が崩壊するまでは、政府は「分配」をどのようにするのかによって動いてきた。国会議員は派閥や族、地域・職域を代表するものとして私益・共益の代理人の役割を果たし、各省庁の官僚はそうしたものに公益という要素をブレンドして積み上げ、財務省が査定を通じて総合調整をする。一方、内閣と与党は二元的に並立し各省庁の官僚は分権的で縦割りの中で大きな裁量権と自立性を保ってきた。  そうした状況において、政策の意思決定において各議員・官僚の自由度の高い「二元」「分散」「分権型」体制はそのあいまいさが逆に個別利益の反映させるシステムとして機能し、今まで自民党が政権の座に付き続ける背景ともなっている。
こうしたシステムは、経済が右肩上がりで成長を続ける間は問題が顕在化しにくいが、経済・社会のグローバル化、成長率の低下や少子高齢化、国の財政破綻問題、パブリックな価値の多様化、地球環境問題、テロ・災害・リスクマネジメントなどへの早急な対応が求まられ、大きな構造改革が必要とされている現在では機能不全となっている。これが、失われた10年(15年)の背景にある。
そこで、政策の意思決定をスムーズに行うと同時に意思決定したことが的確に実施されるようにシステムへと転換する必要がある。橋本行政改革の柱であった1府12省庁制や経済・財政諮問会議などはそうした観点から行われたものであるが問題が多い。今後、内閣府の役割や機能を強化、中長期的展望にリンクした政策決定、諮問会議の役割強化(知恵袋、分析評価、意思決定、説明責任と情報公開)を図る必要がある。

このように、権限の集中と強化が必要とされている一方で、その権限を主権者である国民がコントロールするしくみを作り上げていくことが不可欠となっています。そこで政策の基本となる指針を事前に承認し、またその活動を監視し評価するしくみやプロセスにおいて、マニフェストが非常に重要なものになっているといえるのではないでしょうか。  同時に、こうしたプロセスへの参加を通じて問題の本質を見極め、また行動できる主権者が形成され、それが健全な政治を支える基盤となるのです。     (つづく)

 

 

 

市民によるマニフェスト検証大会を終えて

 市民によるマニフェスト検証大会を終えて
私たちは、前回の草津市長選に際して公開討論会(2008年2月13日)を実施いたしました。

 


この市長選では、候補者がそれぞれ充実した内容のマニフェストを掲げたことにより、草津市におけるマニフェスト型選挙の幕開けとして刻印されました。
公開討論会では、教育・子育て支援、環境、福祉・男女共同参画、防犯・防災、経済、地域文化、市政・財政の7つのテーマで政策を論じていただき、また候補者間のディベートを試みてみました。
市長選挙において、どの候補者に今の草津、そして未来の草津を託すべきなのかを市民が自らコミットすることができたという意味で、市民主権のまちづくりの新しい一歩を踏み出したと言っても過言ではありません。
そして、自分たちが選んだ市長が、あるいはたとえ支持した候補者とは違った場合でも「市民との契約」が成立したマニフェストがきちんと守られているのかどうかをチェックし公表していくことが更なる市民主権のまちづくりの発展につながるとの信念で昨年の8月21日、そして今年の9月20日と毎年マニフェスト検証大会を実施してまいりました。


取り分け、今回は2年目となる市長任期の中間となるものですが、いくつかの課題を残したとはいえ、市長マニフェストで「2年後、4年後に、市民のみなさまにマニフェストの進行状況を検証していただき、結果を公表します。」と明記されたことがこうした活動を継続していく上で非常に大きな意味を持ちました。


また「橋川わたるは、強い気持ちで約束を守ります。」「市民のみなさまも、このマニフェストがしっかり守られているか、私の仕事ぶりに目を光らせていただき、少しでも守られていないと感じたら、どうぞ厳しい意見をお聞かせください。」「事後の検証ができるように、具体的な内容とともに必要な費用や実施期限なども明示いたしました。」といった、マニフェストを遵守し、またこれを市民から検証していただくという姿勢こそが市民のモチベーションを高める原動力となっています。
そういう意味で、市民と共に草津の未来を創っていくというコンセプトをもった市長を得たことに感謝の意を表すると同時に、今後もこうした基本姿勢をマニフェストに掲げる候補者を市民が選択するという視点が定着することを願っているところです。

さて、今回の検証にあたってはより多くの市民の皆さまと一緒に幅広い意見を頂戴しながら進めていきたいとの考えから実行委員会形式を取り、市民活動団体や一般市民の方々に企画運営への参画を広く呼びかけいたしました。
しかしマニフェスト検証というと、「立場的に難しい」「行政への批判はできない」といった答えが返ってくることもあり、マニフェスト=政治活動であり市民活動の立場では参加すべきではないという考え方が根強くあるようです。一方でこれまで行政が公共を担い、また公共の代表者として施策を実施してきた時期が続いてきましたが、草津市では先先代の市長が贈収賄で逮捕されるといった衝撃的な事件が発生し、また財政難や多様化する価値観やニーズの中で行政に公共の担い手として権限をすべて移譲しておくことができない時代となっています。
そうした中で、今後のまちづくりをどのようにしていくのかという理念を掲げ、またそれを実現していくための具体的施策や手法、期限、財源までも明記するマニフェストを掲げ、任期中はそれにもとづいて市政を行うということが地域にとって不可欠な要素になりました。
ただし、これは必要条件であって十分条件ではありません。
選挙で投票すれば市民としての責任を果たしたことになり後は「すべてお任せしました」というのでは、より良い市政を期待することはできません。地方自治は、市民自治が基本であり、国政と違って市民の直接関与と代議制度との相互作用によって築き上げていくプロセスこそが重要です。
そこで私たちは、マニフェスト検証の目的をPDCAサイクルの形成を第一に掲げています。
すなわち、マニフェストというプランを選挙で選択し、その実行過程をチェックして更に良いものにしていくという品質管理のプロセスに市民が直接関与することによって、市民が主役となり、また主権者としての役割を果たし、このことによって民主主義の質を高めることこそが草津市のまちづくりにとって最も大切なものだと考えているからです。
この意味でも、マニフェストの検証は決して批判や反対運動ではありません。
また、市政の粗探しでも特定の政治主張を持った活動でもありません。

ところで、今回の検証大会では現状の問題点について、市民目線であえて厳しく指摘させていただきました。
それは、現状に満足せずよりよい市政を目指す「もっと草津!」宣言(市長マニフェスト)の趣旨と同じように「もっと草津を良くしたい」との思いからです。こうした活動を通じて、チェック(=C)がアクト(=A)に繋がり、更には市民と共にまちづくりのプランづくりやその実現のための実践がまさに「協働」でされるようになることを目指していきたいと考えていますので、今後もどうぞよろしくお願いいたします。

最後に、今検証大会にご協力をいただいた市長、行政の皆さま、そして多くの市民の方々に感謝申し上げます。
市民によるマニフェスト実行委員会